【R18】王太子は初恋の乙女に三度、恋をする

瀬月 ゆな

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初めての快楽  ☆

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 大きな手がアリーシェリナの両胸を包み込んだ。
 やんわりと揉みしだかれる度、しっとりと汗ばんだ肌はリヒトの手に吸いついて蕩けそうに弾む。

 知らない感覚に突き動かされて声があがりそうになるのが恥ずかしい。
 口に指を押し当てて我慢していると、いつしか指が唇を割って歯に当たった。いっそのこと噛んだ痛みで羞恥を消してしまった方がいいのかもしれない。わずかに唇を開くと、けれどリヒトの手が伸びて手首を掴まれてしまった。

「綺麗な指に痕が残ってしまうから、噛んだらだめだよ」
「でも、私……このままだと、声、が」
「声が我慢できないなら我慢なんてしなくてもいいよ。アリィの可愛い声をたくさん聞かせて」

 リヒトはもう片方の手首も掴み、そのままベッドに押さえつけた。

「手で可愛がってあげられないのは残念だけど……アリィがぐずぐずに気持ち良くなってくれたら、その時にできるかな」
「え……、ぁ……っ」

 姿勢を低くしたリヒトの髪が鎖骨に触れる。
 柔らかな毛先に撫でられてくすぐったい。けれど、手首をしっかりとベッドに縫い止められているから身動きができなかった。
 往生際が悪く上半身をわずかに捩らせると「暴れないで、アリィ」と窘められてしまう。子供を叱るような優しい声にアリーシェリナはおとなしく従うしかない。

 リヒトは右のふくらみに口づけ、甘く吸った。舌先でくすぐるように突いてはついばみ、今度は舌全体で大きく舐めあげる。

「ん……っ。ふ、ぁ……」

 触れられてもいない胸の頂きが疼いているようで落ち着かない。柔らかく震えるふくらみの上で濃い桃色が硬く尖る。白い肌にひときわ鮮やかに映えたその色は、胸の奥にくすぶる熱を濃縮して閉じ込めているようにも見えた。
 リヒトの視線が胸の尖り――乳首に向けられている。
 情欲を孕んだ熱はアリーシェリナにも燃え移り、振り払うようにいやいやとかぶりを振った。
 でも、その程度で消せる炎なら、これほどまでに突き動かされたりはしない。身体の内側から沸き上がる熱は見られているだけでも反応して、切ない吐息となって唇をこぼれる。

「甘く熟れ切った果実みたいで、すごく可愛いね」

 リヒトはそう言うなり乳首を口に含んだ。
 本当に果実を味わうかのように舌で丹念に転がしては軽く歯を立てる。そうすると甘い痺れがアリーシェリナの全身に走り、声が抑えられなかった。
 
「ひぁぅ……っ! ぁっ、噛んだら、ゃぁ……!」
「甘噛みで食べられるのが好き? 本当に果実みたいだね」
「ぁ……。好き……。リヒト様、好きぃ……っ」
「僕も好きだよ、アリィ」

 乳首をきつく吸われ、何もないはずの中空にいくつもの星が瞬く。熱い舌が転がしたかと思えばねぶり、アリーシェリナの心を激しく揺さぶった。

「あっ、あ……っ。ん……」

 身体の中で様々な感情がぶつかり合って嵐が巻き起こっている。
 いちばん強い感情がその時々に入れ替わって今は快楽と、それを求める心に支配されようとしていた。
 啼き声をあげ、リヒトに助けを求めると同時に煽る。もっと、もっと触れて欲しい。アリーシェリナを押さえつけて快楽の果実を貪って欲しい。

「ふ、ぁ……! あぁぁ……っ!」

 前触れもなく、それは突然訪れた。
 リヒトに吸われて舐めしゃぶられた乳首から全身に広がる甘やかな感覚が、ふいに弾け飛んだ。まるで水を注がれ続けている器が瓦解したかのように快楽が一気に駆け巡る。

「いい子だね、アリィ」

 リヒトは初めての絶頂を迎えたアリーシェリナを労わりながら、胸を覆っていた下着とお揃いのショーツのリボンもほどいた。

 前面を覆う布地をめくれば最も秘めやかな場所があかるみになる。
 燃えるように熱い足のつけ根の中心には冷たく濡れた感触があった。
 何がそうしているのか、分からないわけじゃない。でも、分かっていても予想を上回るその量に身体が震えた。

 リヒトは何も言わずにショーツを抜き取ると、両膝を立たせて開かせる。

 誰にも見せたことも触れさせたこともない秘密の場所は、今この時の為だけに大切に守られ続けていたのだと思った。
 だけどもちろん羞恥は覚える。
 それにリヒトをがっかりさせてしまわないかと不安にもなった。

「リヒト、様……。だめ、そこは……」

 弱々しい制止なんて何の意味もない。
 細い手首をベッドに縫い止めるのをやめ、リヒトは腰を抱き支えた。その薄い腹部を唇でなぞり、足のつけ根へと辿り着く。
 アリーシェリナの手はようやく自由を得たのに、リヒトの髪に触れるのが精一杯だった。懸命に頭を押しのけようとしたその時、指で秘裂を左右に開かれた。濡れた水音をあげ、アリーシェリナの全てがリヒトの前に曝け出される。

「恥ずかし……から、見ないで……」
「こっちも綺麗なピンク色で可愛いね、アリィ。ここは、好き?」

 どこ、と聞く前にリヒトが小さな蕾を口に含んだ。
 乳首を含まれた時よりも鋭い感覚が背筋を通り抜けて行く。舌先で軽く突かれるだけで身体の中心から蜜がとめどなく溢れるのが分かった。

「ふぁぁんっ!」
「好きみたいだね」

 愛撫そのものだけでなく、吹きかかる息にも反応してしまう。
 とても小さな場所なのに信じられないくらいの快楽をもたらした。ささやかな抵抗として足を閉じようとしたけれど無駄だった。それどころか両手両足でリヒトの頭を抱え込んで押さえつけ、激しくねだっているみたいな仕草になる。


 恥ずかしい。
 でも、気持ちが良い。

「音……。ゃ、ぁぁ……っ。あげ、ないで……」

 絶え間なく水音があがった。

 淫らな音は自分の蜜が溢れるせいではなくリヒトが舐めているせいだ。
 そう思おうとしても蜜口からしとどに溢れ続けていることは誤魔化せない。甘く疼く腹部が、気持ち良くなっているとリヒトに伝える為に蜜をこぼしているのだと主張している。

「だめ、だめ……っ! そこ……っ、ぁ、あ――!」

 内ももがびくびくと震えた。
 達したのにまだリヒトは許してはくれない。舌で器用に包皮をめくり上げ、剥き出しになった敏感な蕾を唇で挟んでしごく。
 ただでさえ気持ち良かったその場所に、より強い刺激と快楽とを与えられてアリーシェリナはひたすらに啼き声をあげるしかできなかった。

 そんな中で何度も何度も絶頂を迎え、身体に力が入らない。
 シーツに沈み込みながら荒い呼吸を繰り返す。

「痛くしてしまうと思うけれど、つらかったら我慢しないでちゃんと教えて」

 最初から痛みなんて全部、覚悟のうえだ。
 リヒトも分かっているから暴力的なまでに快楽を与え、アリーシェリナの身体から力を奪った。不安と緊張で身を強張らせてしまうと、痛くてつらいだけだろうから。

「だ、いじょう、ぶ……です」

 大丈夫だと言い張って欲しくないと分かっている。
 でも他に言葉が思いつかなかった。
 今さら引き返す方が心が痛い。身体の痛みと心の痛みのどちらを耐えられるのかと聞かれたら、圧倒的に前者だ。身体は意味もなく痛むわけじゃない。大好きな人と初めて一つになれる、幸せな痛みだ。比べ物にならない。

「――うん。それでも、我慢はして欲しくはないから」

 再び蕾を舌でねぶりながらリヒトは蜜口に指を押し当てる。
 胎内にリヒトが入って来る前兆を受けてアリーシェリナは反射的に息を呑んだ。

 怖くないと言ったら嘘になる。
 でも大丈夫だ。
 リヒトと一つになれたら、アリーシェリナはいちばん幸せな女の子になれる。

「リヒト様……。私、本当に大丈夫、ですから……」
「愛してるよ、アリィ」
「私も……愛して、います」

 指先が小さな蜜口を割る未知の感触に、華奢な腰がのけぞった。

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