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第一章 幼少〜少年編

16話 達成の後

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 大天使は深刻な表情をしている。

「結論から言うと、13歳まで試練はお預けじゃ」
「ええ!?」

 俺とネビアは同時に驚いた。

「本来なら契約の試練が期限13歳まで……それを6歳で終わらしてしまったんじゃから当然じゃ」
「13歳……後6年以上も試練無しか」
「残念ですね……」

 残念そうな俺達を見て、女神様は、

「6年もあれば今回授けた知識での訓練を多く出来るでしょう。その間自身をしっかり高めると良いでしょう」

 とフォローを入れてくれた。

「そうだな。実際試したい事は沢山ある。それまでにしっかり身に着けようぜネビア!」
「そうですね!」

「分かってくれてよかった。必ずまた試練を伝えにここへ呼ぶ。それまでゆっくり休むと良い」

 最後に大天使がそう締め、俺達は光に包まれ帰還した。

・・・
・・


 次に目を開けると、アルネの小屋に戻ってきていた。

「ふう、疲れましたね」
「そうだな。少し緊張もしたし、不思議な感覚の場所だったもんな」

 二人で話していると、アルネが飛びついてきた。

「二人とも、本当に感謝じゃ! 何か俺をしない時が済まん!」

 そういってアルネは指を唇に当てながら考えた。

「そうじゃ! 私と良い事でもするか……? 天族になったから子供も出来んし何も気にすることはないぞ?」

 アルネは服を少しははだけさせながら言った。
 一人称がわしから私に変わったのも何か良いな……!

「え! えっと……では是非――」

 俺がそう言いかけたらルーネが飛び出し、口を塞いできた。

「アルネさん! まだフィアンさん達には早すぎます!」

 ルーネは少しだけ怒っている様子だ。

「何を言っておるのか! あんな濃厚なちゅーをしよったくせに!」

 アルネがそう言うと、ルーネの顔は真っ赤になり、もじもじしながら俺を見てきた。
 何これ凄く可愛いんだけど……。

「ふふ、冗談じゃよ! とにかく一度村に戻ろう! 親御さんたちも心配してるじゃろ?」

 そう言われ俺達は頷いた。

「それに、私の家にある隠し地下倉庫に、何かお礼できるものがあるかも知れない」

 すると、テーネが大穴の方に振り向き、

「だれかくる……」

 と呟いた。

「シャドウか……?」

 俺とネビアは武器を取って戦闘態勢を取った。
 その瞬間、4人の人影が木の陰から飛び出してきた。

「と……父さん!?」
「――ッ!? フィアン?!」

 その人影の正体は、ゼブパーティの4人だった。

「二人ともどうしてこんな危険な場所にいるのよ!」

 ティタは怒った表情でずんずんと近づいてきた。
 それに対して俺とネビアが冷や汗をかいていると、アルネが間に割って入った。

「この子達は私を助けてくれたんじゃ。シャドウナイトという強敵を打倒してな!」

 アルネがそう言うと、ゼブ達4人は驚愕していた。

「シャドウナイトを!? 冗談だろ? もしかして途中の[浄化の光]も二人で設置したのかい?」
「えっと……」

 俺とネビアは顔を見合わせた。
 そして、ここまで来た方法を全て伝える事にした。

 [浄化の光]の設置や、シャドウやウォーカーを倒しながら進み、この場所を見つけた事そしてシャドウナイトを討伐した事を。
 ……一回死に掛けた事は内緒にした。

「がっはっは! 凄い子達じゃないか! わしらのパーティより遥かに戦力が高いぞ!」

 モトゥルは笑いながら俺の肩を叩いた。

「本当だよ。信じられない話ばかりだ。父さん達はウォーカー2体で苦戦していたのに」
「今の話が本当なら、カレナ達はシャドウナイトのフロアで全滅でしたね……」

 ゼブが驚いている横で、カレナはおびえた様子でそう言った。

「とにかく!  無事でよかったわ二人とも!」

 そう言ってティタは俺達を強く抱きしめた。

「とりあえず、一旦私の小屋の方へ戻らんか?」
「あ、すいません。ところで貴方は……?」
「私はアルネじゃ! さ、こっちじゃよ」

 そう言って、皆でアルネの小屋へと向かった。

「さ、腹が減っているじゃろ! 豪華なものはないが用意してやろう!」

 アルネは元気よく食事の用意をし始めた。
 若い身体になったおかげで、動きがとてもてきぱきしており、凄い速度でご飯の準備は進んでいった。

 そして、食卓にはこの前食べた名前の無い甘い果実とパン、干し肉を入れたコンソメ風のスープが並んだ。

「にしても二人でSランク級のシャドウナイトを討伐か! もしかしたらゼブ夫婦の[天衣]状態よりも強いかもな?」

 俺はモトゥルから[天衣]という気になる単語が出た為、質問しようとしたが……。

「モトゥル。凄いとかじゃないのよ! こんな危ない場所に勝手に入って!」

 とティタは声を荒げた。

「まぁまぁティタ、こうして無事だったからいいじゃないか」
「ゼブは変な所が甘いわね! そう言う問題じゃないの!」

 ゼブは必死になだめようとしているが、ティタの怒りはまだ収まりそうになり。
 まぁ、約束を守らず勝手に家を飛び出し、こんな場所に居る。怒るのは当然ではあるのだが。

「母さん、本当にごめんなさい……」

 そんなやり取りをしている時、カレナとルーネとテーネは果実を食べていた。

「凄く美味しい。初めての味です」

 カレナはそんな事を呟きながら果実にかぶりつく。

「この実はこの辺の木にいっぱい生えていますよ! 採取しても1週間もすれば実がまた生えて来て、さらに1週間でこの大きさまで成長します」
「食べ放題……」

 ルーネとテーネはカレナに力説していた。
 俺もあっちに混ざって果実を食べたいな……説教をされながらそんな事を考えていた。

「母さん! 何故こんな危険な事をしたのか……それには理由があるんです!」

 ネビアが隙を見てそう切り出した。

「僕たちは小さい時の記憶が残っています。どこかから父さん達と逃げ出した記憶……女神から試練を授かった事……」

 ネビアはそう切り出し、女神からの試練はシャドウナイトを討伐する事、そして精霊を契約する事で既に二つの試練を終えている事を説明した。

「試練か……内容を覚えていてそれを遂行する子が居るとはね……」

 ゼブは困惑したような表情で言った。

「二人とも、屋敷から逃げ出した時の記憶があるのね……?」

 ティタのその問いに俺とネビアは頷いた。
 そして、ゼブとティタは顔見合わせた後、ゼブはその時の事を聞きたいかい? と聞いてきた。
 
「聞かせて欲しい!」

 その答えを聞いて、ゼブは一息ついた後、

「実は、父さんと母さんは天族なんだ」

 と話を切り出した。
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