召喚探偵の推理回想録

玻璃斗

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緋色の宿命

プロローグ

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──ああ、くそったれ。
 
真っ赤な血の海に沈んだ俺は路地裏の建物の間から見える夕焼けを苦々しい思いで眺めていた。
 
情けねーな。
あんだけあいつに問題ないって言ったくせに結局この様かよ。
 
弱々しく笑ったその時、視界の端に俺に駆け寄るあいつの姿が入った。
どうやら心配してあとをつけていたようだ。
あいつは倒れた俺を抱き起こした。

やめろよ。せっかく綺麗な白髪が汚れちまうぞ?

俺は振り払おうとするが身体に上手く力が入らない。
あいつの頬を伝った涙が俺の顔にこぼれ落ちる。
 
相変わらず泣き虫だな。お前は。
 
俺は冗談めかしてそう言おうとした。
だが口からは血の塊しか出てこない。
 
──やべぇな。
 
身体中が痛くて上手く喋れねぇ。
しかも段々痛みすら感じなくなってきた。
くそ。くそ。くそ!
これが終わったら言うつもりだったのに。
嫌だ。死にたくない。
これじゃあ約束を守れないじゃないか……!
 
……ああ、神様。
今までこれっぽっちも信じちゃいなかったけど。
もしいるとするなら。
 
俺はこいつに……
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