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第二章 排除装置の破壊と闘気の存在
25話 血の比率について
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「正直どういった経緯で今に至るかはわしもよく分からん」
岩剛斎はそう話し始めた。
・・・
我々には鬼人族・獣人族・人族の血が古来より流れている。
その昔、世の中は魔物の世界だった。
そして、魔物の中でも魔法を使いこなす、高い魔力を持つ者が支配者となった。
そんな時代に、絶滅したと思われた人族が突如出現した。
その人族達は見た事も無い施設で暮らしており、凄い技術を有していたが、その施設から外に出る事が出来なかった。
人族は様々な手段を用いて外の情報を入手し、
その過程で魔法輪を持たない鬼人族と
魔法輪を持つが二輪までしか発言しない獣人族と出会った。
二種族は魔力が他の種族に比べ低く、迫害に近い扱いを受けながら生活していた。
人族はその話を聞き、その二種族を自分たちの施設へと誘い、受け入れた。
そこで3種族は平和に暮らすことになった。
「この話は昔から伝承されてきた物語じゃ」
岩剛斎はそういって話を締めた。
人族が急に現れた……それもすごい技術を持って……か。
まるで転移でもしてきたみたいな話だな。
「本当にあった話なのか?」
俺はそう聞くと、岩剛斎は実際に3種族の血が流れている以上近いことはあったのだろうと答えた。
そして岩剛斎は続けて闘気についても説明してくれた。
・・・
闘気とは……
鬼人族と人族の間で生まれたハーフの子達から発現が確認された。
魔法とは異なる大きな力……魔力に変わる強さになると考え、鍛え方などを模索した。
一方で獣人族と人族の間で生まれた子は闘気に目覚める事が出来なかったが、
代わりに魔法を五輪まで習得できたり、特性をもった魔法輪を持つ子なども現れた。
人族と魔族が交わる事で、特殊な力を持つ子供が生まれる場合がある。
人族は自分たちは無理でも、子供達ならこの施設の外へ出られるかもしれない。
そんな希望が生まれた瞬間でもあった。
・・・
「色々説明してもうたが、要は3種族の血の濃度比率によって、闘気に目覚めたり魔法輪に目覚めたりが決まるんじゃよ」
岩剛斎はそう言いながら自分の右腕に触れた。
「さっきも言ったが、わしには獣人の血が流れていない為魔法輪が無い。逆にリリアナは鬼人の血が流れていない為、闘気を覚えられないのじゃ」
岩剛斎は少し残念そうにそう言った。
「岩剛斎、ありがとう。だいぶ理解できた」
俺は一通り説明してくれた岩剛斎にお礼を言った。
先程の説明で大体は理解できたつもりだ。
とにかく、血統が大事になるみたいだな。
持って生まれた力は努力でどうする事も出来ない……厳しい話だな。
すると一緒に静かに話を聞いていたフーチェが、
「岩剛斎さん。自分にどの種族の血が流れているか調べる事は出来ますか?」
と岩剛斎に質問した。
岩剛斎はもちろん。と言い、本棚から白い薄板を持ってきた。
そこには三等分に区切られた円グラフが描かれており、その中央には一本の針が立っている。
円グラフの外側にはそれぞれ、鬼、獣、人と書かれていた。
「真ん中の針で指を突いて、血を流すと大体の比率が分かるぞ」
岩剛斎がそう言うと、フーチェは早速指を突き刺した。
しれっと先を越されてしまったな……。
血が針を伝って、円グラフの中心に落ちた。
すると、中心から円の外側へ向かって3本の赤い線がゆっくりと伸びて行った。
そして、その線は獣人と人の方向に伸び、丁度円グラフの真ん中あたりの距離で静止した。
「人が6で獣人が4……鬼人の血は入っておらんな」
岩剛斎はそのグラフを見てそう呟いた。
「では、私は闘気を覚えられないんですね……」
フーチェはそのグラフを見ながら残念そうな表情を浮かべていた。
「リリアナと同じような比率じゃ。人の比率が多いと、特性を持ちやすいからのう」
岩剛斎はそう話始め、大体の人は人族が5割で残りの5割に鬼人と獣人の血が含まれると補足した。
そして、人族の比率が6を超えると特性を持つ場合が多い。
「特別な力を得るには人としての考え方……思考が重要なのじゃ。その分鬼人と獣人の血の比率が低く、潜在力は低かったりするがのう」
岩剛斎はそう説明してくれた。
「そろそろ俺もいいか?」
俺は岩剛斎にそわそわしながら言った。
「おお、やってみなさい」
そうして早速俺も針をついてみた。
「こ、これは……」
岩剛斎は俺のグラフを見て驚いた様子だ。
俺のグラフは獣と鬼の部分がほぼ外側に達しており、
人だけ殆ど伸びることはなかった。
「こんな比率は長年生きてきたが初めてじゃ……4.5:4.5:1と言ったところか……」
岩剛斎はグラフに顔を近づけながら話した。
俺の血の比率は人族が1しかなく、残り全てが獣人と鬼人だそうだ。
にもかかわらず、特性を持っているのはもはやあり得ない領域だと言う。
「人としての思考が重要なのであれば……」
俺の魂と言える部分が純粋な人だったからではないか?
とそのまま話しそうになったが、止めた。
転生してきたことなど一切言ってないんだった。
そして、これからも誰かに言う事は無い。
「とにかく、この比率なのであれば……魔法輪を持たぬわし並の力に目覚めるかもしれん」
俺はそう言う岩剛斎に、
「俺に闘気を教えてくれ!」
と懇願した。
すると、岩剛斎は
「もちろんじゃ!」
と快諾してくれた。
俺の血の比率……魔王フォルチナの言っていた俺の魔王に届きうる潜在力に関係があるのだろうか……。
岩剛斎はそう話し始めた。
・・・
我々には鬼人族・獣人族・人族の血が古来より流れている。
その昔、世の中は魔物の世界だった。
そして、魔物の中でも魔法を使いこなす、高い魔力を持つ者が支配者となった。
そんな時代に、絶滅したと思われた人族が突如出現した。
その人族達は見た事も無い施設で暮らしており、凄い技術を有していたが、その施設から外に出る事が出来なかった。
人族は様々な手段を用いて外の情報を入手し、
その過程で魔法輪を持たない鬼人族と
魔法輪を持つが二輪までしか発言しない獣人族と出会った。
二種族は魔力が他の種族に比べ低く、迫害に近い扱いを受けながら生活していた。
人族はその話を聞き、その二種族を自分たちの施設へと誘い、受け入れた。
そこで3種族は平和に暮らすことになった。
「この話は昔から伝承されてきた物語じゃ」
岩剛斎はそういって話を締めた。
人族が急に現れた……それもすごい技術を持って……か。
まるで転移でもしてきたみたいな話だな。
「本当にあった話なのか?」
俺はそう聞くと、岩剛斎は実際に3種族の血が流れている以上近いことはあったのだろうと答えた。
そして岩剛斎は続けて闘気についても説明してくれた。
・・・
闘気とは……
鬼人族と人族の間で生まれたハーフの子達から発現が確認された。
魔法とは異なる大きな力……魔力に変わる強さになると考え、鍛え方などを模索した。
一方で獣人族と人族の間で生まれた子は闘気に目覚める事が出来なかったが、
代わりに魔法を五輪まで習得できたり、特性をもった魔法輪を持つ子なども現れた。
人族と魔族が交わる事で、特殊な力を持つ子供が生まれる場合がある。
人族は自分たちは無理でも、子供達ならこの施設の外へ出られるかもしれない。
そんな希望が生まれた瞬間でもあった。
・・・
「色々説明してもうたが、要は3種族の血の濃度比率によって、闘気に目覚めたり魔法輪に目覚めたりが決まるんじゃよ」
岩剛斎はそう言いながら自分の右腕に触れた。
「さっきも言ったが、わしには獣人の血が流れていない為魔法輪が無い。逆にリリアナは鬼人の血が流れていない為、闘気を覚えられないのじゃ」
岩剛斎は少し残念そうにそう言った。
「岩剛斎、ありがとう。だいぶ理解できた」
俺は一通り説明してくれた岩剛斎にお礼を言った。
先程の説明で大体は理解できたつもりだ。
とにかく、血統が大事になるみたいだな。
持って生まれた力は努力でどうする事も出来ない……厳しい話だな。
すると一緒に静かに話を聞いていたフーチェが、
「岩剛斎さん。自分にどの種族の血が流れているか調べる事は出来ますか?」
と岩剛斎に質問した。
岩剛斎はもちろん。と言い、本棚から白い薄板を持ってきた。
そこには三等分に区切られた円グラフが描かれており、その中央には一本の針が立っている。
円グラフの外側にはそれぞれ、鬼、獣、人と書かれていた。
「真ん中の針で指を突いて、血を流すと大体の比率が分かるぞ」
岩剛斎がそう言うと、フーチェは早速指を突き刺した。
しれっと先を越されてしまったな……。
血が針を伝って、円グラフの中心に落ちた。
すると、中心から円の外側へ向かって3本の赤い線がゆっくりと伸びて行った。
そして、その線は獣人と人の方向に伸び、丁度円グラフの真ん中あたりの距離で静止した。
「人が6で獣人が4……鬼人の血は入っておらんな」
岩剛斎はそのグラフを見てそう呟いた。
「では、私は闘気を覚えられないんですね……」
フーチェはそのグラフを見ながら残念そうな表情を浮かべていた。
「リリアナと同じような比率じゃ。人の比率が多いと、特性を持ちやすいからのう」
岩剛斎はそう話始め、大体の人は人族が5割で残りの5割に鬼人と獣人の血が含まれると補足した。
そして、人族の比率が6を超えると特性を持つ場合が多い。
「特別な力を得るには人としての考え方……思考が重要なのじゃ。その分鬼人と獣人の血の比率が低く、潜在力は低かったりするがのう」
岩剛斎はそう説明してくれた。
「そろそろ俺もいいか?」
俺は岩剛斎にそわそわしながら言った。
「おお、やってみなさい」
そうして早速俺も針をついてみた。
「こ、これは……」
岩剛斎は俺のグラフを見て驚いた様子だ。
俺のグラフは獣と鬼の部分がほぼ外側に達しており、
人だけ殆ど伸びることはなかった。
「こんな比率は長年生きてきたが初めてじゃ……4.5:4.5:1と言ったところか……」
岩剛斎はグラフに顔を近づけながら話した。
俺の血の比率は人族が1しかなく、残り全てが獣人と鬼人だそうだ。
にもかかわらず、特性を持っているのはもはやあり得ない領域だと言う。
「人としての思考が重要なのであれば……」
俺の魂と言える部分が純粋な人だったからではないか?
とそのまま話しそうになったが、止めた。
転生してきたことなど一切言ってないんだった。
そして、これからも誰かに言う事は無い。
「とにかく、この比率なのであれば……魔法輪を持たぬわし並の力に目覚めるかもしれん」
俺はそう言う岩剛斎に、
「俺に闘気を教えてくれ!」
と懇願した。
すると、岩剛斎は
「もちろんじゃ!」
と快諾してくれた。
俺の血の比率……魔王フォルチナの言っていた俺の魔王に届きうる潜在力に関係があるのだろうか……。
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