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第2部

38:突拍子もない提案②

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「なあ、おまえはどう思う?おれはおまえなら別にいいぞ?」




「わ、私は……む、むりです。」




一緒にやりたかったな、っていう気持ちにはふたをして、今は世界平和を。




「なんで?今日あったばっかりだからか?」




「いや、っていうわけではないです!それは決してありません!ですが、これは話が違うのです……。私は、諸事情によりいろいろなところを回らなくてはなりません。それは危険だし、何があるかわかりません。今の私は、大きな爆弾を抱えているようなものなのです!ライアン君は、トップの商会の息子さんですから、いろんなところに連れまわしたり、命に関わるかもしれない問題に首を突っ込むべきでゃないと思うんです。」




「ふぅん。おれ、そんなに弱くないぜ?ていうか、おまえ、俺の命に関わるような大事、一人で対処できるわけ?あんな危なっかしくてだいじょうぶなの?それで大丈夫っていうんなら大したことないよね?それとさ、おれ、ホイット商会の息子だけど、後継ぎでもないし、たいして経営方面に優秀ってわけでもないから商人にはならないし、下級貴族には俺が婿入りするとこは今のとこないから、基本自由。将来は冒険者で食べていくつもりで家の許可もとってギルドに所属してんの。」




あ、言い方がまずかったのかな……。

ライアン君を馬鹿にしたつもりは全くない。

そもそも何もなければパーティー組んでみたかったとさえ思っている。




「馬鹿にしたつもりは全くないです。言い方が悪かったようで、ごめんなさい……。」




「で、おれじゃ嫌なわけ?」




「さっきも言ったように、いや、っていうわけではないんです。」




「おれは、あの家は成人と同時に出て冒険者としていろんなところを回るつもりだった。それが早まったところでどうってことない。」




そんなことはない。成人は18歳。あと8年。

8年は大きいと思う。




「おれは、お前が何してんのかしらねーけど、怪しいことじゃないんだろ?ならおれもそれ、手伝うぜ?家にいるのは窮屈で仕方ないし、好きにしていいって言われてんだ。おれの好きにしたって文句は言われない。エレナが嫌なわけじゃないなら、パーティー組んでもいいんじゃねーの?」




いいの、かな?

ライアン君、危険な話にわざわざ首を突っ込んで”へいおんライフ”壊さなくたっていいと思うよ?

それに、本当にすべて話した時、やっぱやめた、ってなるのは困る。

口外されるのも、友達候補が0になるのも嫌だ。




「もし、ライアン君が想像しているより危険な内容だったとき、聞いてからやっぱりやめるって言わないですか?」




「ああ、もちろん!世界を旅するのも波乱万丈な人生を送るのもおれの夢だからな。」




「ほんとうに?」




「しつこい!ほんとうだっつってんだろ?」




「じゃ、じゃあ、いっしょにぱーてぃ、くんでください……!」




「きめんのおせーんだよ。最初からそう言えばいいのにさ。」




「うぅ……。」




「はぁ。じゃ、報告に行くぞ。」




「うん。――――――あ、なんでライアン君は私とパーティー組もうと思ってくれたの?あと、怪しいことじゃないってわかったの?」




「ん?ああ、なんかお前おもしれーから退屈しなさそうだなって思ったから。おまえ、自分で思ってるより顔とかに考えてることでてるし、あんな危なっかしいやつが怪しいこととかできねーだろ。」




「ええぇ!?わ、わたし、かおにでやすいの?完璧なポーカーフェイスだと思うよ!?」




「ないな。」




「ふぇぇぇ!?即答!?あと、面白いって何?そんなことしてないよ!?それに、あぶなかっしい、っていうのも聞き捨てならないよ!」




「全部事実だな。」




「えぇぇ!そんなことないとおもうよ!たぶん。あれ?ないよね?あ、あれ……?」




「報告に行くぞー。」




もしかしたら、確かに、まあ、認めたくないけど、危なっかしい、っていうの、あっている気がしなくもないような記憶がちらほら……。




そ、それはまだしも、完璧なポーカーフェイス作ってると思ってたんだけど?

ライアン君が、商人の息子だから、そういう顔とか読むの得意なだけじゃなくて?










こうして、わたしにちょっと意地悪で、でもちょっと面倒見の良い、パーティーメンバーができた。

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