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第六章

35. 悔いのない未来を描く為に

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 不思議と、冷静さは失わなかった。

 ダヴィッドにその可能性を示唆されていたし、何よりクロードが無実だと知っている。
 犯してもいない罪をでっち上げ、裁きにかけるのは簡単なことではないだろう。ましてやクロードは公爵家の子息だ。それに第一王女レミリアの護衛騎士で、隣国の今は亡き第三王子アーネストの忘れ形見でもある。身の潔白を証明するに当たって、これ以上の後押しもない。

「クロードの無事を信じているのね」

 落ち着いた様子のロゼリエッタに、レミリアは微笑みかけた。
 けれどそれは少し誤解されているように思う。ロゼリエッタはどう答えて良いか分からないまま、ただ静かに首を振った。

「ご無事であれば良いと、願っているだけです」

 冤罪をかけられているのはロゼリエッタだ。
 だから本当はロゼリエッタが拘束されるべきで、けれどロゼリエッタは冤罪を晴らす手段を持たない。それでクロードが身代わりになった。そんな気がしてならないのだ。

「ロゼ。せっかくの機会だから、あなたの疑問に全て……は無理だけれど、できる限り答えましょう。他にも聞きたいことはたくさんあるでしょう?」
「よろしいのですか?」
「私が答えられる範囲であれば、だけど」

 願ってもない申し出だった。
 でもレミリアの言う通り、聞きたいことはたくさんありすぎて逆に何から尋ねたら良いのか分からない。

 困っていると隣にいるダヴィッドが立ち上がった。突然の行動にロゼリエッタとレミリアは揃って彼の顔を仰ぐ。二人分の視線を受け、苦笑いを浮かべたダヴィッドは恭しく礼をした。

「可憐なレディたちの内緒話は非常に興味のあるところですが、ここは退室した方が良さそうですね」

 先程、ダヴィッドが味方になってくれたことが嬉しかった。
 彼がいてくれたら考えもまとめやすく心強い。でも、これはロゼリエッタが自身の力だけで立ち向かわなければならないものだ。

 何より、彼を頼ることと利用することはまるで違う。
 優しいダヴィッドはお互い様だと言ってくれる。
 だからと言って甘えていてはいけない。

「殿下、またロゼに会いに来てもよろしいでしょうか。そして叶うのなら、彼女の兄レオニールだけでも顔を合わせるご許可をいただければ」
「それはもちろんよ。ただ、目立った行動はまだ避けたいの。一度に会えるのは、あなたかレオニール・カルヴァネス卿のどちらかだけにして下さる?」
「承知致しました。ではレオニールを優先に、またお伺い致します」

 兄だけとは言え、家族に会える。
 その事実はロゼリエッタの心を軽くした。飛び上がらんばかりの勢いでソファーから立ち、ダヴィッドとレミリアに深々と頭を下げる。

「ありがとうございます」
「じゃあ俺はもう帰るけど――頑張れ、ロゼ」

 ロゼリエッタは真っすぐに顔を上げて力強く頷き返した。その様子にダヴィッドはどこか寂しげな目を一瞬だけ向けたが、すぐに優しく微笑んで部屋を出て行った。

 ダヴィッドの手で閉じられたドアをしばらく見つめ、再びソファーに腰を落ち着ける。

「お話をお聞かせ下さる前に、お時間を取らせて申し訳ありません」
「いいのよ。こちらこそ振り回してしまってごめんなさいね」
「――いえ」

 それきり、静寂が室内を支配した。
 レミリアはロゼリエッタの考えを誘導するようなことはしない。窓の向こうの晴れ渡った空をじっと眺めている。
 聞きたいことが多すぎて咄嗟にまとめられず、視線のやり場に困ったロゼリエッタも何を思うでもなくそれに倣った。

 いつか、ロゼリエッタの心も一点の曇りのない状態になる日は来るだろうか。
 クロードへの淡い初恋を過去の思い出として、心を軋ませることなく振り返られるだろうか。
 そんな日が早く来て欲しい。
 一方、同じくらいの強さでそんな日は永遠に来なければ良いとも思っている。

 青い空を二筋の白い光がよぎって行く。
 二羽の白い小鳥が時には離れ、時には寄り添いながら飛んでいた。
 番だろうか。その舞うような仕草が、幼い頃の無邪気な戯れの記憶を呼び起こしはじめるのを察し、ロゼリエッタは小さく首を振った。

 恋心は奥へとしまい込んで鍵をかけた。
 その鍵も早めに捨ててしまわなければ意味がない。
 じゃないと結局は、簡単に開けて取り出してしまいそうになるから。

 でも――それは今この場でするべきことでもない。

 あるはずのない小さな鍵を手の中に握りしめ、ロゼリエッタは視線を前に戻した。

「レミリア王女殿下」

 呼びかければ、すぐさま視線が重なった。
 レミリアは優しく微笑みかけるだけだ。自ら口を開こうとはしない。
 この場の主導権を完全にロゼリエッタに明け渡していた。

 もう一度、自らの手を強く握る。
 まだ考えは上手くまとまらないままに口を開いた。

「マーガス殿下はご無事だと伺っております。ですが本当に毒が……?」

 第一声は違うものを想像していたのか。レミリアは意外そうな面持ちを見せたが、すぐにその色を消して頷いた。

「あの日、マーガス殿下にお茶を淹れたのは私の侍女を務める信用のある者よ。だから殿下に害を及ぼすような真似をすることなどありえないわ」

 強い口調で断言し、でも、と言葉を続ける。

「茶葉に薬物が混入されていたと報告は上がっているの。息のかかった侍女を送り込むことはできないのだから、予め茶葉そのものに細工を施しておくのは当然と言えば当然ね」

 ロゼリエッタはレミリアの言葉に引っかかりを覚えて首をわずかに傾げた。

「薬物? 毒物ではなかったのですか?」

 わざわざ"薬物"という表現を使ったことに意味があるのだろう。
 でも"毒物"ではなかったのなら、事態は大きく違って来る。

「調査の結果、睡眠薬とほぼ同じ効果をもたらす成分が抽出されたそうよ。もちろん、毒性はないとは言え国賓の口に入るものに異物が混入されていたことは、由々しき事態であることに変わりはないのだけれど」
「それでは何故、暗殺未遂の嫌疑が私にかけられたのでしょうか」

 マーガスは咄嗟の判断で供された紅茶を口にしなかった。だから大事には至らなかったとクロードが言っていた。
 ロゼリエッタの与り知らぬことではあるけれど、それで暗殺の計画が未遂に終わったのであれば理屈は分かる。
 でも実際は毒物すら使われてはいなかったという。

 だとしたら暗殺なんて言葉はどこから出て来たというのか。

「誰かが、起こりもしなかった暗殺を、さも事実であるかのように見せかけたかったのでしょう」

 レミリアは肩をすくませると紅茶を飲んだ。溜め息を吐き、ほっそりとした指を頤に押し当てる。

 ロゼリエッタの中で漠然とわだかまり続ける何かが形を取ろうとしていた。
 だけど散らばった点のいくつかが一つの線になった程度では、絵を描くには全然足りない。
 まだ真実をたくさん集める必要があった。

「そもそも薬物はいつ、茶葉に混ぜられたのでしょうか」

 息のかかった侍女をマーガスの元に送り込むことも、彼が飲むであろうお茶に薬物を混ぜ込むことも、どちらも同じくらい難しいことのように見える。
 けれど実際に後者の方法が取られた。そして、あくまでも表向きでは上手くことが運んだ。

「実行犯はまだ見つかっていないわ。でも確実に、薬物だろうと毒物だろうと――極端な話、望むものを混入させられる抜け道は一つだけある」

 レミリアはその唯一の抜け道が使われたと確信しているようだった。少なくとも、先の二つの条件よりは安易に実行できるということだ。

「薬物が混入されていた、そう報告書に書けばいいだけ。検証の場には私もマーガスもいなかったのだから、報告書が通りさえしたら後はどうとでもなるわ。普通に考えたら検証結果をでっち上げてまで、自国に大ダメージを与えたい人物がいるなんて思わないものね」
「結果を偽証したのなら茶葉には何も混入されていなかったということですか?」
「そういうことになるわね」

 隣国の王位転覆に加担する人物が国内にいることはシェイドから聞いている。だからロゼリエッタも離宮で匿われていた。
 またわずかに点と点が繋がった気がして、新たな疑問を重ねる。

「夜会の最中に起きたという西門での騒ぎは関係があるのですか?」
「そうね。おそらく目的は二つあって、どちらもあなたには関係があることだと言っても良いかしら」
「私に?」
「ええ。まずは何らかの騒ぎを起こして陽動することが目的だったのが一つめ。でも陽動はあくまでも陽動。あの時の彼らの本当の目的は、もっと別のことだったの」

 自分にも関わる目的とは何だろう。
 西門での騒ぎが起こった後の出来事と言えばクロードと別行動を取って、先に帰ったことくらいしかない。だけどそんなことは、騒ぎを起こさずとも簡単に出来た。

「城内に侵入して、衛兵の甲冑を盗むこと。騒ぎを起こしておいて馬鹿馬鹿しい目的よね。でも……重くて嵩張る甲冑を盗み出すには必要なことだった」
「衛兵の、甲冑」

 ロゼリエッタの脳裏に、領地へ向かおうとしていた日の記憶が蘇る。
 マーガスの暗殺未遂の罪で、ロゼリエッタを捕らえようとした衛兵は仮面を被っていた。国王やレミリアの正式な命を受けているのなら顔を隠す必要などない。なのに隠していたということは、万が一にも顔を覚えられては困るということだ。

「では私の前に姿を見せた衛兵の方は一体?」

 話の腰を折ってしまうが、他に聞けるタイミングもないような気がして尋ねる。レミリアもそれは承知しているのか、簡単に答えてくれた。

「お金で雇われただけみたいね。それぞれの素性を調べてみたら案の定というべきかしら。前科者ばかりだったわ」

 衛兵の下卑た笑みが、つい先程向けられたものさながらの鮮明さで浮かぶ。
 あまりにも自然な悪意だった。
 だからロゼリエッタにはそれこそが彼の本性のように見えた。あの感覚は間違っていなかったようだ。

「捨て駒にすることが前提の彼は、依頼主が誰なのかなんてもちろん聞かされてない。余罪の追及の為に捕らえてはいるけれど、この件に関して情報を引き出すのはもう無理でしょうね」
「分かりました。お話を逸らして申し訳ありません。先を続けて下さい」

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