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それをお忘れにならないで ☆
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身体を自由にできないエリアスは、顔を背けることで抵抗するしかない。
もちろんそんなことはイングリットも想定済みだ。愛蜜が溢れるまま腰を揺らして唇の端に塗りつけ、エリアスは従う以外に道はないのだと大義名分を与えてやる。
「お義兄様がわたくしの言うことを聞いて下さらないのなら、それでも構わないわ。でもわたくし、お義父様とお義母様の命を奪った毒をまだ手元に残しているの」
エリアスが視線だけをイングリットに向ける。
何を言いたいのかと、冷たく鋭い視線で問いかけた。
イングリットはくすくすと笑いながら、自分にとっては些末な、けれど義兄には看過できないであろうことを伝える。
「その毒を全部、王都の中心に流れる川へ流します。お義兄様のせいで、一体何人の罪もない民が毒に苦しみながら死んでしまうのかしらね?」
「やめろ……!」
起き上がろうとして、紐をくくりつけられたベッドが再び軋みをあげた。
自分の置かれた状況にエリアスが忌々し気に舌を打つ。らしくもない仕草を前にイングリットは恍惚で目を細めた。束の間見せた行動が義兄の本性によるものだとはもちろん思わない。けれど荒々しい側面に心がざわめく。
もっと、もっと。誰も知らない義兄の一面を自分の前だけに暴き、曝け出させてしまいたい。イングリットは大国との縁談をきっかけに、それを叶えられるであろう手札を何枚も持っていた。
「もし隣国がわたくしではなく国土そのものを求めて攻め入って来たのなら、この国は成す術もなく敗戦国になっていたでしょう」
「何を言いたい」
「その時に捕虜となった時、民の命を救う為に隣国の女王や王女の慰み者になれと言われたらお義兄様は躊躇わず身を捧げたはずだわ。愛してもいない女性に尽くすことは、わたくしに対しても同じよ」
「だが隣国は我が国に攻め入ったりなんてしていない」
「そうね。王太子殿下が気まぐれで侵略よりもわたくしを望んで下さったから、争いを避ける為にわたくしが差し出されるのですもの」
義兄の顔が苦痛に歪む。
どうあってもイングリットの言葉で、王太子というには優しすぎる彼の心を傷つけられるのは楽しくもあった。
「ねえお義兄様。今のお義兄様はわたくしの醜い欲を鎮める為だけの無力で無様な犬なのよ。そしてわたくしだけが、この国の行く末を握っていて、未来を決められるの。それをお忘れにならないで」
ぐ、とエリアスの喉が鳴った。
矜持を義妹に穢された屈辱によって奏でられた、惨めで清廉な音色にイングリットは薄い笑みを浮かべる。
民を見捨てるのかとイングリットを詰ったばかりなのだ。
そうでなくても彼の中で、自らの矜持と民の命は天秤にかける余地さえない。
「女性の悦ばせ方くらいご存知でしょう? わたくしの痴態を、何度もご覧になっていたんですもの」
エリアスは唇を固く引き結ぶと肩で大きく息を吐く。
そして、のろのろと顔をイングリットに向けた。唇に秘裂を撫でられるだけでも背筋に甘い痺れが走る。縋りつく場所を求め、けれど見つけられなくてイングリットは身を捩った。
「さ……どうぞ、お義兄様。新たな国王として民に尽くすその前に、可愛い犬としてわたくしに一生懸命尽くして下さいませね」
誰にも向けることがないであろう蔑んだ目で見て欲しいのに、イングリットの心境を知ってか知らずかエリアスは目を閉じた。
永遠とも思える重く短い静寂の後、赤い舌先がようやくのぞく。はしたなく尖った蕾へと伸ばされ、濡れた粘膜が触れ合って水音をあげた。
「っ、ふ……」
たちまち強烈な快感が背筋を駆け抜けて行く。
どんな形であろうとエリアスに施された愛撫に、全身が歓喜でわなないた。
「あっ、ぁ……っ! お義兄様……とっても、お上手よ……」
秘裂を舐め回し、頂上で芯を持って硬くなった突起を唇で挟みながら吸い上げ、今度は舌全体を使って押し潰しては舌先で舐る。
あまりの気持ち良さに腰を引くもエリアスは許してはくれなかった。舌を蜜壺に捻じ込み、初めての異物の侵入に戸惑う中すら容赦なく舐めた。
「お義兄様ったら。こんな状況なのに、とてもお元気でいらっしゃること」
イングリットは首を巡らせ、先走りの体液で再び先端を濡れ光らせた熱杭を視界に収めて微笑む。
エリアスの雄芯は先程に負けず劣らず硬く屹立していた。
義兄だ義妹だと口では言いながら、男としての本能に抗いきれない。
無様で、それでも美しかった。
早く欲しい。
イングリットを深く貫き、未だみじめなまでにエリアスの愛だけを希って、この優しくない世界にわずかに残した未練を断ち切って欲しい。
「他の……男の前でも、お前はそうなのか」
「ふ……っ。どう、でしょう……か……。お義兄様は……どちらがよろしいの……?」
それに対するエリアスからの答えはなく、逃げても追われる快楽にイングリットは浸った。
力を失いつつある足が、身体を支えきれずに震える。
下腹部から切なさを伴う何かがせり上がろうとしていた。勝手に腰が揺れてしまう。エリアスの口元に秘裂を押しつけ、より強い快楽を求めて貪った。
「おに……様……っ! 来ちゃう、来ちゃうの。奥、から……っ、ぁ、ぁ――!」
背筋をのけぞらせて絶頂を迎える。
足のつけ根が熱く脈打つ度に全身に快楽が広がった。小刻みな呼吸を繰り返して息を整える。まだだ。まだ足りない。この程度じゃ満足できない。
「今度は……こちらに、お義兄様の精を下さいな」
懸命に腰を浮かせ、エリアスの下腹部を跨ぐ位置へと移動する。
義兄と一つになれると分かっていても恐怖心は消えなかった。長く静かに息を吐く。
(大丈夫。――大丈夫……だから)
もちろんそんなことはイングリットも想定済みだ。愛蜜が溢れるまま腰を揺らして唇の端に塗りつけ、エリアスは従う以外に道はないのだと大義名分を与えてやる。
「お義兄様がわたくしの言うことを聞いて下さらないのなら、それでも構わないわ。でもわたくし、お義父様とお義母様の命を奪った毒をまだ手元に残しているの」
エリアスが視線だけをイングリットに向ける。
何を言いたいのかと、冷たく鋭い視線で問いかけた。
イングリットはくすくすと笑いながら、自分にとっては些末な、けれど義兄には看過できないであろうことを伝える。
「その毒を全部、王都の中心に流れる川へ流します。お義兄様のせいで、一体何人の罪もない民が毒に苦しみながら死んでしまうのかしらね?」
「やめろ……!」
起き上がろうとして、紐をくくりつけられたベッドが再び軋みをあげた。
自分の置かれた状況にエリアスが忌々し気に舌を打つ。らしくもない仕草を前にイングリットは恍惚で目を細めた。束の間見せた行動が義兄の本性によるものだとはもちろん思わない。けれど荒々しい側面に心がざわめく。
もっと、もっと。誰も知らない義兄の一面を自分の前だけに暴き、曝け出させてしまいたい。イングリットは大国との縁談をきっかけに、それを叶えられるであろう手札を何枚も持っていた。
「もし隣国がわたくしではなく国土そのものを求めて攻め入って来たのなら、この国は成す術もなく敗戦国になっていたでしょう」
「何を言いたい」
「その時に捕虜となった時、民の命を救う為に隣国の女王や王女の慰み者になれと言われたらお義兄様は躊躇わず身を捧げたはずだわ。愛してもいない女性に尽くすことは、わたくしに対しても同じよ」
「だが隣国は我が国に攻め入ったりなんてしていない」
「そうね。王太子殿下が気まぐれで侵略よりもわたくしを望んで下さったから、争いを避ける為にわたくしが差し出されるのですもの」
義兄の顔が苦痛に歪む。
どうあってもイングリットの言葉で、王太子というには優しすぎる彼の心を傷つけられるのは楽しくもあった。
「ねえお義兄様。今のお義兄様はわたくしの醜い欲を鎮める為だけの無力で無様な犬なのよ。そしてわたくしだけが、この国の行く末を握っていて、未来を決められるの。それをお忘れにならないで」
ぐ、とエリアスの喉が鳴った。
矜持を義妹に穢された屈辱によって奏でられた、惨めで清廉な音色にイングリットは薄い笑みを浮かべる。
民を見捨てるのかとイングリットを詰ったばかりなのだ。
そうでなくても彼の中で、自らの矜持と民の命は天秤にかける余地さえない。
「女性の悦ばせ方くらいご存知でしょう? わたくしの痴態を、何度もご覧になっていたんですもの」
エリアスは唇を固く引き結ぶと肩で大きく息を吐く。
そして、のろのろと顔をイングリットに向けた。唇に秘裂を撫でられるだけでも背筋に甘い痺れが走る。縋りつく場所を求め、けれど見つけられなくてイングリットは身を捩った。
「さ……どうぞ、お義兄様。新たな国王として民に尽くすその前に、可愛い犬としてわたくしに一生懸命尽くして下さいませね」
誰にも向けることがないであろう蔑んだ目で見て欲しいのに、イングリットの心境を知ってか知らずかエリアスは目を閉じた。
永遠とも思える重く短い静寂の後、赤い舌先がようやくのぞく。はしたなく尖った蕾へと伸ばされ、濡れた粘膜が触れ合って水音をあげた。
「っ、ふ……」
たちまち強烈な快感が背筋を駆け抜けて行く。
どんな形であろうとエリアスに施された愛撫に、全身が歓喜でわなないた。
「あっ、ぁ……っ! お義兄様……とっても、お上手よ……」
秘裂を舐め回し、頂上で芯を持って硬くなった突起を唇で挟みながら吸い上げ、今度は舌全体を使って押し潰しては舌先で舐る。
あまりの気持ち良さに腰を引くもエリアスは許してはくれなかった。舌を蜜壺に捻じ込み、初めての異物の侵入に戸惑う中すら容赦なく舐めた。
「お義兄様ったら。こんな状況なのに、とてもお元気でいらっしゃること」
イングリットは首を巡らせ、先走りの体液で再び先端を濡れ光らせた熱杭を視界に収めて微笑む。
エリアスの雄芯は先程に負けず劣らず硬く屹立していた。
義兄だ義妹だと口では言いながら、男としての本能に抗いきれない。
無様で、それでも美しかった。
早く欲しい。
イングリットを深く貫き、未だみじめなまでにエリアスの愛だけを希って、この優しくない世界にわずかに残した未練を断ち切って欲しい。
「他の……男の前でも、お前はそうなのか」
「ふ……っ。どう、でしょう……か……。お義兄様は……どちらがよろしいの……?」
それに対するエリアスからの答えはなく、逃げても追われる快楽にイングリットは浸った。
力を失いつつある足が、身体を支えきれずに震える。
下腹部から切なさを伴う何かがせり上がろうとしていた。勝手に腰が揺れてしまう。エリアスの口元に秘裂を押しつけ、より強い快楽を求めて貪った。
「おに……様……っ! 来ちゃう、来ちゃうの。奥、から……っ、ぁ、ぁ――!」
背筋をのけぞらせて絶頂を迎える。
足のつけ根が熱く脈打つ度に全身に快楽が広がった。小刻みな呼吸を繰り返して息を整える。まだだ。まだ足りない。この程度じゃ満足できない。
「今度は……こちらに、お義兄様の精を下さいな」
懸命に腰を浮かせ、エリアスの下腹部を跨ぐ位置へと移動する。
義兄と一つになれると分かっていても恐怖心は消えなかった。長く静かに息を吐く。
(大丈夫。――大丈夫……だから)
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