上 下
28 / 33
おまけ話色々

ベリルローズ公爵夫妻の淫らな一日 昼下がり:図書館にて 後  ☆

しおりを挟む
「あ……、は、ぁ……」
「俺にしがみついていいよ」

 荒い呼吸を繰り返すアリシアにそう伝えれば、すぐさま首筋にすがりついて来る。
 もう少し胸への愛撫を続けていたかったが仕方ない。それでも挿入するにはまだ早い気がして、背中を抱き留めたまま指を蜜口に押し当てた。

「ふぁ……っ!」

 ゆっくりと中指を沈め、もうすっかり場所を覚えたざらついた部分を刺激する。熱くとろけた蜜壺はカイルの指をもきつく締めつけ、うごめいた。

「あと二本も受け入れられそう?」

 尋ねれば、しがみついたまま何度も首を縦に振った。宥めるように背中を撫で、入れたいと宣言したも同然の残りの二本の指も飲み込ませる。中を探り、水音と共に抜き差しをすると、まだ熱を燻らせたままの身体はあっという間に二度目の絶頂に達してしまった。

「あっ、あ、あぁ――!」

 指を抜き、ついばむような口づけを繰り返す。
 スラックスの中で、自らのものが愛おしい彼女の中に入りたいと硬く屹立して主張をしはじめていた。
 足に上手く力が入れられず、かろうじて膝立ちになるアリシアを支えてやりながら、そそり立ったそれを取り出す。それから、今度は指ではなく切っ先を蜜口に触れさせた。

「自分で入れられる?」
「そ、なの、できな……」
「どうして?」
「だって、はずかしいもの……」
「そうなんだ」

 カイルは残念そうに言うとアリシアの頬を包み込んだ。

「アリシアの手で、中に入らせて」

 耳元で囁けば小さな身体の温度が瞬時に跳ね上がる。

「……意地悪」
「ゆっくりでいいから、そのまま腰を落として」

 アリシアは真っ赤な顔をしてカイルの肩に手を置いた。その細く折れてしまいそうな腰と、目の前の肢体の中に欲望を吐き出したくて昂る自らの剛直とを支えれば、少しの躊躇ためらいの後に熱を帯びてぬかるんだ粘膜に切っ先が飲み込まれて行く。

「ッ……」

 カイルは奥歯を噛みしめた。
 まずい。想像していたよりもずっと興奮する。
 早くアリシアを貫きたいのを懸命に堪え、彼女が自分のペースでカイルを受け入れて行く姿を見守った。そんなカイルの焦りに気がついているはずもないアリシアは、たっぷりと焦らすかのように少しずつ腰を落とす。

「ん、あっ……全部、はいっ……」
「うん。頑張ったね」

 どれだけ我慢したのか。ようやく全てを受け入れたアリシアの身体が密着すると、カイルはたまらずに突き上げを開始した。

「カイル待ってっ、まだっ、まだだめっ……!」
「ごめんね、もう待てない」

 カイルの首にすがりついて懇願するアリシアの双丘を掴んで揺さぶる。

「やだっ、やだあっ……! あっ、あ、んっ、あ……っ!」
「下のお口はやだなんて言ってないよ」

 耳元であがる啼き声がカイルの理性を奪って行く。
 普段なら言わないようなことを言ってアリシアの羞恥心を煽った。案の定アリシアは耳まで真っ赤にしていやいやと首を振る。

「いじわ、」
「可愛いね。俺のお姫様は、誰よりも可愛い」

 嫌いだと言われてしまう前に愛情を注ぐ。言葉ごと息を飲む音が聞こえた。

「――ばか。嫌い……」

 結局、嫌いだとは言われてしまった。だがその声は拗ねたようなそれで、嫌悪の混じったものではない。

 いつもとは逆にカイルより高い位置に顔のあるアリシアが顔を寄せる。カイルの唇を仔猫のように舐め、目を合わせると悪戯っぽく笑った。その身体の最奥にカイルを受け入れている最中だとは到底思えない無邪気な笑顔にカイルは目を細める。
 ずっと、この笑顔を向けて欲しかった。その願いが叶った今は、自分以外には向けて欲しくないとさえ思う。

 今度は逆にカイルがアリシアの唇を舐める。小さな悲鳴をあげて腰を弾ませたアリシアは、それで自分の気持ちのいい場所をこすってしまったらしい。さらに身をのけぞらせた。

「この体勢だとココがイイの?」

 その反応を見逃さなかったカイルが意図的にそこをこすり立てる。

「ちがっ、違うの……っ」
「違っても気持ち良さそうだね」
「あっ、あん……っ! あっ、や、ああんっ!」

 お互いに最低限だけ衣服を乱して身体を繋げる背徳感に、アリシアの身体がびくびくと跳ねる。

「カイル、カイル……っ」
「ん……。アリシア、気持ちイイ?」
「う、んっ……。気持ちイイ、気持ちイイよぉっ……」

 気がついているのかいないのか、ゆるゆると腰を揺らすアリシアの両膝を支え、上下に動かさせながらもカイルは下から大きく突き上げる。その度に重く湿った音が漏れて、たまらなく高揚させた。

「こっ、こわい、から……っ、キス、して……っ」

 可愛らしく淫らにねだるお姫様の、その淡い桜色の唇を貪るように塞ぐ。途端に中が激しくうねり、カイルをきつく締め上げた。それによって恐れていた「こわい場所」へ自分が連れ去られる結果になるというのに、カイルに口づけをされていたら「こわくない」と思う彼女が愛しくてたまらなかった。
 快楽で蕩ける上下の口を、舌と剛直で蹂躙する。繋がる身体そのものは見えなくても、荒く弾む吐息と嬌声、何よりもうっとりと快楽に浸る表情がカイルを深く満たした。

「ひゃ……っ」
「どうして欲しいの?」

 耳元で囁くと、それだけでアリシアはひくりと中を震わせた。そんな反応も可愛くて、カイルのそれも熱と硬さを増す。するとまたアリシアが身体を震わせるという結果になった。

 ただカイルに甘えて、首に両腕を回して縋りつく。
 口づけをしやすい体勢だからだろうか。すぐに我慢できなくなって離してしまうくせに、いつも以上に積極的に唇を求めて来る。揺さぶられている時に唇が離れてしまうせいで唇の周りがどちらのものともしれない唾液に塗れ、だらしない様がひどく煽情的だった。

「んっ……! ふ、あぁっ……!」

 耐えきれなくなったアリシアが唇を離す。
 けれどカイルは逃がしてやるつもりはなかった。まだわずかに差し出された舌を追って、すぐにきつく吸い上げる。
 いやいやと首を振ってまた逃げ出し、アリシアは甘い啼き声で訴えた。

「や、も、やだぁ……っ」
「ん、いいよ、イッて」

 一旦口づけは諦めて、再び激しく揺すぶってやる。アリシアは許して欲しくて甘えるような声を上げるが、それがカイルをさらに煽っていることには気がつかない。
 気がついていたとして、アリシアにはどうにもできないことだ。
 快楽を拾いやすい彼女は甘い啼き声をたくさんあげるし、カイルはアリシアの啼き声はたくさん聞きたい。

 アリシアの舌っ足らずな声がカイルの背筋をぞくぞくと撫であげる。
 その全てがカイルにとっては極上の媚薬に等しくて、目の前に差し出された肢体を夢中になって貪った。
 カイルの動きに敏感に反応するところも、快楽と羞恥で泣きながらカイルを深く強く咥え込んで離そうとはしないところも、ぼんやりとした意識でなおもカイルに愛を囁き返してくれるところも、何もかもが愛おしい。

 わざと水音を立てながら舌を絡ませる口づけを交わす。アリシアの目尻に溜まった涙を舐め取り、そのまま耳へと滑らせて甘噛みをする。

「も、だめ……っ! あっ、あっ、あ……っ!」

 蜜壺が激しく蠕動し、カイルにも吐精を促す。

 まだ、身籠らなくていい。
 だが雄の本能は身籠らせようとアリシアの身体を引き下げ、少しでも早く子種を胎内に送り込もうとする。

 奥深い場所に熱い体液を注がれ、アリシアはよりいっそうとカイルにしがみついた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。