【R18】「今夜は私が、クルヴィス様を襲いに来ました」

瀬月 ゆな

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謝肉祭の夜 1

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 その真意を確かめるよう、クルヴィスはカボチャの仮面を被った少女をじっと見つめた。

「君が俺を、襲いに……?」
「はい。我慢できなくて、早速少しいただいてしまいましたけれど」

 いたずらっぽく少女は言うが、聞き捨てならない台詞だった。

 今日は、襲いに来た、とはどういうことだ。その言い方では以前にクルヴィスが彼女を襲ったことがあるようではないか。
 もちろん心当たりなどあるはずもない。異論を唱えようとするクルヴィスをよそに、少女はワンピースを脱ぎ捨てて下着をも外す。一筋の光も差さない真っ暗な部屋の中に、真っ白な身体の輪郭が淡く幻想的に浮かび上がった。

 初めて見る異性の裸体はとても綺麗で、もっとじっくりと見たくてクルヴィスは魔力で光を灯そうとした。それを察したのか、少女は身を屈めると人差し指を立ててクルヴィスの唇に押し当てる。

「だぁめ」

 つやめく唇が、そう言っているかのように動いた。それからにっこりと微笑むと、どこに用意していたのか小瓶を手に取って自らの手に中の液体を垂らす。
 液体の匂いなのか、ほのかに甘く柔らかい香りが漂う。どこかで嗅いだ覚えがあるが思い出せない。もっとも、思い出さずとも良いような気もした。

 少女の手が、吐精したばかりで萎えているクルヴィスの雄芯に何とも知れない液体を塗りつけて行く。どうせならもっと煽情的な手つきでして欲しいと思ったが、他人に触れられたことなどない身は、すべらかな手と粘度のある液体の感触にあっという間に高められた。

「ふふ。クルヴィス様の……すごく、おっきくなりましたね……。とても、素敵です」

 見れば分かるものを言葉で伝えられ、さすがに羞恥を覚える。だが我ながら恥ずかしくなるくらい再び硬く屹立した逸物に、少女はうっとりとした視線を向けた。小瓶をさらに傾け、残りの液体が絡んだ指を今度は自らの脚のつけ根に這わせる。

 濡れた音がして、また別の甘い匂いがクルヴィスの鼻先をくすぐった。
 雄の本能が揺さぶられ、そそり立つものが一段と硬さを増す。少女もそれを感じたのか、切なげに吐息をこぼすと身をずらした。

「じっとしていて下さいね」

 剛直に指を添え、腰を落とす。先端が熱くぬかるんだ場所に触れ、水音だけで興奮が頂点に達しそうになった。いくら夢でも初めての挿入直前に吐精するなど、さすがに無様だ。まして直前に一度放ったばかりである。

 必死にやりすごすと、そんな苦労を弄ぶように少女は腰を前後に揺らした。
 クルヴィスの先走りと少女の愛蜜、小瓶の液体とで溢れそうなほどに濡れた襞の間を、重い水音を立てながら剛直が行き来する。同じように固く尖った小さな蕾を擦り立てる度、少女はひくりと背筋を震わせた。そして、クルヴィスの腹の上に乗せた両手を所在なさげにぎゅっと握り込む。

「ね、クルヴィス様……。私の中に、れたい、ですか……?」

 可愛い見た目をして情欲に塗れた女の声が、頭の内側を無遠慮にかき混ぜる。
 みっともなく腰を突き上げて押しつけそうになるのはかろうじてこらえ、クルヴィスは本能のまま頷いた。
 余裕があったのなら「挿れて欲しい、じゃないのか」と言えたのかもしれない。
 だが経験のないクルヴィスは掠れた声で欲望を告げるしかできなかった。

「――挿れたい」
「素直な良い子には、お菓子をあげます」

 少女は嬉しそうにはにかんだ。
 仮面の下からのぞく表情は豊かで可愛らしい。その一挙手一投足が好意的に映るのは、これから身体を繋げようとしている相手だからだろうか。
 少なくと悪意は感じない。眠っているクルヴィスを襲って、殺してしまうこともできた。なのに彼女がしたことはクルヴィスの剛直を咥え込むことだった。

 不法侵入や寝ている男を襲うことが良い行いなのかは別として、クルヴィスとしては何も損をしていない。むしろ気持ち良くしてもらって、可愛い子のようだし別にいいかなと思うくらいだ。

 少女が腰を動かすと先端がわずかな窪みを捉えた。収めるべき場所を見つけたかのように一際淫らな水音があがる。受け入れさせる為、受け入れる為に、お互いが新たな欲をにじませた。

「ふ……、ん、ぅ……。クルヴィス様の、入って……っ」

 焼けつきそうなほどに熱を帯びた少女の中に、クルヴィスの全てが飲み込まれて行く。

 途中、強い抵抗を受けながら奥まで貫いたその胎内はとても狭く、きつい。
 もしかしたら、誘うような真似を続けているのに彼女も初めてだったのではないか。完全に繋がった後で今さらに気遣いの目を向けると、少女は優しく微笑んだ。
 その表情は痛みを堪えていたり、無理をしているようには見えない。もっとも、小瓶の中身がそうした感覚を和らげる薬であった可能性が高いのだが。

「心配して、下さるんですね。でも……大丈夫です」

 ね?と同意を求めるように囁き、クルヴィスの上に跨ったまま、雄々しく昂ったものを小柄な身体で受け止めた少女が腰をくねらせる。途端に漂う匂いと響く水音とが行為の淫靡さを雄弁に語り、さらなる興奮への呼び水となった。

「ん……っ、あっ、クルヴィス様、クルヴィス様ぁっ」

 最初はひどくぎこちなかったものの、すぐにコツを掴んだようだ。今や自らの善い場所を擦り立てるようになまめかしく動き、熱い粘膜はクルヴィスの形に完全に馴染んで蕩けながら吸いついて来る。

 甘く荒い呼吸。素肌がぶつかり合う音。重く濡れた水音。ベッドが軋む音。

 普段の夜なら何一つ聞くことさえできない音が部屋中に響き、眼前でぼんやりとした輪郭を持って揺れる少女と、下腹部を包む確かな熱とが夢と現の境界をもぼやけさせた。

 窓を閉め忘れていたらしい。視界の隅でカーテンが揺れた。眠る前に厚い雲に覆われていたのを見た月が顔を出し、そよぐカーテンの隙間から冴え冴えとした青白い光が部屋に差し込んだ。

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