4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~

TOYA

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第三章 上層へ

47話 目的の物

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「やっぱりこの神輪の祭壇か」

 転送後、到着したのは俺が住んでいた神輪の祭壇だった。
 石板前に新たな魔法陣が生成されており、そこから出てきたようだ。

「魔法陣、光を失ったぞ」

 セレナスの言う通り、魔法陣は光を失い、中央部分に手のマークが現れた。
 セレナスがまずそれに触れてみると、反応は無く、俺が触ると魔法陣が光始めた。
 そしてそのまま転送が始まり、元の場所へと戻ってきた。

「ロフルしか起動できないのか……不便だな」
「まぁとにかく戻れることは分かったし、保管庫に行ってみようぜ」

 俺がそう言うと、もちろんだ! とセレナスは言い、保管庫行きの魔法陣に乗った。

・・・
・・


「この部屋は……」

 ここは、来る前の場所と同じような鉄板で出来た部屋だった。
 真正面にはエレベーターの扉の様な形状の入り口、その左右に台座が8個ある。
 台座の上には既に開封され、中身のない箱がそれぞれすべてにおかれていた。

「全部、空っぽじゃねーか!」

 そう言いながら俺は空箱を調べていると、
 他の箱を見ていたセレナスが、

「この箱に魔装具が保管されていたと言う事なのか……?!」

 と声を上げた。
 
 気になった俺はセレナスに近づき箱を見ると、
 水蛇の槍と文字が刻印されていた。

「あれ、あっちの二つには名前とか書いてなかったけどな……」
「くそ……欠けていて見えないのもあるな」

 セレナスは全ての箱の刻印を確認していた。

・・・

「判別できた文字は、水蛇の槍、墜光刃、風魔の斧、火鼠の短剣……」
「武器っぽい名前ばっかりだな!」

 俺がそう言うと、セレナスは

「墜光刃、風魔の斧がS家の魔装具の可能性が高い」

 と言った。
 理由はまず箱の位置……
 名前が無い箱が右端に二つあり、その左横に水蛇の槍と判別不能があり、
 さらに左横に判別不能と火鼠の短剣と続き、墜光刃、風魔の斧と並んでいた。

 神徒は全部で8つの一族でなっており、
 S~Cそれぞれ二家づつ存在する。
 偶然の数の一致とは思えないと続けた。

「火鼠の短剣はA・モーンブレイズ家の家宝だ」

 セレナスは興奮気味に説明をしてくれた。

「だれがいつここに保管したんだろうな?」
「ふふ、そんな事はどうでもいい! 効果がどこかに書いていないか探すぞロフル!」

 そういって二人でこの場所を入念に調査した。

 が……どれだけ調べても効果などを知る事は出来なかった。

「くそ! 名前だけ分かっても仕方ないじゃないか……!」

 そういうセレナスをなだめる様に

「まぁでも剣と斧の形状だと言う事は予想できる。それだけでもかなり違うだろう」

 と言った。

「それよりも、目的の物がまだ見つかっていないだろ? この扉の先にそろそろ言ってみようぜ!」

 俺はそう言ってまだ開けていなかった扉に近づいた。
 すると、扉は自動ドアの様に勝手に開いたので、そのまま中へと進んだ。

 そのフロアは先ほどより少し狭くなっており、同じような形状の台座が二つ、そしてその箱は未開封で置かれていた。

「おお! セレナス、箱が未開封だぞ!」

 そう言うとセレナスはすぐにこちらへと走ってきた。

「早速開けて……もう開けたのか!?」

 俺はセレナスが来る前に二つとも箱を開け、中身を拝借していた。

 一つは幅5mm厚さ2mm程の板状の腕輪で、
 びっしりと魔法陣の模様が描かれている。

 そしてもう一つは巻かれた紙……というか薄いディスプレイの様な物が入っていた。

「これだ! これがワイドリターンの腕輪で間違いないぞ!」

 セレナスは横で興奮しているが、俺はとりあえずそのディスプレイを開いてみてみた。

 すると、文字が表示されそこには、

 十の扉の先には最後の魔装具である、天装剣・打毀(てんそうけん・うちこわし)が保管されている。
 あまりに強力で危険な魔装具の為、種族問わず十輪に開眼した者に譲渡するように。
 扉は十輪の者にしか開ける事が出来ない。

 と書かれていた。

「なんか、この先に凄い魔装具があるみたいだぞ。くそ、開かないか……経験値的には10なのに!」

 俺は十の扉に触れながら言った。

「魔装具の武器なら間違いなく強力だが……手に入らない物を惜しんでも仕方がない」

 とセレナスは言い、続けて目標の物は手に入ったし戻るぞ! と俺を引っ張っていった。

・・・
・・


――道場 茶室

 帰りは転送魔法陣が起動していた為、楽に戻る事が出来た。

「お目当ての物は見つかった?」

 リリアナがそう聞くと、セレナスはこれだと腕輪を見せていた。

「セレナス、早速つけてみろよ」

 俺がそう言うと、セレナスは頷き、リターンの魔法輪の上に重ねる様に腕輪を装着した。
 腕輪は少し大きかったが、セレナスの腕に合わせる様に自動でサイズが調整された。

「これで上に行く準備は整ったぞ!」

 セレナスは少し興奮気味にそう言った。

「セレナス、まだ焦っていく必要はないだろ? ここで少し鍛えてから行こうぜ。対人戦に俺も慣れておきたい」

 俺がそう言うと、セレナスは頷き、

「そうだね。とは言えあまりのんびりは出来ないぞ。精々二ヶ月が限度だ」

 と言った。
 その言葉に俺は出来る限りのことをやろうと返事をした。

 その日からセレナスと俺の対人戦練習が始まった。

・・・
・・
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