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おまけ話色々

ベリルローズ公爵夫妻の淫らな一日 夜:お風呂にて 後  ☆

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 アリシアの唇が切っ先に寄せられた。淡い桃色の唇からのぞく小さな舌が、カイルの先端をちろりと舐める。
 今日の昼前にキッチンで見た、瞬時にしてカイルの情欲に火をつけた光景が脳裏をよぎって行く。

 いつか、してもらいたいと思っていた。けれどそれはアリシアがもう少し大人になってからでもいい。そう思っていた。
 そんな行動を今、アリシアが自分の意思でしようとしてくれている。

 アリシアは先端に潤みはじめた先走りの液体を舐めても良いか迷っているようだった。
 しなくていい。そう声をかけようにも、本心はして欲しいと思っているから何も言えずにアリシアの次の行動を見守ることしかできない。

「んっ……」

 アリシアの眉が寄るのを見て、思わず笑みが浮かんだ。

「おいしくないだろうから、無理はしなくていいよ」

 アリシアは首を振ることで続けると意思表示し、ゆっくりと手を動かしはじめた。そして躊躇いがちに先端に舌を這わせ、上下に舐める。
 もちろんまだその動作はぎこちなくて上手くはない。けれどアリシアが自分の為だけにしてくれる。その事実だけでカイルには十分だった。
 初めて同士が、気持ち良くなって欲しい一心で相手に尽くす。そこに何の不満があるだろうか。

 上目遣いでカイルの反応を確かめながら、あちこちを舐める仕草が愛おしい。
 つるりとした先端と筋張る部分の境目を舌でなぞられると思わず低く呻いてしまった。途端にアリシアは唇を離して心配そうな目を向ける。

「ごめんね。私、初めて、だから……。痛くしてた……?」
「いや。――すごく、気持ち良いよ」

 正直に白状すれば、たちまち嬉しそうに目を細めてそこを念入りに舐める。さらには歯を立てないよう唇で食んだり、強めに吸いついてみたりと違う動作も交えられた。

 喉が、乾いて来る。

 カイルは唾液を飲み込み、そして自分の唇を軽く舐めて湿らせた。
 小さな口のもたらす愛撫に良いように翻弄されている。それはもちろん苦痛などではなく、カイルはより長い時間浸っていたくて奥歯を噛みしめた。

「あの、痛かったら、すぐ教えて……?」
「痛くないから、もっとしてくれると嬉しいかな」

 頭を抑えつけて無理やり口に含ませたくなるから髪は撫でなかった。けれどカイルの返事を聞いたアリシアがあまりにも幸せそうに微笑むから、結局は我慢できなくて目を合わせたまま髪を撫でる。
 アリシアはまるで自分が愛撫を受けているかのようにうっとりと表情を綻ばせ、そしてできる限り大きく口を開けてカイルの剛直を咥内に飲み込んで行った。

「アリ……!」

 驚いて引きかけたカイルの腰に両手を回し、どこにそんな力があったのかというような強さで押し戻す。それから、口に入りきらなかった竿の部分に再び指を添えてこすりながら懸命に頭を上下させた。

「ん……。ん、ん……っ」

 熱く湿る舌と、柔らかな咥内の粘膜になぞられる度にたまらなくなった。
 精一杯頬張りながらもアリシアはどうしたら良いのか自分なりに考えているようで、時折口をすぼませたり舌を絡めたり、吸ってみたりする。少しずつだが早くも学習の成果は現れていて上達しはじめていた。

 唾液を潤滑油代わりにし、舌先で筋張った部分を丁寧に舐められると腰が浮きそうになる。
 カイルがこの場所への刺激を好むのは早いうちからばれたことだ。何とか気持ち良くなってもらおうと一生懸命なアリシアも、手を変え品を変えて尽くしている。

「あ、ふ……っ」

 奉仕を続けるその向こうで、甘やかに揺れるふくらみの先端が濃く色づいて尖っているのが見えた。
 アリシアにはその気はないであろう可愛らしい誘惑に、気取られないように唾液を飲み込む。

 触れたい。
 啼かせたい。
 そして――入れたい。

 新たな欲棒を抱けば口の中に含まれた剛直が硬度と質量を増す。
 もう限界だろう。

「アリシア、もう……出るから」

 達しそうになったアリシアが「きちゃう」と啼き乱れる様はとても可愛かったが、似たような言葉を自分が言うのはひどく不格好だと思った。

 今日だけで二回も吐精してはいる。
 だから今放たれようとしている精液はさほど濃くはないはずだ。口にして欲しい気持ちも、ないわけでもない。
 しかし、それにはまだ時期が早いような気もした。

「アリシアの中に出させて」

 身体を離されることにいやいやと首を振って抵抗していたアリシアが、その一言でおとなしくなった。
 けれど口から引き抜く時にカイルも名残り惜しさを感じてしまう。最後まで剛直に添えられていた舌が離れて行く様を見ていると、再び口の中の奥まで突き入れてそのまま果てたい欲望すら沸いて来るようだった。

 未練がましく燻る自分本位の欲望を断ち切り、アリシアの身体を足の上に乗せた。
 湿った水音がバスルームにかすかに響く。音の出どころを探るように足のつけ根にそっと触れた。思った通り、そこは密に溢れてカイルの指をしとどに濡らす。

「俺のを咥えてただけで、こんなにしたの?」
「ふぁ……っ」

 アリシアの秘められた場所は溢れそうなほど濡れていた。すでに濡れた場所をカイルの指先で撫でられ、アリシアは小さな嬌声をあげる。カイルの剛直を愛撫していただけで蜜を溢れさせるのも、そこを軽く撫でられて身体を快楽に震わせるのも可愛くて仕方がなかった。

 いつもなら先に指で慣らすが、もう三度目だ。
 それにアリシアがのぼせてしまわないとも限らない。
 自分に言い訳しながら、アリシアの中に入りたいと訴える欲望に忠実になる。

「……アリシア、もう挿れてもいい?」

 隠しようのない情欲に塗れた声で問いかければ、恥ずかしそうに頷かれた。
 できる限りアリシアの負担の少ない体勢を……と考えて、身体の向きを入れ替える。図書館では互いに向き合った状態でアリシアが沈み込むままに任せたが、今度は後ろからカイルが貫いた。

「あっ、あぁ……っ!」

 一息に奥深くまで串刺しにされ、アリシアが甘い啼き声を上げる。
 うっすらと汗ばむ首筋に吸いつき、抱きすくめるようにふくらみの先端と足のつけ根へと指を這わせた。
 慎ましいどちらの突起も情欲に硬く尖り、カイルの愛撫に敏感な反応を示してくれる。

「そんな、しちゃだめ……っ! きちゃうっ、きちゃうから……」

 上からアリシアの手が重なった。けれどカイルの手を止めさせるだけの力はなく、弱々しくしがみつくだけだ。耳を食み、首筋に所有の印をつけるとカイルは優しく快楽を促した。

「ん、いいよアリシア。可愛いね、イッていいよ」
「一緒が、いい……。一緒、に、きて。奥にきて……!」

 そんな健気なおねだりをされたら叶えないわけには行かない。

 本能のまま精を絞り取ろうと蠕動し、締めつける蜜壺に抗うべくアリシアの膝を抱えた。彼女の好きな場所をこすり立て、奥深くを穿つ。

「あ……っ! あっ、あ、あ――っ!」

 今日だけでもう何度目か分からない絶頂を迎えるアリシアの中に、カイルは三度目となる精液を注ぎ込んだ。



 ぐったりとするアリシアが次に一緒にお風呂に入ることを許してくれたのは、さらに半年後のことだった。

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