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第一章 妹弟救出
4話 神輪の祭壇
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――翌朝
「んん……」
川のせせらぎが聞こえる。
最初に一夜を過ごした場所と比べると、格段に良い場所になった。
とは言え、大きな岩の隙間……相変わらず狭い場所ではあったが……。
「一輪、サーチ」
川で顔を洗い終えた後、すぐにサーチを使用する。
手の甲の輪に触れ、次に魔法輪に触れるいつもの所作で発動する。
この魔法、[一輪:サーチ]は半径300m~1km(個人差)の状況を把握する。(俺は800m範囲程だ)一時的に手の甲の魔法陣にレーダーの様に表示される(主に魔物や人の位置)
魔物か人かは大きさと形で判断する。
丸は人で三角は魔物だ。ここでの丸はまだ自分しか見た事ないけど……。
そして、魔法を一度使用するとインターバルが発生する。
魔法が使えない状態……手の甲の輪が浮いたまま光を失った状態になるのだ。
しばらくすると浮き上がっていた輪は手の甲に戻り、光を取り戻す。
とにかく、周囲の安全はこれが確認できた。本当に便利な魔法を最初に覚えてくれたものだ……。
さて、情報を整理しよう……。
結論から行くと、魔法は二輪までじゃない。
その先があるんだ。
それが何処までかは分からないが……
四輪、[バインド]……相手を拘束する魔法。
3と5は分からないが、強力な魔法に違いない。
そして厄介な魔法、[下位掌握]。
これはどうやら俺のような紫の髪の人種には使えないみたいだ。
貴族と言われる、黄色髪……そしてマグのような赤い髪限定の魔法……。
名前から察するに、自身より下の身分か地位の者にしか効かないのだろう。
序列は赤、黄、紫という感じなのだろうか……。
黄色い奴に会ったらやばいというのはこの魔法のせいだったんだな。
そんな考え事をしながら俺はマグが残していったデッドマンティスの肉を手に取った。
「中々きつい臭い肉だ……食えるのかな?」
俺は恐る恐る肉を火で焼いた。
「焼けた臭いも決してうまそうでは無いな……」
口元まで近づけると、酸味のあるツンとした匂いが鼻を通り、思わずえずきそうになる。
「すー……ふう」
一旦顔から離した肉を、深呼吸をして少し息を止めながらさっと口に運んだ。
たとえ不味くても、食べられるのであれば食べておかねばならない。貴重な食糧だ。
――パリッ
噛むと、パリッとした感触の後、硬めのグミのような感触の肉に到達した。
「グミというか、アロエのような食感だな……と言うか……」
俺は表皮の匂いと肉の匂いを嗅いだ。
「……表皮はキツイ匂いだけど、中身は大丈夫だな。皮をむいて食うのかな?」
俺は皮をむいてもう一度かじった。
「これなら食える! ……美味くは無いが……」
味付けをしていないせいもあるが、
まるでゼラチンの塊を食ってるみたいだ。
塩をかけるより、砂糖をかける方が合いそうだな……。
食事をしながらも思考は続ける。
「……この二つ目がリターン。でもマグ達は帰る気がないの」
マグが言った言葉だ。一体どのくらいの期間ここで生活しているんだ?
そして、達という事は一人じゃない様だな……。
とにかく、去ってしまった者の事を考えても仕方がない。
「一輪、サーチ」
考え込んでしまったせいで忘れていたが……サーチは、発動できるときは常に発動しておこう。
「……さて、俺のやる事は決まったな」
知りえた情報の中で、俺は一つやる事決めていた。
「俺も二輪で帰らねえ。ここで生き残る。そして……」
自然と拳に力が入った。
「いずれここへ落ちてくる妹と弟がリターンを覚えるまで守る……!」
二年後、そして三年後には確実に俺の妹弟がここへ落ちてくる……。
あいつらが落ちてきたら俺が守るんだ。
少なくともそれまで生き残り、魔法輪を増やす……!
これが俺の異世界での最初のちゃんとした決意表明だった。
・・・
・・
・
――3か月後……
この最下層という場所は気候が安定しているようだ。
湿気は高いが気温はそこまで高くなく、比較的過ごしやすい。
3か月たった今でも、ここへ来た頃と気温差は体感変わっていない。
「一輪、サーチ」
周囲には3つの魔物の気配……もちろんデッドマンティスだ。
俺はデッドマンティスの表皮で作った袋から、スライムボールの死骸を取り出し地面に置いた。そして、すぐ近くの木の上で気配を消し待機中だ。
この袋に食材など入れると、匂いを外に漏れるのを防いでくれる。というよりデッドマンティスのキツイ匂いで隠蔽している感じだ。
中身に多少匂いは移るが、他の魔物に奪われる心配がなくなった。
――チチチ……
「三匹とも釣れたか……」
デッドマンディスがスライムボールを食べ始めた瞬間、俺は木の上から飛び出した。
――ザンッ! ザシュ……ズシャァ……
剣先に体重を乗せながら飛び降り、一匹のデッドマンティスの頭部を突き刺し、そのまま剣を回転させ頭部を両断した。
そして瞬時に姿勢を低くし、もう一匹の喉元に向かって剣を突き刺し、そのまま頭部を跳ね飛ばした。
「……ハッ!」
――ザンッ!!
最後の一匹はスライムボールに夢中だったため、そのまま剣を振り下ろし頭部を刎ねた。
――ヂ……ヂ……
デッドマンティスはそのまま息絶えて行った。
そして自身の右腕をみて落胆した。
「……だめか」
決意表明からわずか三日で、俺は二輪のリターンを習得する事が出来た。
この調子でいけばすぐに五輪程度! と思っていたが、三輪を習得しないまま3ヶ月が経ってしまった。
「流石に焦ってくるな……」
俺はデッドマンティスの肉を皮ごと頬張りながら、三輪を覚えない自身に苛立ちを覚えていた。
「もっと強い魔物を倒さないとダメなのか……?」
俺はこの川についてからは、ずっとこの周囲で生活している。
安全を確保した場所以外での睡眠は危険が伴う。
ここで見かけるのは魔物はスライムボールと柔らかいデッドマンティスのみ。
硬い表皮のデッドマンティスは一切見かけなくなった。
硬い表皮とは一度戦闘したが、もうコリゴリだ。
柔らかいデッドマンティス同様、待ち伏せした後に頭部を切り落とそうとしたが、キン! という金属音に近い音を発して、傷ひとつつける事が出来なかった。剣が欠けなくて本当に良かったと思う。
あの時、奴がスライムボールの肉に夢中じゃなかったら、逃げられずに死んでいたな……。
「他の魔物を探すか……」
とは言え、極力川から離れたくない。
所詮サーチはレーダとしてしか機能しておらず、
自分がどこに居るかまでは分からないのだ。
森は似たような景色が続く……油断すればすぐに迷子だ。
「よし、川に沿って登るか」
何か見つかるかは分からないが、川の横を移動すれば迷いにくいだろう。
途中で川が途切れ始めたら、その時また考えればいい。
俺は早速荷物をまとめ、上流を目指す事にした。
・・・
――ザー……
最初に居た場所に比べ少し勾配が出てきた。
それに伴い、川の流れも速くなり水の打つ音も強くなっていた。
静かな川の流れだった拠点も良いが、
力強い川の流れる音も心地良い。
少し強め湿気と美味しい空気……。
マイナスイオンを沢山吸っている気がする。
空気が美味しいと言うのは、まさにこの事なのだろう。
……魔物に怯えなくていいのなら、最高だったんだけどね。
「一輪、サーチ」
サーチをしながら上流を目指す。
岩場が続いた川も、気がつけば森を抜けるように流れており非常に歩きにくい。足場は無いに等しい状態だ。
木の陰から飛び出すスライムボールには何度か遭遇したが、基本的に襲ってこなければスルーしている。
食糧として優秀だろう。一般的には味もそこそこいけるはずなのだが……俺はスライムボールの肉より、デッドマンティスの肉の方が好きになっちまっていた。
特に……嫌と感じていた匂いを放つ表皮をつけたまま食うのが好きだ。
今となっては表皮は、独特な香辛料みたいなもんさ。
「……ん?」
インターバルが終了する毎にサーチを発動し進んでいたのだが、レーダー上に見慣れないマークが出現していた。
「何だこれ? ひし形かな……しかも青色だ」
今まで、レーダーに現れるのは白色のみだったが、このマークだけ青色に光っているのだ。
「……行ってみるしかないな」
川から少し離れてしまうが、その青色マークを目指す為に進路を変更した。
といっても500m程の距離だからすぐ着く。
「一輪、サーチ」
200m程離れた木の陰で、何度もサーチを使うが、その青色マークは微動だにしていない気がする。
一体何が居るのか……。
「行くか」
俺は腹を括り、その場所へと向かった。
・・・
「ここは……?」
その場所へと向かうと、他の木とは比べ物にならない程に育った樹木の切り株が目の前に現れた。
切り株だというのに、幅と高さは20メートル程ある。とんでもないサイズの樹木だったのだろう……。
そして、その切り株には横穴が空いており、洞窟の様に奥まで続いている。
「空気が通ってるし、奥まで続いているな……木の洞窟か……」
一輪サーチが青色で指す場所は間違いなくここだ。
どうやら生物ではなくこの切り株を表示していたようだ。
「……入るか」
俺はその切り株の洞窟へと足を踏み入れた。
明かりなどは一切なく、徐々にその外の光が入らなくなっていく。
「暗いな……」
俺は早速、デッドマンティスの体液とスライムボールを混ぜた団子状の物を、デッドマンティスの脚を棒状に加工した物に突き刺した。
そして、絶命しても発光し続けるカナブン程のサイズの虫の発光部分を指で潰し、出てきた液体を団子に塗布した。
すると、泥団子に伝染するように光が伸びて行き、その泥団子は程よく周囲を照らす明かりとなった。
「自家製松明、完成だ」
この現象はここでの生活でたまたま気がついた。
デッドマンディスを倒した時、一緒にこの虫を切断していたようで、その際、眩い光がデッドマンティスの体液に広がったのだ。
それを見て、色々試した結果がこの松明だ。
その洞窟は急こう配な坂を下って行くような作りだった。
分かれ道も無く一本道だし、サーチに魔物は一切映らない。
もう少し調べる必要はあるだろうけど、ここは安全な拠点として使えそうだな……。
「……扉だ」
10分ほど下った先に現れたのは、淡い青色の石で出来た扉だった。
取っ手などは無く、よく分からない模様が彫られているだけである。
ここまで来たのなら入るしかない……そう思って俺はその扉を押した。
――ギィ……
扉の隙間からは冷たい空気が漏れ出した。
「なんだここ……」
俺の声は静かに反響した。
中は思っていたより結構広くて、綺麗な円形状のフロアとなっている。
周囲の壁も扉と同じく青い岩で出来ている。
岩壁自体はボコボコしているが、半球の様に形成されている。
そして中央には聖杯のような形の青い岩の台座、その後ろには黒色で光沢のある艶やかな石板が設置されている。
「綺麗だ……」
俺は吸い寄せられるようにその台座と石板の場所へと近づいた。
「……」
台座の高さは70~80cm程だろうか……俺の腰ほどしかなくかなり低い。
気になる点と言えば中央には直径15㎝穴が空いており、どういう仕組みなのか中は完全に真っ暗で何も見えない。
「この穴、気になる……手でも突っ込むか……?」
注視して見ると、微量だが穴から魔力を感じる。
真実の口みたいな感じかな。手を突っ込むと手が千切れる……とかなのか?!
俺は恐る恐る穴の周囲にをなぞる様に触れた。
すると……
「な!! 吸い込まれ――ッ!」
抗えない程の吸引力で、右手は穴に吸い込まれ肩まで入った。
高級な掃除機もびっくりな吸引力だ。
「いってえ……てか抜けない……!」
思いっきり力を入れても全く抜ける気配がない。
腕と手に一切力が入らないし、感覚もない。
痛みは無かったけど、腕が引き抜かれたのか……?!
そんな事を思いながら必死に腕を引き抜こうとしていると、
台座は光始め目の前の石板にも文字が浮かび始めた。
「なんだ……?」
石板からは上から1行づつ文字が浮かび上がる。
――
経験値確認……
種族 一般
レベル4.2相当の経験値を習得しています。
魔法輪を強化します。
・・・
――
「え?」
その文字が現れた後、台座が光輝き始めた。
「なんか冷たい感触が腕に……」
その瞬間、腕は抜けていない! ちゃんとあると安堵した。
観念してそのまま石板を見ながらしばらく待つと、光は収まりまた文章が表示し始めた。
――
レベル3
三輪 エンハンス を習得
一輪 サーチ を強化
レベル4
四輪 バインド を習得
ユニークリング所有者
特性 制御 を開放
次のレベルまで0.8
レベル5情報
五輪 ブラスト
左手の輪を開放
――
それが表示されると、右腕の吸引が終わり、手を引っこ抜く事が出来た。
「……魔法輪が増えてる。二つも……!」
三輪エンハンスと四輪バインドの魔法輪が増えたのだろう。
順番的に肩から遠い方が三輪だろう。
しかし……一気に情報出しすぎだろ! しかも詳細というか説明は無しだ。
特性制御ってなに! エンハンスってどんな魔法?!
サーチも強化されて……。
「外でとにかく使ってみるか」
そうして俺は外へ出て、少し開けた場所に移動した。
「さて……まずはサーチだ」
俺はいつもの手順で魔法発動を行う。
輪が増えたから、押し間違いには注意が必要だ。
と言っても魔法名を口で言わないと発動はしない。
発動しないまま少し放っておくと、また待機状態に戻るのだ。
「一輪、サーチ」
いつも通りの発動の仕方だが、レーダーの方には明らかな違いが出ていた。
「すげえ……地形が見えるようになってるし、魔物の名前とか名称も出るようになってる! あとこれ、1km近くの範囲に増えてるな……」
レーダーはまるで地図の様に表示されるようになり、魔物のアイコンの下にはデッドマンティスやスライムボールと名前まで出るようになっていた。
そしてこの場所の名前も……ここは神輪の祭壇という場所のようだ。
「でも、名前の表示されていない魔物も居るな……表示される条件があるのかな」
サーチが終わり、少しのインターバルに入る。
「早く次の魔法を使いたい! この30秒が待ち遠しいよ」
サーチのインターバルは30秒だ。
ここまで長い30秒は無かったな。
「よし、次はエンハンスを試そう……」
インターバルが終了し、俺は三輪エンハンスの魔法輪に触れた。
「三輪、エンハンス!」
何かが飛び出すのかな? と思い、掌を目線の先に向けていたが、何も飛び出す事は無かった。
「……あれ?」
輪は起動状態のような形で光り続けている。
どういう事だ……?
だが、何が起こっているのかはすぐに理解できた。
「これ、マグと一緒の状態だ。魔力を薄く全身に覆っている状態……!」
その状態で俺は思いっきりジャンプをしてみた。
「うお……!」
――バキバキ……
枝と葉をバキバキと折りながら、真っ直ぐに木の間を突き抜けた。
「空が見えた!」
木のてっぺんまで突き抜けた俺は、そのまま木の上に着地した。
「……枝と葉が全身に凄く当たったのに、全く痛くないし、傷一つねえな……」
どうやら覆っている魔力は防具としての役割も担ってくれているようだ。
「エンハンスを纏った状態、何が強くなっているのか確かめねーと!」
そうしてその日から、エンハンスを理解する為に様々な事を試し始めた。
「んん……」
川のせせらぎが聞こえる。
最初に一夜を過ごした場所と比べると、格段に良い場所になった。
とは言え、大きな岩の隙間……相変わらず狭い場所ではあったが……。
「一輪、サーチ」
川で顔を洗い終えた後、すぐにサーチを使用する。
手の甲の輪に触れ、次に魔法輪に触れるいつもの所作で発動する。
この魔法、[一輪:サーチ]は半径300m~1km(個人差)の状況を把握する。(俺は800m範囲程だ)一時的に手の甲の魔法陣にレーダーの様に表示される(主に魔物や人の位置)
魔物か人かは大きさと形で判断する。
丸は人で三角は魔物だ。ここでの丸はまだ自分しか見た事ないけど……。
そして、魔法を一度使用するとインターバルが発生する。
魔法が使えない状態……手の甲の輪が浮いたまま光を失った状態になるのだ。
しばらくすると浮き上がっていた輪は手の甲に戻り、光を取り戻す。
とにかく、周囲の安全はこれが確認できた。本当に便利な魔法を最初に覚えてくれたものだ……。
さて、情報を整理しよう……。
結論から行くと、魔法は二輪までじゃない。
その先があるんだ。
それが何処までかは分からないが……
四輪、[バインド]……相手を拘束する魔法。
3と5は分からないが、強力な魔法に違いない。
そして厄介な魔法、[下位掌握]。
これはどうやら俺のような紫の髪の人種には使えないみたいだ。
貴族と言われる、黄色髪……そしてマグのような赤い髪限定の魔法……。
名前から察するに、自身より下の身分か地位の者にしか効かないのだろう。
序列は赤、黄、紫という感じなのだろうか……。
黄色い奴に会ったらやばいというのはこの魔法のせいだったんだな。
そんな考え事をしながら俺はマグが残していったデッドマンティスの肉を手に取った。
「中々きつい臭い肉だ……食えるのかな?」
俺は恐る恐る肉を火で焼いた。
「焼けた臭いも決してうまそうでは無いな……」
口元まで近づけると、酸味のあるツンとした匂いが鼻を通り、思わずえずきそうになる。
「すー……ふう」
一旦顔から離した肉を、深呼吸をして少し息を止めながらさっと口に運んだ。
たとえ不味くても、食べられるのであれば食べておかねばならない。貴重な食糧だ。
――パリッ
噛むと、パリッとした感触の後、硬めのグミのような感触の肉に到達した。
「グミというか、アロエのような食感だな……と言うか……」
俺は表皮の匂いと肉の匂いを嗅いだ。
「……表皮はキツイ匂いだけど、中身は大丈夫だな。皮をむいて食うのかな?」
俺は皮をむいてもう一度かじった。
「これなら食える! ……美味くは無いが……」
味付けをしていないせいもあるが、
まるでゼラチンの塊を食ってるみたいだ。
塩をかけるより、砂糖をかける方が合いそうだな……。
食事をしながらも思考は続ける。
「……この二つ目がリターン。でもマグ達は帰る気がないの」
マグが言った言葉だ。一体どのくらいの期間ここで生活しているんだ?
そして、達という事は一人じゃない様だな……。
とにかく、去ってしまった者の事を考えても仕方がない。
「一輪、サーチ」
考え込んでしまったせいで忘れていたが……サーチは、発動できるときは常に発動しておこう。
「……さて、俺のやる事は決まったな」
知りえた情報の中で、俺は一つやる事決めていた。
「俺も二輪で帰らねえ。ここで生き残る。そして……」
自然と拳に力が入った。
「いずれここへ落ちてくる妹と弟がリターンを覚えるまで守る……!」
二年後、そして三年後には確実に俺の妹弟がここへ落ちてくる……。
あいつらが落ちてきたら俺が守るんだ。
少なくともそれまで生き残り、魔法輪を増やす……!
これが俺の異世界での最初のちゃんとした決意表明だった。
・・・
・・
・
――3か月後……
この最下層という場所は気候が安定しているようだ。
湿気は高いが気温はそこまで高くなく、比較的過ごしやすい。
3か月たった今でも、ここへ来た頃と気温差は体感変わっていない。
「一輪、サーチ」
周囲には3つの魔物の気配……もちろんデッドマンティスだ。
俺はデッドマンティスの表皮で作った袋から、スライムボールの死骸を取り出し地面に置いた。そして、すぐ近くの木の上で気配を消し待機中だ。
この袋に食材など入れると、匂いを外に漏れるのを防いでくれる。というよりデッドマンティスのキツイ匂いで隠蔽している感じだ。
中身に多少匂いは移るが、他の魔物に奪われる心配がなくなった。
――チチチ……
「三匹とも釣れたか……」
デッドマンディスがスライムボールを食べ始めた瞬間、俺は木の上から飛び出した。
――ザンッ! ザシュ……ズシャァ……
剣先に体重を乗せながら飛び降り、一匹のデッドマンティスの頭部を突き刺し、そのまま剣を回転させ頭部を両断した。
そして瞬時に姿勢を低くし、もう一匹の喉元に向かって剣を突き刺し、そのまま頭部を跳ね飛ばした。
「……ハッ!」
――ザンッ!!
最後の一匹はスライムボールに夢中だったため、そのまま剣を振り下ろし頭部を刎ねた。
――ヂ……ヂ……
デッドマンティスはそのまま息絶えて行った。
そして自身の右腕をみて落胆した。
「……だめか」
決意表明からわずか三日で、俺は二輪のリターンを習得する事が出来た。
この調子でいけばすぐに五輪程度! と思っていたが、三輪を習得しないまま3ヶ月が経ってしまった。
「流石に焦ってくるな……」
俺はデッドマンティスの肉を皮ごと頬張りながら、三輪を覚えない自身に苛立ちを覚えていた。
「もっと強い魔物を倒さないとダメなのか……?」
俺はこの川についてからは、ずっとこの周囲で生活している。
安全を確保した場所以外での睡眠は危険が伴う。
ここで見かけるのは魔物はスライムボールと柔らかいデッドマンティスのみ。
硬い表皮のデッドマンティスは一切見かけなくなった。
硬い表皮とは一度戦闘したが、もうコリゴリだ。
柔らかいデッドマンティス同様、待ち伏せした後に頭部を切り落とそうとしたが、キン! という金属音に近い音を発して、傷ひとつつける事が出来なかった。剣が欠けなくて本当に良かったと思う。
あの時、奴がスライムボールの肉に夢中じゃなかったら、逃げられずに死んでいたな……。
「他の魔物を探すか……」
とは言え、極力川から離れたくない。
所詮サーチはレーダとしてしか機能しておらず、
自分がどこに居るかまでは分からないのだ。
森は似たような景色が続く……油断すればすぐに迷子だ。
「よし、川に沿って登るか」
何か見つかるかは分からないが、川の横を移動すれば迷いにくいだろう。
途中で川が途切れ始めたら、その時また考えればいい。
俺は早速荷物をまとめ、上流を目指す事にした。
・・・
――ザー……
最初に居た場所に比べ少し勾配が出てきた。
それに伴い、川の流れも速くなり水の打つ音も強くなっていた。
静かな川の流れだった拠点も良いが、
力強い川の流れる音も心地良い。
少し強め湿気と美味しい空気……。
マイナスイオンを沢山吸っている気がする。
空気が美味しいと言うのは、まさにこの事なのだろう。
……魔物に怯えなくていいのなら、最高だったんだけどね。
「一輪、サーチ」
サーチをしながら上流を目指す。
岩場が続いた川も、気がつけば森を抜けるように流れており非常に歩きにくい。足場は無いに等しい状態だ。
木の陰から飛び出すスライムボールには何度か遭遇したが、基本的に襲ってこなければスルーしている。
食糧として優秀だろう。一般的には味もそこそこいけるはずなのだが……俺はスライムボールの肉より、デッドマンティスの肉の方が好きになっちまっていた。
特に……嫌と感じていた匂いを放つ表皮をつけたまま食うのが好きだ。
今となっては表皮は、独特な香辛料みたいなもんさ。
「……ん?」
インターバルが終了する毎にサーチを発動し進んでいたのだが、レーダー上に見慣れないマークが出現していた。
「何だこれ? ひし形かな……しかも青色だ」
今まで、レーダーに現れるのは白色のみだったが、このマークだけ青色に光っているのだ。
「……行ってみるしかないな」
川から少し離れてしまうが、その青色マークを目指す為に進路を変更した。
といっても500m程の距離だからすぐ着く。
「一輪、サーチ」
200m程離れた木の陰で、何度もサーチを使うが、その青色マークは微動だにしていない気がする。
一体何が居るのか……。
「行くか」
俺は腹を括り、その場所へと向かった。
・・・
「ここは……?」
その場所へと向かうと、他の木とは比べ物にならない程に育った樹木の切り株が目の前に現れた。
切り株だというのに、幅と高さは20メートル程ある。とんでもないサイズの樹木だったのだろう……。
そして、その切り株には横穴が空いており、洞窟の様に奥まで続いている。
「空気が通ってるし、奥まで続いているな……木の洞窟か……」
一輪サーチが青色で指す場所は間違いなくここだ。
どうやら生物ではなくこの切り株を表示していたようだ。
「……入るか」
俺はその切り株の洞窟へと足を踏み入れた。
明かりなどは一切なく、徐々にその外の光が入らなくなっていく。
「暗いな……」
俺は早速、デッドマンティスの体液とスライムボールを混ぜた団子状の物を、デッドマンティスの脚を棒状に加工した物に突き刺した。
そして、絶命しても発光し続けるカナブン程のサイズの虫の発光部分を指で潰し、出てきた液体を団子に塗布した。
すると、泥団子に伝染するように光が伸びて行き、その泥団子は程よく周囲を照らす明かりとなった。
「自家製松明、完成だ」
この現象はここでの生活でたまたま気がついた。
デッドマンディスを倒した時、一緒にこの虫を切断していたようで、その際、眩い光がデッドマンティスの体液に広がったのだ。
それを見て、色々試した結果がこの松明だ。
その洞窟は急こう配な坂を下って行くような作りだった。
分かれ道も無く一本道だし、サーチに魔物は一切映らない。
もう少し調べる必要はあるだろうけど、ここは安全な拠点として使えそうだな……。
「……扉だ」
10分ほど下った先に現れたのは、淡い青色の石で出来た扉だった。
取っ手などは無く、よく分からない模様が彫られているだけである。
ここまで来たのなら入るしかない……そう思って俺はその扉を押した。
――ギィ……
扉の隙間からは冷たい空気が漏れ出した。
「なんだここ……」
俺の声は静かに反響した。
中は思っていたより結構広くて、綺麗な円形状のフロアとなっている。
周囲の壁も扉と同じく青い岩で出来ている。
岩壁自体はボコボコしているが、半球の様に形成されている。
そして中央には聖杯のような形の青い岩の台座、その後ろには黒色で光沢のある艶やかな石板が設置されている。
「綺麗だ……」
俺は吸い寄せられるようにその台座と石板の場所へと近づいた。
「……」
台座の高さは70~80cm程だろうか……俺の腰ほどしかなくかなり低い。
気になる点と言えば中央には直径15㎝穴が空いており、どういう仕組みなのか中は完全に真っ暗で何も見えない。
「この穴、気になる……手でも突っ込むか……?」
注視して見ると、微量だが穴から魔力を感じる。
真実の口みたいな感じかな。手を突っ込むと手が千切れる……とかなのか?!
俺は恐る恐る穴の周囲にをなぞる様に触れた。
すると……
「な!! 吸い込まれ――ッ!」
抗えない程の吸引力で、右手は穴に吸い込まれ肩まで入った。
高級な掃除機もびっくりな吸引力だ。
「いってえ……てか抜けない……!」
思いっきり力を入れても全く抜ける気配がない。
腕と手に一切力が入らないし、感覚もない。
痛みは無かったけど、腕が引き抜かれたのか……?!
そんな事を思いながら必死に腕を引き抜こうとしていると、
台座は光始め目の前の石板にも文字が浮かび始めた。
「なんだ……?」
石板からは上から1行づつ文字が浮かび上がる。
――
経験値確認……
種族 一般
レベル4.2相当の経験値を習得しています。
魔法輪を強化します。
・・・
――
「え?」
その文字が現れた後、台座が光輝き始めた。
「なんか冷たい感触が腕に……」
その瞬間、腕は抜けていない! ちゃんとあると安堵した。
観念してそのまま石板を見ながらしばらく待つと、光は収まりまた文章が表示し始めた。
――
レベル3
三輪 エンハンス を習得
一輪 サーチ を強化
レベル4
四輪 バインド を習得
ユニークリング所有者
特性 制御 を開放
次のレベルまで0.8
レベル5情報
五輪 ブラスト
左手の輪を開放
――
それが表示されると、右腕の吸引が終わり、手を引っこ抜く事が出来た。
「……魔法輪が増えてる。二つも……!」
三輪エンハンスと四輪バインドの魔法輪が増えたのだろう。
順番的に肩から遠い方が三輪だろう。
しかし……一気に情報出しすぎだろ! しかも詳細というか説明は無しだ。
特性制御ってなに! エンハンスってどんな魔法?!
サーチも強化されて……。
「外でとにかく使ってみるか」
そうして俺は外へ出て、少し開けた場所に移動した。
「さて……まずはサーチだ」
俺はいつもの手順で魔法発動を行う。
輪が増えたから、押し間違いには注意が必要だ。
と言っても魔法名を口で言わないと発動はしない。
発動しないまま少し放っておくと、また待機状態に戻るのだ。
「一輪、サーチ」
いつも通りの発動の仕方だが、レーダーの方には明らかな違いが出ていた。
「すげえ……地形が見えるようになってるし、魔物の名前とか名称も出るようになってる! あとこれ、1km近くの範囲に増えてるな……」
レーダーはまるで地図の様に表示されるようになり、魔物のアイコンの下にはデッドマンティスやスライムボールと名前まで出るようになっていた。
そしてこの場所の名前も……ここは神輪の祭壇という場所のようだ。
「でも、名前の表示されていない魔物も居るな……表示される条件があるのかな」
サーチが終わり、少しのインターバルに入る。
「早く次の魔法を使いたい! この30秒が待ち遠しいよ」
サーチのインターバルは30秒だ。
ここまで長い30秒は無かったな。
「よし、次はエンハンスを試そう……」
インターバルが終了し、俺は三輪エンハンスの魔法輪に触れた。
「三輪、エンハンス!」
何かが飛び出すのかな? と思い、掌を目線の先に向けていたが、何も飛び出す事は無かった。
「……あれ?」
輪は起動状態のような形で光り続けている。
どういう事だ……?
だが、何が起こっているのかはすぐに理解できた。
「これ、マグと一緒の状態だ。魔力を薄く全身に覆っている状態……!」
その状態で俺は思いっきりジャンプをしてみた。
「うお……!」
――バキバキ……
枝と葉をバキバキと折りながら、真っ直ぐに木の間を突き抜けた。
「空が見えた!」
木のてっぺんまで突き抜けた俺は、そのまま木の上に着地した。
「……枝と葉が全身に凄く当たったのに、全く痛くないし、傷一つねえな……」
どうやら覆っている魔力は防具としての役割も担ってくれているようだ。
「エンハンスを纏った状態、何が強くなっているのか確かめねーと!」
そうしてその日から、エンハンスを理解する為に様々な事を試し始めた。
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