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第二章 排除装置の破壊と闘気の存在
23話 着いた場所は
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謎の機械があった施設も他の区画と同様に正方形の形をしていた。
俺たちは方向で言うと東側から西に向かってこの区画へやって来たのだが、リリアナは北側からここへ来たようだ。
この区画はどうやら端になるようで、これより南、西にはいくことが出来ない。
世界に端があるというのも違和感を感じるが、そもそも区画で分かれている時点でここはおかしな場所か……。
リリアナと共に北へ二回、東へ一回区画移動した。
道中はすべて森で代り映えのない場所だった。
殆どの区画が森なのだろうか。
そんなことを考えながら森を進むと、開けた場所が見えてきた。
「ここよ」
リリアナがそう指した場所には塀で囲まれている、立派な木造建築の道場があった。
塀と屋根は瓦が貼られており、しっかりとした作りになっている。
どうやってこの建物が出来たのか想像すらできない。
ただ所々に修繕の後が目立つ。
年期は相当入っているようだ。
「師範がここにいるわ」
そういってリリアナは道場の扉を叩き、失礼しますと大きな声で言い開けた。
「おお、帰ったかリリアナ。ふむ、そちらの子達は?」
そう言ったのは髪色が緑でオールバックの初老のおじいさんだった。
「俺はロフル。こっちはフーチェです」
俺はそのおじいさんに挨拶をした。
そしてリリアナが補足するように、
「二人は例の施設にいたの。とりあえず連れてきたわ」
と言った。
「そうか。わしは三代目岩剛斎(がんごうさい)じゃ。ここで師範をしておる」
そういっておじいさんは俺たちに名乗ってくれた。
「岩剛斎さん。あの施設は何ですか? いつからあるのでしょうか」
俺は施設について質問をしてみた。
「岩剛斎でよい。その丁寧な話し方もせんでよい」
そう言って、施設の事について答えてくれた。
あれはこの前の鐘の音がしたときに突如として現れたそうだ。
あの場所は元々、ここと同じような森が続いているだけだったという。
タイミングを考えると、あれが調整システムに関係があると確信した。
「あそこからたまにマシンとついた魔物が迷い込んできた大変なのじゃ」
岩剛斎がそう言うと、一人の少年が慌てた様子でこちらへ来た。
そして、
「岩剛斎師範! 大変です! また魔物が現れました。かなり大きい奴です」
と大声で言った。
「やれやれ。早速か」
岩剛斎はそう言って立ち上がった。
その瞬間、岩剛斎の全身から急に得体のしれない力を俺は感じた。
なんだ、この威圧感は……。
俺達も岩剛斎と呼びに来た少年と共にその場所へと向かった。
――ジジジ……
デッドマンティスと同じ鳴き声だが、見た目は通常と異なっていた。
大きさが倍ほどあり、鎌が付いた手を4本有していた。
その場所ではすでに二人の見た目20歳程の男女が例の魔物と対峙していた。
「ダメだ……まったくダメージを与えられない! イヴァリース、先に逃げるんだ!」
「弱気にならないでよアリアンドル! それでも私の夫なの?!」
二人はどうやら夫婦のようだ。
男性のアリアンドルは緑色の髪で女性のイヴァリースは黄色い髪色だった。
「師範代! 岩剛斎師範を連れてきました!」
少年は大声でその夫婦に声を掛けた。
「ああ、助かった……」
夫婦は安堵していた。
「二人ともよく耐えてくれた。あとは任せるんじゃ」
そういって岩剛斎は魔物の前に立った。
そしてそのまま右手に力を籠めるように構えた。
俺はその姿を見て、魔力とは違う別の威圧感を感じており、
同時にハナの力、そして赤い蒸気の事を思い出していた。
この、岩剛斎さんが使いこなすこの力が……ハナが使っていた力と関係があるのか……?
「闘爆衝(トウバクショウ)!」
岩剛斎はそう言って、右腕を真っすぐに突き出した。
その瞬間、
――バンッ!!
と拳から大爆発が起こり、魔物は木っ端みじんとなった。
その技の威力と形状は、まるでバーストのように強力なものだった。
「すげぇ……」
俺は思わず声が漏れた。
「ロフルさん、あの一連の動きと魔法……? 魔力を一切感じませんでした」
フーチェは俺にこっそりと言ってきた。
それに対して俺は
「ああ。あれは多分……魔法じゃない何かだ」
と静かに答えた。
「さぁ、いったん戻ろうかのう。アリアンドル達、ここの後始末は任せたぞ」
岩剛斎がそう言うと夫婦と少年が元気よく返事をし後始末を始めた。
そして俺たちは皆で道場へと戻った。
・・・
「岩剛斎……さっきの力の事、教えてほしい」
俺は最初に呼ばれた場所に戻った瞬間、そうお願いした。
すると、リリアナが、
「は? 何言ってるのよ。あれは誰でも出来るわけでは無いのよ?」
と続け、どこの誰かもわからない奴に師範が教えるわけないと拒絶するようにいった。
しかし、岩剛斎は
「リリアナ、よいじゃないか。わしもこの二人には聞きたいことがある。何せ道場以外の場所で生きてきた子達じゃぞ?」
とリリアナをなだめながら言ってくれた。
「わしの部屋の案内しよう。そこでゆっくりと話そうぞ」
俺とフーチェは頷き、岩剛斎についていくことにした。
俺たちは方向で言うと東側から西に向かってこの区画へやって来たのだが、リリアナは北側からここへ来たようだ。
この区画はどうやら端になるようで、これより南、西にはいくことが出来ない。
世界に端があるというのも違和感を感じるが、そもそも区画で分かれている時点でここはおかしな場所か……。
リリアナと共に北へ二回、東へ一回区画移動した。
道中はすべて森で代り映えのない場所だった。
殆どの区画が森なのだろうか。
そんなことを考えながら森を進むと、開けた場所が見えてきた。
「ここよ」
リリアナがそう指した場所には塀で囲まれている、立派な木造建築の道場があった。
塀と屋根は瓦が貼られており、しっかりとした作りになっている。
どうやってこの建物が出来たのか想像すらできない。
ただ所々に修繕の後が目立つ。
年期は相当入っているようだ。
「師範がここにいるわ」
そういってリリアナは道場の扉を叩き、失礼しますと大きな声で言い開けた。
「おお、帰ったかリリアナ。ふむ、そちらの子達は?」
そう言ったのは髪色が緑でオールバックの初老のおじいさんだった。
「俺はロフル。こっちはフーチェです」
俺はそのおじいさんに挨拶をした。
そしてリリアナが補足するように、
「二人は例の施設にいたの。とりあえず連れてきたわ」
と言った。
「そうか。わしは三代目岩剛斎(がんごうさい)じゃ。ここで師範をしておる」
そういっておじいさんは俺たちに名乗ってくれた。
「岩剛斎さん。あの施設は何ですか? いつからあるのでしょうか」
俺は施設について質問をしてみた。
「岩剛斎でよい。その丁寧な話し方もせんでよい」
そう言って、施設の事について答えてくれた。
あれはこの前の鐘の音がしたときに突如として現れたそうだ。
あの場所は元々、ここと同じような森が続いているだけだったという。
タイミングを考えると、あれが調整システムに関係があると確信した。
「あそこからたまにマシンとついた魔物が迷い込んできた大変なのじゃ」
岩剛斎がそう言うと、一人の少年が慌てた様子でこちらへ来た。
そして、
「岩剛斎師範! 大変です! また魔物が現れました。かなり大きい奴です」
と大声で言った。
「やれやれ。早速か」
岩剛斎はそう言って立ち上がった。
その瞬間、岩剛斎の全身から急に得体のしれない力を俺は感じた。
なんだ、この威圧感は……。
俺達も岩剛斎と呼びに来た少年と共にその場所へと向かった。
――ジジジ……
デッドマンティスと同じ鳴き声だが、見た目は通常と異なっていた。
大きさが倍ほどあり、鎌が付いた手を4本有していた。
その場所ではすでに二人の見た目20歳程の男女が例の魔物と対峙していた。
「ダメだ……まったくダメージを与えられない! イヴァリース、先に逃げるんだ!」
「弱気にならないでよアリアンドル! それでも私の夫なの?!」
二人はどうやら夫婦のようだ。
男性のアリアンドルは緑色の髪で女性のイヴァリースは黄色い髪色だった。
「師範代! 岩剛斎師範を連れてきました!」
少年は大声でその夫婦に声を掛けた。
「ああ、助かった……」
夫婦は安堵していた。
「二人ともよく耐えてくれた。あとは任せるんじゃ」
そういって岩剛斎は魔物の前に立った。
そしてそのまま右手に力を籠めるように構えた。
俺はその姿を見て、魔力とは違う別の威圧感を感じており、
同時にハナの力、そして赤い蒸気の事を思い出していた。
この、岩剛斎さんが使いこなすこの力が……ハナが使っていた力と関係があるのか……?
「闘爆衝(トウバクショウ)!」
岩剛斎はそう言って、右腕を真っすぐに突き出した。
その瞬間、
――バンッ!!
と拳から大爆発が起こり、魔物は木っ端みじんとなった。
その技の威力と形状は、まるでバーストのように強力なものだった。
「すげぇ……」
俺は思わず声が漏れた。
「ロフルさん、あの一連の動きと魔法……? 魔力を一切感じませんでした」
フーチェは俺にこっそりと言ってきた。
それに対して俺は
「ああ。あれは多分……魔法じゃない何かだ」
と静かに答えた。
「さぁ、いったん戻ろうかのう。アリアンドル達、ここの後始末は任せたぞ」
岩剛斎がそう言うと夫婦と少年が元気よく返事をし後始末を始めた。
そして俺たちは皆で道場へと戻った。
・・・
「岩剛斎……さっきの力の事、教えてほしい」
俺は最初に呼ばれた場所に戻った瞬間、そうお願いした。
すると、リリアナが、
「は? 何言ってるのよ。あれは誰でも出来るわけでは無いのよ?」
と続け、どこの誰かもわからない奴に師範が教えるわけないと拒絶するようにいった。
しかし、岩剛斎は
「リリアナ、よいじゃないか。わしもこの二人には聞きたいことがある。何せ道場以外の場所で生きてきた子達じゃぞ?」
とリリアナをなだめながら言ってくれた。
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