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仮病は使えない
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ドレスを目にした数日後、私は王家主催のお茶会に連れて行かれた。
前日にお茶会の存在を告げられ、翌朝、当たり前のように例のドレスが用意されていた。
ドレスを目にしてやっと、このドレスが誕生日プレゼントなどではなく、今日のために用意されていたのだと理解した。
今回のお茶会は第一王子の婚約者を選ぶためのものらしい。
そろそろ次の婚約者が選ばれるだろうとは思っていたが、意外と早かった。長期間空席にしておくつもりはないのだろう。
なんとなく釣り合いの取れているご令嬢を据えるのだと思っていたが、まさかお茶会を開くとは……。
それも王子と年の近い貴族令嬢のほとんどを招待しているらしい。
シンデレラの仮面舞踏会をお茶会にした感じ。
乙女ゲームシナリオがスタートするのは学園入学からで、彼女は確か平民出身だったはず。
貴族のご令嬢が集められるお茶会なんかに参加するはずがない。
それにわざわざ大規模のお茶会を開く理由が分からない。
王子は私よりも2つほど年が上だ。
今まで何度とお茶会に参加しており、王族ともなれば権力の釣り合いを考慮する必要がある。公爵家だけと限定するならまだ分かるが、全ての爵位の娘に声がかけられている。
正直、嫌な予感しかしない。
「うっ、急にお腹が……」
お腹を押さえ、腹痛を訴える。もちろん仮病である。
婚約者選出をずるずる伸ばすとも思えない。今日さえ乗り越えてしまえば全ての問題は消え去るだろう。
けれど鉄仮面の父の口から出されたのは無情な言葉だった。
「そうか。では私は先に馬車に乗っているから、収まったら来なさい」
「え?」
ツカツカと遠ざかる父の背中を見守る私の脳内に『人生そんなに甘くない』とよぎる。
まさか仮病が効かないとは……。父もこんな絶好のチャンスを手放したくはないのだろう。
いっそ今日一日トイレに引きこもってやろうかと考えたが、それはそれで後々面倒なことになりそうだ。
トイレを済ませ、軽く時間を潰した後で馬車に乗り込む。
「もういいのか?」
「……はい」
世界観が変わろうとも、子どもというものは無力なものだ。
出荷される子牛のようにゴトゴトと揺られる。リボンが大きすぎて背もたれに上手く身体を預けることが出来ない。
腹筋が鍛えられる前に馬車酔いしそうだ。
気を紛らわせるための会話でも出来ればいいのだが、車内でも会話は一切ない。父の顔は代わり映えがなく、仕方なしに視線を窓の外へと向けた。
胃が限界を迎える少し前に辿り着いたのは市場ではなく、王城だった。
仔牛が運ばれた場所とは異なるが、似たようなものだ。
「時間になったら迎えに来る」
ステップ台を下ると馬車から低い声が振ってくる。
父は感情の見えない顔でじっとこちらを見下ろしていた。
帰りも来るのか……。迎えなら馬車だけでもよくない?
正直、あの重々しい空間に帰りも押し込められると想像すると息が詰まりそうだ。
ぐぇっとカエルを潰したような声が喉まで上がる。けれどここで父の機嫌を損ねるわけにもいかない。
「はい」
余計なことは言わず、短く返事だけして「いってまいります」と頭を下げる。
父は小さく首を縦に振り、そのまま馬車を走らせるよう御者に命じた。
走り出した馬車を眺めながら、改めて厄介な家に産まれてしまったなと実感する。
いつもろくに構いもしないくせにこんな時だけ。
よほど今回の婚約者選考会に思い入れがあるらしい。
だったら馬車の中で頑張れよとか激励の言葉の一つでもかけてくれればいいのに。
乙女ゲーム本編での悪役令嬢を知らないのでなんとも言えないが『悪役』なんてつくくらいだ。きっと性格が曲がってしまっているに違いない。
娘を政略の駒としてしか見ていないだろう両親と、将来婚約者を捨てる王子様。
せめてどちらかは回避せねば、ストレスで見事なまでのツインドリルが根元からぼとりと抜け落ちてしまいそうだ。
「ああ、めんどい」
ぼそりと呟くと、どこからか案内役の使用人がやってくる。彼女に案内されるがまま会場へと足を運ぶ。
お茶会会場にぴったりな開けたスペースには、私と同様に王子の婚約者選考会に集められたご令嬢達が沢山いた。
ざっと数えて50人はいると思われる。
今までアドリエンヌが参加したお茶会のどれよりも参加人数が多い。しかも私が会場入りしてからも続々とご令嬢達が到着している。
私には急に告げられたお茶会だったが、おそらく前々から情報は出ていたのだろう。
どの令嬢もこの日のためにあつらえたと思われる、一等品のドレスを身にまとっている。お姫様みたいで可愛らしい子ばかりだが、おそらくこの会場で一番目立っているのは私だ。ピンク・ピンク・ピンクのオンパレードででっかいリボンをつけていればそりゃあ悪目立ちもするだろう。
会場の奥の方で早速ご令嬢達に囲まれている王子様と視線が合う。
つい先ほどまで女に興味なんてないみたいなすました顔をしていたというのに、目を丸く見開いて。珍しい動物でも発見したかのよう。
もしかしてこのドレスって目立つ用だったのかな?
父よ、なぜ娘に身体を張らせた……。
いくら数年かけても友達が一人も出来ないコミュ障でもこれは些か酷すぎるのではないだろうか。
もし私が前世の記憶を取り戻さずに、ワンチャンある! と勘違いしてメラメラと燃やしたやる気を胸にアタックなんてかけたら悲惨すぎる。
もちろん私が。
いい笑いものだ。
精神崩壊・人間不信ルート一直線だわ。
どんな思惑があったにせよ、わざわざ会場まで送ったのがやる気ゼロの娘だなんて父はどう思うだろうか。
少なくとも両親の意思に背くなど貴族の娘としては失格だろう。
だが私は貴族である前に一人の人間だ。精神の平和は人生の優先事項トップ3に入っている。ほんのちょっぴり残っていた両親への申し訳なさはどこかへと消え去った。
前日にお茶会の存在を告げられ、翌朝、当たり前のように例のドレスが用意されていた。
ドレスを目にしてやっと、このドレスが誕生日プレゼントなどではなく、今日のために用意されていたのだと理解した。
今回のお茶会は第一王子の婚約者を選ぶためのものらしい。
そろそろ次の婚約者が選ばれるだろうとは思っていたが、意外と早かった。長期間空席にしておくつもりはないのだろう。
なんとなく釣り合いの取れているご令嬢を据えるのだと思っていたが、まさかお茶会を開くとは……。
それも王子と年の近い貴族令嬢のほとんどを招待しているらしい。
シンデレラの仮面舞踏会をお茶会にした感じ。
乙女ゲームシナリオがスタートするのは学園入学からで、彼女は確か平民出身だったはず。
貴族のご令嬢が集められるお茶会なんかに参加するはずがない。
それにわざわざ大規模のお茶会を開く理由が分からない。
王子は私よりも2つほど年が上だ。
今まで何度とお茶会に参加しており、王族ともなれば権力の釣り合いを考慮する必要がある。公爵家だけと限定するならまだ分かるが、全ての爵位の娘に声がかけられている。
正直、嫌な予感しかしない。
「うっ、急にお腹が……」
お腹を押さえ、腹痛を訴える。もちろん仮病である。
婚約者選出をずるずる伸ばすとも思えない。今日さえ乗り越えてしまえば全ての問題は消え去るだろう。
けれど鉄仮面の父の口から出されたのは無情な言葉だった。
「そうか。では私は先に馬車に乗っているから、収まったら来なさい」
「え?」
ツカツカと遠ざかる父の背中を見守る私の脳内に『人生そんなに甘くない』とよぎる。
まさか仮病が効かないとは……。父もこんな絶好のチャンスを手放したくはないのだろう。
いっそ今日一日トイレに引きこもってやろうかと考えたが、それはそれで後々面倒なことになりそうだ。
トイレを済ませ、軽く時間を潰した後で馬車に乗り込む。
「もういいのか?」
「……はい」
世界観が変わろうとも、子どもというものは無力なものだ。
出荷される子牛のようにゴトゴトと揺られる。リボンが大きすぎて背もたれに上手く身体を預けることが出来ない。
腹筋が鍛えられる前に馬車酔いしそうだ。
気を紛らわせるための会話でも出来ればいいのだが、車内でも会話は一切ない。父の顔は代わり映えがなく、仕方なしに視線を窓の外へと向けた。
胃が限界を迎える少し前に辿り着いたのは市場ではなく、王城だった。
仔牛が運ばれた場所とは異なるが、似たようなものだ。
「時間になったら迎えに来る」
ステップ台を下ると馬車から低い声が振ってくる。
父は感情の見えない顔でじっとこちらを見下ろしていた。
帰りも来るのか……。迎えなら馬車だけでもよくない?
正直、あの重々しい空間に帰りも押し込められると想像すると息が詰まりそうだ。
ぐぇっとカエルを潰したような声が喉まで上がる。けれどここで父の機嫌を損ねるわけにもいかない。
「はい」
余計なことは言わず、短く返事だけして「いってまいります」と頭を下げる。
父は小さく首を縦に振り、そのまま馬車を走らせるよう御者に命じた。
走り出した馬車を眺めながら、改めて厄介な家に産まれてしまったなと実感する。
いつもろくに構いもしないくせにこんな時だけ。
よほど今回の婚約者選考会に思い入れがあるらしい。
だったら馬車の中で頑張れよとか激励の言葉の一つでもかけてくれればいいのに。
乙女ゲーム本編での悪役令嬢を知らないのでなんとも言えないが『悪役』なんてつくくらいだ。きっと性格が曲がってしまっているに違いない。
娘を政略の駒としてしか見ていないだろう両親と、将来婚約者を捨てる王子様。
せめてどちらかは回避せねば、ストレスで見事なまでのツインドリルが根元からぼとりと抜け落ちてしまいそうだ。
「ああ、めんどい」
ぼそりと呟くと、どこからか案内役の使用人がやってくる。彼女に案内されるがまま会場へと足を運ぶ。
お茶会会場にぴったりな開けたスペースには、私と同様に王子の婚約者選考会に集められたご令嬢達が沢山いた。
ざっと数えて50人はいると思われる。
今までアドリエンヌが参加したお茶会のどれよりも参加人数が多い。しかも私が会場入りしてからも続々とご令嬢達が到着している。
私には急に告げられたお茶会だったが、おそらく前々から情報は出ていたのだろう。
どの令嬢もこの日のためにあつらえたと思われる、一等品のドレスを身にまとっている。お姫様みたいで可愛らしい子ばかりだが、おそらくこの会場で一番目立っているのは私だ。ピンク・ピンク・ピンクのオンパレードででっかいリボンをつけていればそりゃあ悪目立ちもするだろう。
会場の奥の方で早速ご令嬢達に囲まれている王子様と視線が合う。
つい先ほどまで女に興味なんてないみたいなすました顔をしていたというのに、目を丸く見開いて。珍しい動物でも発見したかのよう。
もしかしてこのドレスって目立つ用だったのかな?
父よ、なぜ娘に身体を張らせた……。
いくら数年かけても友達が一人も出来ないコミュ障でもこれは些か酷すぎるのではないだろうか。
もし私が前世の記憶を取り戻さずに、ワンチャンある! と勘違いしてメラメラと燃やしたやる気を胸にアタックなんてかけたら悲惨すぎる。
もちろん私が。
いい笑いものだ。
精神崩壊・人間不信ルート一直線だわ。
どんな思惑があったにせよ、わざわざ会場まで送ったのがやる気ゼロの娘だなんて父はどう思うだろうか。
少なくとも両親の意思に背くなど貴族の娘としては失格だろう。
だが私は貴族である前に一人の人間だ。精神の平和は人生の優先事項トップ3に入っている。ほんのちょっぴり残っていた両親への申し訳なさはどこかへと消え去った。
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