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第三章 その夢は誰が為ぞ
三 ルールは後からついてくる(2)
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あるところに、千年続く魔法の王国がありました。
王国には、シファナという、銀色の髪と真っ赤な瞳のお姫さまが居りました。
大変珍しい見かけとその愛らしさから、お父さんである王さまは彼女をお城から一歩も出しませんでした。
お姫さまには、いつも一緒にいる友人がいました。腕の立つ剣士見習いの金髪のネルボと、ドジな女中で栗色の髪をしたジョイです。
お姫さまは十一歳になったある日、二人にこっそり言いました。
「明日から始まるお祭りに乗じて、城の外に出ようと思っています」
ジョイはその計画に賛同しましたが、ネルボは渋い顔をして言いました。
「祭典には、あらゆる外国の人もやってきます。危険すぎます」
ネルボの言葉にお姫さまは顔を暗くしましたが、ジョイがひらめいて言いました。
「そんなに心配なら、みんなで一緒に行けばいいんだよ」
そうして三人は計画を立て、王国のお祭りが始まる花火の音を合図に、厨房の裏口からこっそりと抜け出しました。
ネルボとジョイはいつもの格好でしたが、お姫さまは、生まれてから一度も切ったことの無かった銀色の髪を肩の上まで切りそろえて、ジョイの用意した町娘の格好になっていました。
窓の外から見ているだけだった街並みを歩いていると思うと、お姫さまの気持ちは天にも舞い上がるようでした。
それに加えて彼女の目を引いたのは、異国からやってきた人たちの開いていた露店でした。
お城の中で何不自由なく暮らしてきたシファナ姫でも見たことのないような壺や絵、衣装がたくさんならんでいました。
「これは一体どこの国から来たのかしら?」
そう、お姫さまが二人の友人に尋ねようと振り向くと、二人はどこにもいませんでした。
彼女は好奇心の向くままにあちこちを歩いていたので、二人とはぐれてしまったのでした。
あたりを見回しても、建物や道があるばかりで、お姫さまには城に帰る道がちっともわかりません。
お姫さまは二人の友人を探して歩きました。
しかし、歩くのも段々疲れてきてしまい、お姫さまは心細さのあまりその場で泣き出してしまいました。
泣かないようにと思っていても、不安な気持ちは涙をどんどん流させました。
街の人は、泣いているお姫さまがいったい誰なのかわからず、どうしようかと思いあぐねていました。
すると、一人の少年が進み出てきて、お姫さまに声をかけました。
「こんなところにいたんだね。迷子になったらだめじゃないか。さあ、こっちに」
黒髪の少年はお姫さまの手を握ると、その手を引いて速足で人だかりからお姫さまを連れ出しました。
泣いたせいで真っ赤になったお姫さまの顔を見て、少年はにっと笑って見せました。
そしてポケットからハンカチを取り出してお姫さまの涙をふきました。
「どうしてお姫さまがこんなところに居るんだい?」
「お城の外に出てみたかったのです。でも友達とはぐれちゃって」
「へえ! 噂は本当だったのか! 僕も友達を見つけるのを手伝うよ」
王国には、シファナという、銀色の髪と真っ赤な瞳のお姫さまが居りました。
大変珍しい見かけとその愛らしさから、お父さんである王さまは彼女をお城から一歩も出しませんでした。
お姫さまには、いつも一緒にいる友人がいました。腕の立つ剣士見習いの金髪のネルボと、ドジな女中で栗色の髪をしたジョイです。
お姫さまは十一歳になったある日、二人にこっそり言いました。
「明日から始まるお祭りに乗じて、城の外に出ようと思っています」
ジョイはその計画に賛同しましたが、ネルボは渋い顔をして言いました。
「祭典には、あらゆる外国の人もやってきます。危険すぎます」
ネルボの言葉にお姫さまは顔を暗くしましたが、ジョイがひらめいて言いました。
「そんなに心配なら、みんなで一緒に行けばいいんだよ」
そうして三人は計画を立て、王国のお祭りが始まる花火の音を合図に、厨房の裏口からこっそりと抜け出しました。
ネルボとジョイはいつもの格好でしたが、お姫さまは、生まれてから一度も切ったことの無かった銀色の髪を肩の上まで切りそろえて、ジョイの用意した町娘の格好になっていました。
窓の外から見ているだけだった街並みを歩いていると思うと、お姫さまの気持ちは天にも舞い上がるようでした。
それに加えて彼女の目を引いたのは、異国からやってきた人たちの開いていた露店でした。
お城の中で何不自由なく暮らしてきたシファナ姫でも見たことのないような壺や絵、衣装がたくさんならんでいました。
「これは一体どこの国から来たのかしら?」
そう、お姫さまが二人の友人に尋ねようと振り向くと、二人はどこにもいませんでした。
彼女は好奇心の向くままにあちこちを歩いていたので、二人とはぐれてしまったのでした。
あたりを見回しても、建物や道があるばかりで、お姫さまには城に帰る道がちっともわかりません。
お姫さまは二人の友人を探して歩きました。
しかし、歩くのも段々疲れてきてしまい、お姫さまは心細さのあまりその場で泣き出してしまいました。
泣かないようにと思っていても、不安な気持ちは涙をどんどん流させました。
街の人は、泣いているお姫さまがいったい誰なのかわからず、どうしようかと思いあぐねていました。
すると、一人の少年が進み出てきて、お姫さまに声をかけました。
「こんなところにいたんだね。迷子になったらだめじゃないか。さあ、こっちに」
黒髪の少年はお姫さまの手を握ると、その手を引いて速足で人だかりからお姫さまを連れ出しました。
泣いたせいで真っ赤になったお姫さまの顔を見て、少年はにっと笑って見せました。
そしてポケットからハンカチを取り出してお姫さまの涙をふきました。
「どうしてお姫さまがこんなところに居るんだい?」
「お城の外に出てみたかったのです。でも友達とはぐれちゃって」
「へえ! 噂は本当だったのか! 僕も友達を見つけるのを手伝うよ」
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