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一線
ずっとこのままでいられたら ☆
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リヒトは繊細なその場所を傷つけることのないよう、少しずつ慎重に指を進ませた。
たった一本の指が、アリーシェリナの中で大きな存在感を示している。
何だかとても不思議な気分だ。狭い場所をリヒトの指の太さに押し広げられて苦痛を覚えると同時に、正体の分からない想いがせり上がって来る。
「痛くはない?」
「ん……っ。平気、です……。でも……」
「でも? 苦しい?」
指を奥深くに差し込んだままリヒトは顔を上げた。
ゆっくりと身を起こして視線を合わせてくれるけれど、今は逆に羞恥を誘う。苦痛を和らげるべく親指で蕾を転がしたり弾かれたりすると、快楽に蕩けそうになるからなおさらだ。
「そ、れ……。だめ、顔……見たら……っ」
耐えきれずにいやいやとかぶりを振った。
気持ち良い。
でも、恥ずかしい。
顔を覆う為に動かした手が、意図を察したリヒトに再び捕まれる。
涙の潤む目で咎めるように見つめると、リヒトは手を引き寄せて指先に口づけた。
「アリィ、安心したい。大丈夫なら君の可愛い顔を見せて」
「可愛くなんか、な……」
「僕にはアリィだけが可愛いよ」
アリーシェリナの胎内を探るように自分の指を動かしながら、アリーシェリナの指を唇に挟んで舌を這わせる。指と指の間を啄まれたり、蕾の裏側辺りを胎内から擦られたりするとアリーシェリナは啼き声をあげると共に腰を跳ねさせた。
リヒトの指にかき混ぜられる蜜壺からあがる水音が大きくなっている。
強まった圧迫感は、いつの間にか二本の指を咥え込んでいるせいだ。あまりにも自然な動きで増やされたからか痛みはない。けれど内側から追い立てられるような感覚がする。
「あ、ん……っ! おねが……。も……だめ……」
「たくさん気持ち良くなって可愛いねアリィ。もっと、気持ち良くしてあげるから」
「これ以上、は、壊れ、ちゃ……っ」
腹部を撫でられ、三本目の指が胎内に入って来た。アリーシェリナの下腹部は完全に陥落してリヒトが与える快楽をひたすら甘受するしかない。
もっと気持ち良くなる、その言葉通りに快楽が深まる。
中と外の両側から蕾を責められ、身も心も溶けてしまいそうだった。
「っぁ……! あ、あぁ……っ!」
「アリィ、もう……挿れたい」
新しく触れられる度に絶頂を迎え、きつく締まる蜜壺からリヒトの指が離れて行く。その動きにも喘ぐアリーシェリナのガウンを腕から抜き取り、リヒトも自らのガウンを脱いだ。
お互い素裸になったのに吐く息は熱を帯びるばかりだった。
触れる手も、触れられる身体も、何もかもが熱い。
リヒトは華奢な腰を両手で掴むと、先程まで指を咥え込ませていた蜜口に肉槍の先端を押しつけた。すでに滲んだ先走りがアリーシェリナの蜜と混じり合って濡れた音を立てる。淫らな水音に肩を震わせるアリーシェリナの胎内へと、そのまま一気に腰を進めた。
「ひ、ぁ……! あっ、あ――!」
アリーシェリナの背中が大きくのけぞった。
熱杭が固く閉ざされた媚肉を少しずつこじ開け、引き攣れるような鈍い痛みが足のつけ根付近に留まる。
声にならない声が漏れた。悲鳴とも啼き声とも違う、言うなれば無意識の呼吸音が、必死に痛みを逃そうと口をつく。
身体の中心を深々と貫くリヒトの熱を感じる。
アリーシェリナの胎内に存在しえなかった大きくて硬いものが確かにあった。
「アリィ……痛くしてるね、ごめんね」
「大丈夫、です……」
「そんな呼吸の仕方じゃ、大丈夫には見えないよ」
リヒトは苦笑いを浮かべてアリーシェリナの頬を包み込んだ。
「でもごめんね、今はもう、アリィが苦しくてもやめてあげられそうにない」
「やめ、られた方が……つらい、から……」
そうしたら二度と、一つにはなれない。
アリーシェリナに無理をさせるならとリヒトは決断してしまうだろう。
漠然とした、けれど確信だと分かる想像がよぎった。
でもアリーシェリナは、痛みを我慢してはいるけれど無理はしていない。
だから最後までして欲しかった。
そして、はしたないと思われてもいい。明日の夜も明後日の夜も部屋を訪れるから、誰にも邪魔されずに一つになりたかった。
「ごめんね、アリィ」
「私、も、望んだんです……。私を好きなら……、謝らないで、下さい。――後悔、しないで」
「後悔なんてしていないし、これからもしないよ」
リヒトの手が優しく頬を撫でる。
アリーシェリナはリヒトを見つめ、そして目を閉じた。信じているからと手に頬を擦り寄せる。
足のつけ根に響く痛みがほんの少し和らいだように感じたのは気のせいだろうか。
きっと、気のせいじゃない。
「だから私も……無理なんて、してない、です」
「――うん」
唇が一瞬触れたかと思えば、すぐに離れる。
もどかしくて、リヒトの首に手を回して引き寄せた。自ら奪うように唇を重ね、舌を差し込んで絡める。粘膜の触れ合いが、こんなにも気持ち良いなんて知らなかった。でも、触れ合わせても良いと思った相手だからこそ、気持ち良くてたまらないのだろう。
口づけを続けたまま、リヒトの両手がふくらみをやんわりと揉みしだきはじめた。大きな手の中で柔らかさを味わうように揺らし、手のひらや指の腹で乳首を転がす。
左胸の奥で、今にも飛び出してしまいそうに心臓が高鳴っている。
アリーシェリナは左手だけリヒトの首から心臓の辺りへとすべらせた。背中側からでも、リヒトの鼓動が伝わって来る。同じだ。今の二人は同じ快楽と昂りを二人だけで分け合い、共有している。
沸き上がる想いにかぶりを振ると、口づけはしていられなくなった。
今度は言葉にして伝える。
「リヒト、様……。気持ち、い……」
お腹が熱い。
胎内はまだいくぶんかの固さを残してはいるものの、柔らかく開かれはじめている。そして、奥深い場所に収めた愛しい人の剛直を強く締めつけては激しくうねった。
離したくなくて、離れたくなくて、蜜壺は健気に食い締めた。
「リヒト様。リヒト、様……っ」
「ん、アリィ……僕もすごく、気持ちが良いよ」
外で荒れ狂う嵐に負けないほどの強さで、部屋の中では二つの荒い呼吸と水音とが淫らに響く。
もう痛みはなかった。全身でリヒトに縋りつき、無意識の仕草で腰を揺する。肌と肌を打ちつけ合っては艶めいた啼き声をあげ、未だ知らないはずの頂へと本能で登りつめて行く。
「好きだ、アリィ。――愛してる」
「リヒ、様……。っぁ、あ、あぁぁ……!」
いちばん奥深い場所に熱い塊が幾度も叩きつけられて頭の中が真っ白に染まる。
そして静かにゆっくりと、色を取り戻して行った。
「アリィ」
リヒトの腕の中で心地良いまどろみに揺蕩っていると名前を呼ばれた。
顔を上げれば、鋭くぎらついた情欲ではなく甘やかな情愛の色を帯びた瞳が真っすぐに見つめている。
愛しくてたまらない。
そう言ってくれているようで、どきりとした。
「起こしてごめんね。でも、君にこれを渡しておきたくて」
「え……」
リヒトが首に何かをかけたのか首筋にひんやりとした感触がする。
細い金色の鎖を指先でそっと辿ると、アリーシェリナの手のひらにちょうど収まるくらいの丸いものが触れた。細やかな意匠が掘られているのか表面がわずかにでこぼこしている。手に取って引き寄せると小さなネジらしきものが見え、蓋の閉まった懐中時計のようだった。
短い手足に大きな翼、細長い胴と尻尾を持った竜が向かい合った状態で二体おり、その間には上向きの三角形と下向きの三角形を組み合わせた図形が刻まれている。
図形の中には文字らしきものが掘られているけれど、さらに細かいうえにアリーシェリナには見覚えのない形だった。
掘られた意匠はあきらかに何かの紋様であり、リヒトの所持品であることを考えると王家か、それに近しいものを示す紋様に違いない。
「わ、私、いただけません」
「君に持っていて欲しい」
首から懐中時計を外して返そうとするもリヒトに押し留められてしまう。
アリーシェリナの手ごと懐中時計を包み込み、リヒトは真剣な瞳で見つめた。
「一週間後に王都へ行ったとしても、記憶が戻ったら必ず君を迎えに来る。――だから」
心臓の鼓動がさらに速まる。
それなのに時が止まってしまったみたいだ。髪を撫でてくれるのが心地良くて、ただじっとなすがままに任せる。リヒトの顔が近づいて唇が重なると、変わらずに時間が流れているのだと思った。
リヒトは柔らかな笑みを浮かべ、額同士を合わせた。
「その時は、結婚しよう」
たった一本の指が、アリーシェリナの中で大きな存在感を示している。
何だかとても不思議な気分だ。狭い場所をリヒトの指の太さに押し広げられて苦痛を覚えると同時に、正体の分からない想いがせり上がって来る。
「痛くはない?」
「ん……っ。平気、です……。でも……」
「でも? 苦しい?」
指を奥深くに差し込んだままリヒトは顔を上げた。
ゆっくりと身を起こして視線を合わせてくれるけれど、今は逆に羞恥を誘う。苦痛を和らげるべく親指で蕾を転がしたり弾かれたりすると、快楽に蕩けそうになるからなおさらだ。
「そ、れ……。だめ、顔……見たら……っ」
耐えきれずにいやいやとかぶりを振った。
気持ち良い。
でも、恥ずかしい。
顔を覆う為に動かした手が、意図を察したリヒトに再び捕まれる。
涙の潤む目で咎めるように見つめると、リヒトは手を引き寄せて指先に口づけた。
「アリィ、安心したい。大丈夫なら君の可愛い顔を見せて」
「可愛くなんか、な……」
「僕にはアリィだけが可愛いよ」
アリーシェリナの胎内を探るように自分の指を動かしながら、アリーシェリナの指を唇に挟んで舌を這わせる。指と指の間を啄まれたり、蕾の裏側辺りを胎内から擦られたりするとアリーシェリナは啼き声をあげると共に腰を跳ねさせた。
リヒトの指にかき混ぜられる蜜壺からあがる水音が大きくなっている。
強まった圧迫感は、いつの間にか二本の指を咥え込んでいるせいだ。あまりにも自然な動きで増やされたからか痛みはない。けれど内側から追い立てられるような感覚がする。
「あ、ん……っ! おねが……。も……だめ……」
「たくさん気持ち良くなって可愛いねアリィ。もっと、気持ち良くしてあげるから」
「これ以上、は、壊れ、ちゃ……っ」
腹部を撫でられ、三本目の指が胎内に入って来た。アリーシェリナの下腹部は完全に陥落してリヒトが与える快楽をひたすら甘受するしかない。
もっと気持ち良くなる、その言葉通りに快楽が深まる。
中と外の両側から蕾を責められ、身も心も溶けてしまいそうだった。
「っぁ……! あ、あぁ……っ!」
「アリィ、もう……挿れたい」
新しく触れられる度に絶頂を迎え、きつく締まる蜜壺からリヒトの指が離れて行く。その動きにも喘ぐアリーシェリナのガウンを腕から抜き取り、リヒトも自らのガウンを脱いだ。
お互い素裸になったのに吐く息は熱を帯びるばかりだった。
触れる手も、触れられる身体も、何もかもが熱い。
リヒトは華奢な腰を両手で掴むと、先程まで指を咥え込ませていた蜜口に肉槍の先端を押しつけた。すでに滲んだ先走りがアリーシェリナの蜜と混じり合って濡れた音を立てる。淫らな水音に肩を震わせるアリーシェリナの胎内へと、そのまま一気に腰を進めた。
「ひ、ぁ……! あっ、あ――!」
アリーシェリナの背中が大きくのけぞった。
熱杭が固く閉ざされた媚肉を少しずつこじ開け、引き攣れるような鈍い痛みが足のつけ根付近に留まる。
声にならない声が漏れた。悲鳴とも啼き声とも違う、言うなれば無意識の呼吸音が、必死に痛みを逃そうと口をつく。
身体の中心を深々と貫くリヒトの熱を感じる。
アリーシェリナの胎内に存在しえなかった大きくて硬いものが確かにあった。
「アリィ……痛くしてるね、ごめんね」
「大丈夫、です……」
「そんな呼吸の仕方じゃ、大丈夫には見えないよ」
リヒトは苦笑いを浮かべてアリーシェリナの頬を包み込んだ。
「でもごめんね、今はもう、アリィが苦しくてもやめてあげられそうにない」
「やめ、られた方が……つらい、から……」
そうしたら二度と、一つにはなれない。
アリーシェリナに無理をさせるならとリヒトは決断してしまうだろう。
漠然とした、けれど確信だと分かる想像がよぎった。
でもアリーシェリナは、痛みを我慢してはいるけれど無理はしていない。
だから最後までして欲しかった。
そして、はしたないと思われてもいい。明日の夜も明後日の夜も部屋を訪れるから、誰にも邪魔されずに一つになりたかった。
「ごめんね、アリィ」
「私、も、望んだんです……。私を好きなら……、謝らないで、下さい。――後悔、しないで」
「後悔なんてしていないし、これからもしないよ」
リヒトの手が優しく頬を撫でる。
アリーシェリナはリヒトを見つめ、そして目を閉じた。信じているからと手に頬を擦り寄せる。
足のつけ根に響く痛みがほんの少し和らいだように感じたのは気のせいだろうか。
きっと、気のせいじゃない。
「だから私も……無理なんて、してない、です」
「――うん」
唇が一瞬触れたかと思えば、すぐに離れる。
もどかしくて、リヒトの首に手を回して引き寄せた。自ら奪うように唇を重ね、舌を差し込んで絡める。粘膜の触れ合いが、こんなにも気持ち良いなんて知らなかった。でも、触れ合わせても良いと思った相手だからこそ、気持ち良くてたまらないのだろう。
口づけを続けたまま、リヒトの両手がふくらみをやんわりと揉みしだきはじめた。大きな手の中で柔らかさを味わうように揺らし、手のひらや指の腹で乳首を転がす。
左胸の奥で、今にも飛び出してしまいそうに心臓が高鳴っている。
アリーシェリナは左手だけリヒトの首から心臓の辺りへとすべらせた。背中側からでも、リヒトの鼓動が伝わって来る。同じだ。今の二人は同じ快楽と昂りを二人だけで分け合い、共有している。
沸き上がる想いにかぶりを振ると、口づけはしていられなくなった。
今度は言葉にして伝える。
「リヒト、様……。気持ち、い……」
お腹が熱い。
胎内はまだいくぶんかの固さを残してはいるものの、柔らかく開かれはじめている。そして、奥深い場所に収めた愛しい人の剛直を強く締めつけては激しくうねった。
離したくなくて、離れたくなくて、蜜壺は健気に食い締めた。
「リヒト様。リヒト、様……っ」
「ん、アリィ……僕もすごく、気持ちが良いよ」
外で荒れ狂う嵐に負けないほどの強さで、部屋の中では二つの荒い呼吸と水音とが淫らに響く。
もう痛みはなかった。全身でリヒトに縋りつき、無意識の仕草で腰を揺する。肌と肌を打ちつけ合っては艶めいた啼き声をあげ、未だ知らないはずの頂へと本能で登りつめて行く。
「好きだ、アリィ。――愛してる」
「リヒ、様……。っぁ、あ、あぁぁ……!」
いちばん奥深い場所に熱い塊が幾度も叩きつけられて頭の中が真っ白に染まる。
そして静かにゆっくりと、色を取り戻して行った。
「アリィ」
リヒトの腕の中で心地良いまどろみに揺蕩っていると名前を呼ばれた。
顔を上げれば、鋭くぎらついた情欲ではなく甘やかな情愛の色を帯びた瞳が真っすぐに見つめている。
愛しくてたまらない。
そう言ってくれているようで、どきりとした。
「起こしてごめんね。でも、君にこれを渡しておきたくて」
「え……」
リヒトが首に何かをかけたのか首筋にひんやりとした感触がする。
細い金色の鎖を指先でそっと辿ると、アリーシェリナの手のひらにちょうど収まるくらいの丸いものが触れた。細やかな意匠が掘られているのか表面がわずかにでこぼこしている。手に取って引き寄せると小さなネジらしきものが見え、蓋の閉まった懐中時計のようだった。
短い手足に大きな翼、細長い胴と尻尾を持った竜が向かい合った状態で二体おり、その間には上向きの三角形と下向きの三角形を組み合わせた図形が刻まれている。
図形の中には文字らしきものが掘られているけれど、さらに細かいうえにアリーシェリナには見覚えのない形だった。
掘られた意匠はあきらかに何かの紋様であり、リヒトの所持品であることを考えると王家か、それに近しいものを示す紋様に違いない。
「わ、私、いただけません」
「君に持っていて欲しい」
首から懐中時計を外して返そうとするもリヒトに押し留められてしまう。
アリーシェリナの手ごと懐中時計を包み込み、リヒトは真剣な瞳で見つめた。
「一週間後に王都へ行ったとしても、記憶が戻ったら必ず君を迎えに来る。――だから」
心臓の鼓動がさらに速まる。
それなのに時が止まってしまったみたいだ。髪を撫でてくれるのが心地良くて、ただじっとなすがままに任せる。リヒトの顔が近づいて唇が重なると、変わらずに時間が流れているのだと思った。
リヒトは柔らかな笑みを浮かべ、額同士を合わせた。
「その時は、結婚しよう」
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