上 下
28 / 51
第二章 旅立ち準備編

26話 ルーネと二人

しおりを挟む
「ネビア、もう遅い時間だ。続きは明日にしようぜ」
「そうですね……」

 魔法陣を暗記してから、ネビアは必死に発動練習をしているが成功する気配がない。
 それほどまでに難易度が高いのだろう。

――
魔法階級:不明
スチームエクスプロージョン
火と土で超高熱のサンドボールを生成、それに膜を貼るようにウォーターボールを生成、射出する。
何かに触れた瞬間、サンドボールと水が触れ、超広範囲に水蒸気爆発を起こす。
爆発範囲を見誤ると自分も巻き込まれる。非常に高威力で危険
――

「ふと思ったんだけど、高熱のサンドボールを作る練習からやるのはどうかな? 条件が変わったりするのかな」
「それなら2属性で済みますね。試す価値はあるかも知れません」

 そう言って早速ネビアは試みようとするも、神治が間に入ってきた。

「高熱のサンドボール自体はそれで生成できると思うが、結合魔法陣が違うのと、タイミングが大きく変わるから意味無いのう」

 ネビアはそれを聞いて落胆したが、神治はさらに話続けた。

「しかし、3属性より2属性の方がとりあえず難易度は低いかのう……やっぱりやる価値はあるかもしれんのう!」

 神治はすぐに意見を変更した。
 こういった柔軟性も化学者には大事なのだろうか……こちらは振り回されてばかりだが。

「もう! またすぐに意見を変えましたね!」
「すまんのう。思ったらすぐ口に出るのはなおらんようじゃ」

 神治は笑いながら言った。

「しかし[ライトペイント]を飛ばして魔法陣を描くとはな! 君達への興味は尽きんな! しっかり実験を手伝ってもらわんとな」

 神治はまじまじとこちらを見ていた。
 すると、ルーネがぱっと現れ、

「実験といって、変な事をフィアン達にしたら許さないですからね!」

 と神治に釘を刺した。
 しかし、

「何を言うか! 実験では体の隅々まで調べ上げるぞい! もちろん二人と一緒の精霊ちゃんも一緒じゃよ!」
「ひっ、フィアンさんこの人やばいです……逃げましょう……!」

 ルーネが俺の腕にぎゅっとしがみつきびくびくしている。俺も少しびびってしまっているが……。

「ふぉっふぉ、冗談じゃよ! 魔法を使ってもらったりするのがメインじゃよ。魔力の流れを研究するんじゃ」
「よ、よかった……」

 俺はほっと安堵したが、この人の言うことは冗談に聞こえないから怖いもんだ……。

「では、そろそろ失礼しましょうか。暗くなるまで付き合っていただき有難う御座います」
「いいんじゃよ! 今日もまた得るものは多かった! またお願いするぞい。光と闇の研究を進めたいのでな!」

 俺達はもちろんと頷き、帰宅した。
 3人で仲良く帰ってきたら、ティタが不貞腐れていたのはまた別の話だ。

――翌日

 今日は二人で神冶さんの所へ行くこととなった。
 ゼブも一緒に行こうとしたが、ティタに物理的に刺されそうになったので、今日は一日ティタのお相手だ。
 夫婦は大変だな……仲が良くていいことだけどね! 

「じゃあ、今日も行って来るね!」
「行ってらっしゃい! 気をつけるんだよ」
「あまり遅くならないようにするのよ! この前の様にね!」
「はい! 気をつけます!」

 母さんを怒らさない為にも、約束は守ろうと胸に誓い、神冶さんのラボへとむかった。

「こんにちはー!」
「お、よくきたのう。今日はゼブはお留守番かの?」
「今日は一日ティタ……お母さんの相手をするそうです!」
「ほっほ。仲が良くていい事じゃのう」

 神治はそう言いながらお茶を用意してくれた。
 ゼブがここに持ってきたものだが……。

「そういえば、神冶さんは何処から来たとかその辺の話は父さんにしたんですか?」
「まぁ研究中に急に飛ばされて気づいたらここに居たとだけ伝えたぞい。詳しいところはゼブも聞いてこなかったしのう」

 そして神治は、昨日夜通しで研究し辿り着いた説を共有したいと言った。

「神治さん、寝ないで大丈夫なの?」

 俺は心配そうに言ったが、神治は元気よく、

「心配無用じゃ。前にも行ったが、わしはほぼアンドロイドじゃ。何日かは平気で動けるぞ! たまに脳を完全に休めるだけでオッケーじゃ!」

 と言った。

「では、早速説明するぞ。疑問に思ったことは途中でもがんがん聞いて欲しいんじゃ。色々な角度、視点からの疑問が多いほどよいんじゃ」
「わかりました!」

 そう言うと神治はよしと頷き、

「まず、この世で発生する事象は全て、わしらの居た世界での事象と似て非なるものなんじゃ」

 といきなり難易度の高い事を言い始めた……。

「この世界には純粋な酸素と呼べる気体が存在していない。にもかかわらず酸素と高熱、燃える物を必要とする火と同じ現象は存在しておる」
「酸素がない……」

 神治はそのまま何故この考えに行きついたかの話を続けた……。
 そして、

「酸素などの役割は魔法陣が補ってくれておる。つまり、魔法陣一つで化学反応を完結させることが出来るのじゃ! メテオがその一例じゃよ」

 と結論付けた。

「火という現象が実は火じゃない……? よくわかんねーよ!」

 俺の頭は大混乱していた。

「まぁ難しく考えなくてよい! この世界においては元の世界の知識を活用できることもあれば、その知識……概念が進歩の邪魔をすることもあると言うことじゃ」
「常識に囚われるなと言う事ですね!」

 ネビアがそう言うと、神治はその通りと指をさしていた。
 
「とりあえずその事象を調べるべく、わしはメテオの研究からしようと思う。光と闇はそれからじゃな……来てもらったのにすまない」
「いえいえ、では僕はまた魔法の練習に戻ります。何かあればデバシーにコールしてください」

 そうして俺達は研究所を後にした。

・・・
・・


「俺は何しようかな」

 いつも集まる森で横になって何をするかを考えていた。
 ネビアは複合魔法の練習をする。
 もちろん俺には出来る気がしない魔法だ。一緒に居ても邪魔にしかならない。

「フィアンさん、今日はのんびりですね」

 すると、ルーネが横に現れた。

「ルーネ、おいで! 一緒にごろごろしよう!」
「はい……します……!」

 ルーネは照れくさそうに横に来て寝転がった。

「のんびりした時間もいいですね。フィアンさんはいつも忙しそうですし」
「そうだな。ネビアは今も頑張ってるけどな……!」
「いいじゃないですか! 剣術は身体をしっかり休めるのも大事です」

 魔法と剣術の大きな違いは、発動後の結果がハッキリしているかどうかって所だろう。

 魔法は正しい魔法陣を適切に描き、魔力を込めると必ず発動してくれる。
 どこか間違いがあれば発動しないし、答えが明確に現れる。

 しかし剣術はそうはいかない。
 例えば[魔装・一閃]という技一つにおいても、斬る角度や踏み込み具合などで結果は全く異なる。

 色々な剣術を覚え、ティタにも出来ていると言われているが……本当にその技の真価を発揮できているのかが常に疑問である。
 剣術は色々な技を覚えていくよりも、いくつかに絞って熟練度を上げていく方がいいのかもしれないな。

「フィアンさんならすぐに上達しますよ! ルーネもお手伝いしますしっ」
「ありがとうルーネ!」

 俺は思わずルーネを抱きしめた。
 相変わらず花と日光のような良い匂いがする……。

「あっ……フィアンさん……」

 ルーネもぎゅっと抱きしめ返してくれた。たまに無性に人肌が恋しくなるからこうやってぎゅーっとしてもらおう。
 人肌と言うかこの場合、精霊肌になるのかな……。 
 少しの間ルーネの暖かさを堪能したあと、俺はやることを思いついた。

「よし! この辺の森でまだ探索してないところ行ってみるか。マッピングしながらね!」

 俺はデバシーを取り出し、エリアスキャンモードに切り替えた。

「そのへんな機械をまた使うんですね。行かなくとも5km以内なら立体マップが生成されるんじゃなかったんですか?」
「そうなんだけど、色とか全くついてない大雑把なものなんだ。このスキャンモードにしながら移動すると、周囲1kmに範囲は狭くなってしまう代わりに、より正確なマッピングがされるんだ。ほら見てみて!」

 そういうとルーネにタブレットを見せて、今居る所が鮮明にマッピングされているのを見せた。

「ほえー。便利なものですねー」
「移動が早すぎるとスキャンが追いつかないから確認しつつ歩いて散策しようか」

 ダンジョンに一人で入るのは危険だが、森の散策で出現するシャドウなら大丈夫だろう。
 もしダンジョンを見つけても入らず、場所だけはピンを立てる程度に抑えよう……。
 まずは準備だな。一度家に帰ろう。

「ただい……」

 家の扉を開けた瞬間、ティタの甘い声がきこえてきたのでそのまま静かに出ることにした。

「部屋の扉はちゃんと閉めてほしいよな。かばん置いてるところに行くにはあの前を通らないといけないのに……」
「フィ、フィアンさん得意のシャドウウォークでいけば良かったんじゃないですか……?」
「そう思ったんだけど、かばん取る時には絶対音は鳴っちゃうからね。相手が警戒したら効果は薄くなっちゃうからね……万が一ばれたら凄く気まずいだろ!」

 そしてルーネは顔を赤面させながら小さな声で、

「ヒト族は結構な頻度であの行為を行うのですね……」

 と言った。

「ヒトと言うか天族だな。天族になってからあの頻度は多分珍しいだろうな……」

 そう答えたが、俺にも一つ疑問が湧いてきた。

「ルーネは精霊族? になるのかな。精霊はああいった事はしないの?」

 俺がそう言うとルーネは大きく首を横に振りながらしながら、

「精霊もしますよ! 私はまだした事無いですけど……ただ、3ヶ月に一回、決まったタイミングでしか子供はできないのでそれ以外ではする意味が……」

 真顔でそう続けた後、ルーネがはっとして顔を真っ赤にした。

「なっなに聞いてるんですか! 女の子に、そんな……エッチなことは聞いちゃダメなんですよ……!」
「そうだな……ごめんルーネ! てか、顔真っ赤になってるね、可愛いなあ」

 俺はそういいながら真っ赤になったほっぺをぷにぷにした。

「な、なにやってるんですか……! ほら! マッピングしますよ!」

 そう言ってルーネはそそくさと移動し始めたのだった。
 それにしても、あれは精霊にもエッチな事という認識なのか……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。 どんなスキルかというと…? 本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。 パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。 だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。 テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。 勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。 そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。 ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。 テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を… 8月5日0:30… HOTランキング3位に浮上しました。 8月5日5:00… HOTランキング2位になりました! 8月5日13:00… HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ ) 皆様の応援のおかげです(つД`)ノ

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

女神様から同情された結果こうなった

回復師
ファンタジー
 どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

処理中です...