4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~

TOYA

文字の大きさ
上 下
34 / 60
第二章 排除装置の破壊と闘気の存在

33話 帰還して再度!

しおりを挟む
 線路に沿って進むと、またテニスコート二面分の広さ程のフロアに出てきた。
 そこにはフロアと同じくらいのサイズの魔法陣が描かれていた。

 この部屋を探っていると、突然魔法陣が光り始めた。

 少し後退して様子を見ていると、手で運べるほどのサイズのコンテナが複数魔法陣の上に出現した。

「どこからか転送……されてきたのか?」

 コンテナが到着すると、線路に乗ってトロッコがやって来た。
 そして、ドローンがコンテナを忙しそうにトロッコへ運び入れる。

 俺はその姿を見ながら一旦状況を整理した。

 とにかくこの施設を停止させたい。
 しかし、操作パネルなどは一切見当たらない。
 施設を破壊するのが一番早いかもしれないが、未知の部分が多すぎる。
 
 というか、この施設は突然出現した。
 ただ破壊するだけではすぐにまた出現するかもしれない……。

 そして今いるこの魔法陣のフロア……
 すべての部品はここから供給されているようだ。

「く……そろそろ限界か」

 気が付けば半日が経とうとしている。
 俺の闘気装維持もそろそろ限界のようだ。

 ここが終着点……一度帰還して情報を共有しよう。

・・・
・・


――道場


 俺は道場に戻り次第すぐに情報を岩剛斎、フーチェ、リリアナに共有した。

「奥はそんな事になっておったのか……」

 3人は俺の見てきた話を聞いて、驚いていた。

「わしは中から全部破壊すればいいと思うんじゃが!」

 岩剛斎はにっこりと笑いながら言った。
 フーチェもそれを聞いてうんうんと頷いている。

「いや、ダメに決まってるでしょ!」

 リリアナだけはそう否定した。

 そして、
 それだけの巨大な施設、膨大な魔力を使っているに違いない。
 もし施設が破壊された場合、漏れ出した魔力が暴走し、大爆発を引き起こす。
 と説明してくれた。

「魔力って?」

 俺はよく理解できておらず質問した。

「いや、それだけの施設が無人で稼働しているのよ? 膨大な魔力で動いてるに決まってるじゃない」

 とリリアナはキョトンとした表情で答えた。

「魔力……電力じゃなくて魔力か!」

 俺は思わず声を上げた。
 それを見たリリアナ達は困惑している。

「もう一度調査してくる!」

 俺はそう言って道場を飛び出した。

・・・
・・


 早速俺は施設内にあったモニタールームへと戻って来た。
 再入場の際、もう一度見えない壁が出現していたの破壊し中へと入った。
 その時、同じようにもう一度蜘蛛型兵器が鎮座していたので、同じくブラストを放ってしばらく通路で待機して進んだ。

「さて……」

 俺は中央部分にあったサーバーのような機械に触れた。
 漠然と魔力は感じていたが、改めて触れると、高速で魔力が流れているのが分かった。

 機械や施設……俺は前世の知識のせいで、電力で動くと完全に思い込んでいた。
 そこには一切の疑いもなかった為、リリアナの話を聞いたとき目から鱗が落ちた気分だった。

 前世の知識は役に立つこともあれば、それが障害になることもあるんだと改めて思った瞬間だった。

「ふう……」

 俺は目の前のサーバーに意識を集中した。
 特性制御……自身の魔力を操作するものであり、他人の魔力は操作する事は出来ない。
 だが、自身の魔力を送り込み混ぜることで多少の操作が可能となる。

 この高速で流れている魔力に自身の魔力で滞留させる!

「……」

 魔力の流れを止めるため、しばらく両手でサーバーに触れた。
 すると、触れてられないほどにサーバーは高熱となり、
 突如、アラート音が鳴り響き始めた。

 そして、魔力の流れは停止し
 異常事態発生、安全の為すべての機能を一時停止しました。
 緊急調査及び再起動が必要です。
 管理者を直ちに転送してください。

 とモニターに赤い文字で映し出されていた。

 なんとか機能をおかしくするのには成功したようだ。
 サーバーが熱くなってきた時点で大爆発も頭によぎったが、
 そのまえに停止するシステムになっていたようだな。

 さて、管理者か……こうなったら誰かが来る可能性は高いだろう。
 ここでしばらく待ってみるか。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...