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謝肉祭当日
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ひどい頭痛に目を覚ます。
頭だけでなく、身体のあちこちが痛かった。どうやら昨夜、泥酔したあまり寝室のベッドまで行かずにリビングの床でそのまま眠ってしまったらしい。魔術師団の制服のまま、着替えてすらいなかった。
何だか部屋中がやけに青くさいにおいに包まれていることを疑問に思いつつ、とりあえず湯浴みでもしようとのろのろと立ち上がる。だが 違和感を覚え、上手く立つことができなかった。
「あ――」
視線を落とせば制服が着崩れているのが見えた。
それだけなら、眠っている間に寝苦しくてボタンを外したのだろうと思える。
しかし下半身が非常にみっともない状態になっていた。何故か下衣が脱ぎかけの状態で、膝の辺りまでずり下ろされているのだ。
そんな姿ではよろめくのも当然で、その拍子に右足が固い何かに当たった。
重心が低くどっしりと構える何かにバランスを崩しかけ、すんでのところで踏み止まる。障害物になるようなものは置いていなかったはずだが――正体を確認し、眉根を寄せた。
カボチャのランタンが転がっている。
年に一度の収穫祭である今夜、魔力を流して明かりを灯す為に魔術師団から支給されたものだ。実家を離れ、家庭も恋人もなく、家に帰ったら寝るだけの生活を送るクルヴィスは一昨日、そのどっしりとした重さに些か辟易としながらも持ち帰って――より正確に言うなら持ち帰らされて――来た。
とりあえずテーブルの上に置いた記憶はあるのだが、何故床に転がっているのだろう。しかも、口としてくり抜かれた部分の奥に何やら白い液体がべったりと付着していた。
嫌な予感を覚えつつも持ち上げれば、不快感から自然と眉間にしわが寄る。部屋中に広がる青くさいにおいはやはりそれが原因のようだ。
「何だこれ……? ――いや、あー……」
苦々しい声が口をつく。
記憶はないが、起きてからこれまでに目にした点と点が繋がるには十分すぎる状況だった。
せめてもの救いは精液で汚れているのが口の中ということだが、そもそもランタンの口に突っ込んで吐精したらしいという事実に何ら変わりはない。
いくら泥酔していたとは言え、穴さえあれば何でも良かったくらい昂っていたのか。よく犬歯の尖った部分に引っかけて怪我をしなかったものだとか、情けないやら感心するやら、一晩寝た程度ではアルコールが抜けきっていない頭では処理が追いつかない。
しかしやってしまったものはどうしようもない。
クルヴィスは大きく息を吐き、バスルームに向かった。そして二日酔いのまま魔術師団に赴き、帰って来ると食事と湯浴みだけを済ませてベッドに潜り込んだ。
そして夜中、別の事件が起こったのである。
頭だけでなく、身体のあちこちが痛かった。どうやら昨夜、泥酔したあまり寝室のベッドまで行かずにリビングの床でそのまま眠ってしまったらしい。魔術師団の制服のまま、着替えてすらいなかった。
何だか部屋中がやけに青くさいにおいに包まれていることを疑問に思いつつ、とりあえず湯浴みでもしようとのろのろと立ち上がる。だが 違和感を覚え、上手く立つことができなかった。
「あ――」
視線を落とせば制服が着崩れているのが見えた。
それだけなら、眠っている間に寝苦しくてボタンを外したのだろうと思える。
しかし下半身が非常にみっともない状態になっていた。何故か下衣が脱ぎかけの状態で、膝の辺りまでずり下ろされているのだ。
そんな姿ではよろめくのも当然で、その拍子に右足が固い何かに当たった。
重心が低くどっしりと構える何かにバランスを崩しかけ、すんでのところで踏み止まる。障害物になるようなものは置いていなかったはずだが――正体を確認し、眉根を寄せた。
カボチャのランタンが転がっている。
年に一度の収穫祭である今夜、魔力を流して明かりを灯す為に魔術師団から支給されたものだ。実家を離れ、家庭も恋人もなく、家に帰ったら寝るだけの生活を送るクルヴィスは一昨日、そのどっしりとした重さに些か辟易としながらも持ち帰って――より正確に言うなら持ち帰らされて――来た。
とりあえずテーブルの上に置いた記憶はあるのだが、何故床に転がっているのだろう。しかも、口としてくり抜かれた部分の奥に何やら白い液体がべったりと付着していた。
嫌な予感を覚えつつも持ち上げれば、不快感から自然と眉間にしわが寄る。部屋中に広がる青くさいにおいはやはりそれが原因のようだ。
「何だこれ……? ――いや、あー……」
苦々しい声が口をつく。
記憶はないが、起きてからこれまでに目にした点と点が繋がるには十分すぎる状況だった。
せめてもの救いは精液で汚れているのが口の中ということだが、そもそもランタンの口に突っ込んで吐精したらしいという事実に何ら変わりはない。
いくら泥酔していたとは言え、穴さえあれば何でも良かったくらい昂っていたのか。よく犬歯の尖った部分に引っかけて怪我をしなかったものだとか、情けないやら感心するやら、一晩寝た程度ではアルコールが抜けきっていない頭では処理が追いつかない。
しかしやってしまったものはどうしようもない。
クルヴィスは大きく息を吐き、バスルームに向かった。そして二日酔いのまま魔術師団に赴き、帰って来ると食事と湯浴みだけを済ませてベッドに潜り込んだ。
そして夜中、別の事件が起こったのである。
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