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第一章 幼少〜少年編
18話 その剣は
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[暗黒剣・シャドウノヴァ]
刀身は深い黒さに包まれており、光を吸収するような特殊な材質で出来ている。
刃の部分は特に闇に浸かり、瘴気が蠢いているように見える。刀身表面には複雑な紋様が浮き出ており、解読不能である。
誰が作り出したかは一切不明。一説にはシャドウから生み出された魔剣だとも言われている。
「そんな剣が……!」
俺はその剣の説明に胸がときめいていた。
「最初その剣を見た時、それがシャドウノヴァだと確信したんじゃ! しかし……」
そういってアルネはまたまじまじと剣を見つめる。
「姿形はシャドウノヴァにそっくりなんじゃが、聞いている特徴と少し違う気もするんじゃ」
アルネが言うには、これの剣身は深い漆黒色で艶が無い状態だが、光を吸収するような材質というよりは、
錆びてくすんでしまった結果、艶が無いように見えるそうだ。
「そう言われると確かにそう見えるな。触った感触も少しざら付いているし」
「とは言えシャドウノヴァの可能性も高い。それが錆びついてしまっている可能性もあるしのう」
「実際、すげえ切れ味だし、ただの剣ではないよな。シャドウノヴァって奴かも知れないな!」
「そうじゃな! 伝説の鍛冶師ウォレックみせれば何か分かるかもしれんが……」
「え、誰なのそれ!」
俺がそう質問すると、アルネは少しだけ伝説の鍛冶師ウォレックの話をしてくれた。
ウォレックは最高峰の武器職人と言われており、
冒険者の最高階級であるレジェンドパーティを勝利に導く、数々の武具を作成した物凄く凄い鍛冶師だそうだ。
「冒険者? レジェンドパーティ!?」
「フィアン、落ち着きなさい。時間がいっぱいあるし説明してあげようかのう」
冒険者とは……
冒険者ギルドに登録された者を指す。
冒険者ギルドにはおつかいから素材収集、シャドウ討伐やダンジョン探索等様々な依頼が舞い込み、その依頼を受けるのが冒険者である。
冒険者はパーティを組む必要があり、パーティには見習いから初級、中級、上級と魔法のようにランクがある。
その上には最上級、そしてさらに上にレジェンドという最高ランクが存在する。
依頼をこなし、実績ができたらランクは上がり、難しい依頼も任せられるようになる。
「私も冒険者じゃよ! 上級ランクでリーダーを務めておった。ほれ」
アルネはそう言って1枚のカードを俺達に見せた。
白紙の状態だったが、アルネがライトペイントを押し付けると文字が浮かび上がった。
そこには、上から順に
アルネ隊【風狂】(1)、上級(休止)、アルネ(承認済)、2981、3051
と記載されており、
パーティ名【通り名】(人数)、パーティランク、氏名、個人貢献度、パーティ総合貢献度の情報だそうだ。
「休止になっていますね」
ネビアは休止の文字を指差して言った。
「流石に何十年と活動していなかったからのう。中央都市で活動再開の申請をしなければならん」
「あの、僕たちも冒険者になれますか?」
ネビアは前のめりに質問したが、12歳以上にならないと無理だと即答された。
「それでも、思ったより低い年齢で資格が貰えるんですね」
「危ない依頼じゃなく、簡単な依頼をこなす程度なら十分な年齢じゃよ」
「両親が許してくれるか分からないけど……俺達も冒険者になりたいな!」
俺がそう言うと、ネビアはうんうんと同意していた。
「お主たちなら凄い冒険者になるじゃろうな。両親の許しが貰えなかったら私も一緒に説得してやろう」
「本当!? 有難うアルネさん!」
「とは言え、まだまだ先じゃ。説得はその時戻って来てからじゃな」
アルネさんはそう言って立ち上がった。
「戻って来てからって?」
俺がそう質問すると、アルネは数日内で中央都市へ旅立つと言う事を教えてくれた。
「休止を解除せねばならんし、何十年ものブランクで身体が鈍っておる。師匠に修行をつけてもらうんじゃ」
「アルネさんの師匠……?」
俺はすぐにかなりのご老体もしくは死んでいるのでは? と思ったが……。
「師匠は天族じゃからな! まだまだ元気じゃよ!」
とアルネは言った。
「え、じゃぁもう行っちゃうんですね……戻る予定はあるんですか?」
ネビアは少し寂しそうに言った。
「お主ら、13歳の時に試練が分かるじゃろ? それまでには必ず戻るよ。出来るのであれば私にも手伝いをさせて欲しい」
と元気よく言ってくれた。
「約束だよ。アルネさん!」
「もちろんじゃ! さて、では準備があるから私はこれで失礼するよ」
アルネはそう言って、立ち去った。
そして、その数日後……
一人で旅立つアルネを、俺達は惜しみながらも見送った。
「試練が分かるまで6年……長い年月だな」
「そうですね……」
「それまでにこれ……しっかりやって行こうな」
「はい!」
俺はそう言って、木版に掘った字を見つめた。
13歳の試練も貰うまでにやる事
・フィアンは光の剣術、ネビアは闇の魔法を極める!
・二人が融合して一人になった現象について調べる!
目標は大きく分けて二つ……
試練が無い間は特に技術を磨いて行こう。
恐ろしく難易度が高い可能性もあるからな。
木版を見つめながら、俺とネビアは肩を組みながら決意を新たにした。
――第1章 幼少期編 完
刀身は深い黒さに包まれており、光を吸収するような特殊な材質で出来ている。
刃の部分は特に闇に浸かり、瘴気が蠢いているように見える。刀身表面には複雑な紋様が浮き出ており、解読不能である。
誰が作り出したかは一切不明。一説にはシャドウから生み出された魔剣だとも言われている。
「そんな剣が……!」
俺はその剣の説明に胸がときめいていた。
「最初その剣を見た時、それがシャドウノヴァだと確信したんじゃ! しかし……」
そういってアルネはまたまじまじと剣を見つめる。
「姿形はシャドウノヴァにそっくりなんじゃが、聞いている特徴と少し違う気もするんじゃ」
アルネが言うには、これの剣身は深い漆黒色で艶が無い状態だが、光を吸収するような材質というよりは、
錆びてくすんでしまった結果、艶が無いように見えるそうだ。
「そう言われると確かにそう見えるな。触った感触も少しざら付いているし」
「とは言えシャドウノヴァの可能性も高い。それが錆びついてしまっている可能性もあるしのう」
「実際、すげえ切れ味だし、ただの剣ではないよな。シャドウノヴァって奴かも知れないな!」
「そうじゃな! 伝説の鍛冶師ウォレックみせれば何か分かるかもしれんが……」
「え、誰なのそれ!」
俺がそう質問すると、アルネは少しだけ伝説の鍛冶師ウォレックの話をしてくれた。
ウォレックは最高峰の武器職人と言われており、
冒険者の最高階級であるレジェンドパーティを勝利に導く、数々の武具を作成した物凄く凄い鍛冶師だそうだ。
「冒険者? レジェンドパーティ!?」
「フィアン、落ち着きなさい。時間がいっぱいあるし説明してあげようかのう」
冒険者とは……
冒険者ギルドに登録された者を指す。
冒険者ギルドにはおつかいから素材収集、シャドウ討伐やダンジョン探索等様々な依頼が舞い込み、その依頼を受けるのが冒険者である。
冒険者はパーティを組む必要があり、パーティには見習いから初級、中級、上級と魔法のようにランクがある。
その上には最上級、そしてさらに上にレジェンドという最高ランクが存在する。
依頼をこなし、実績ができたらランクは上がり、難しい依頼も任せられるようになる。
「私も冒険者じゃよ! 上級ランクでリーダーを務めておった。ほれ」
アルネはそう言って1枚のカードを俺達に見せた。
白紙の状態だったが、アルネがライトペイントを押し付けると文字が浮かび上がった。
そこには、上から順に
アルネ隊【風狂】(1)、上級(休止)、アルネ(承認済)、2981、3051
と記載されており、
パーティ名【通り名】(人数)、パーティランク、氏名、個人貢献度、パーティ総合貢献度の情報だそうだ。
「休止になっていますね」
ネビアは休止の文字を指差して言った。
「流石に何十年と活動していなかったからのう。中央都市で活動再開の申請をしなければならん」
「あの、僕たちも冒険者になれますか?」
ネビアは前のめりに質問したが、12歳以上にならないと無理だと即答された。
「それでも、思ったより低い年齢で資格が貰えるんですね」
「危ない依頼じゃなく、簡単な依頼をこなす程度なら十分な年齢じゃよ」
「両親が許してくれるか分からないけど……俺達も冒険者になりたいな!」
俺がそう言うと、ネビアはうんうんと同意していた。
「お主たちなら凄い冒険者になるじゃろうな。両親の許しが貰えなかったら私も一緒に説得してやろう」
「本当!? 有難うアルネさん!」
「とは言え、まだまだ先じゃ。説得はその時戻って来てからじゃな」
アルネさんはそう言って立ち上がった。
「戻って来てからって?」
俺がそう質問すると、アルネは数日内で中央都市へ旅立つと言う事を教えてくれた。
「休止を解除せねばならんし、何十年ものブランクで身体が鈍っておる。師匠に修行をつけてもらうんじゃ」
「アルネさんの師匠……?」
俺はすぐにかなりのご老体もしくは死んでいるのでは? と思ったが……。
「師匠は天族じゃからな! まだまだ元気じゃよ!」
とアルネは言った。
「え、じゃぁもう行っちゃうんですね……戻る予定はあるんですか?」
ネビアは少し寂しそうに言った。
「お主ら、13歳の時に試練が分かるじゃろ? それまでには必ず戻るよ。出来るのであれば私にも手伝いをさせて欲しい」
と元気よく言ってくれた。
「約束だよ。アルネさん!」
「もちろんじゃ! さて、では準備があるから私はこれで失礼するよ」
アルネはそう言って、立ち去った。
そして、その数日後……
一人で旅立つアルネを、俺達は惜しみながらも見送った。
「試練が分かるまで6年……長い年月だな」
「そうですね……」
「それまでにこれ……しっかりやって行こうな」
「はい!」
俺はそう言って、木版に掘った字を見つめた。
13歳の試練も貰うまでにやる事
・フィアンは光の剣術、ネビアは闇の魔法を極める!
・二人が融合して一人になった現象について調べる!
目標は大きく分けて二つ……
試練が無い間は特に技術を磨いて行こう。
恐ろしく難易度が高い可能性もあるからな。
木版を見つめながら、俺とネビアは肩を組みながら決意を新たにした。
――第1章 幼少期編 完
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