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第一章 神の遊戯 序盤
第一話~another side~ 母と願い
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これは柊 涼啓と同じ神の遊戯に参加した、とある女の子の物語。
彼女ー香寺 亜佑美ーは小学校、中学校と幸せに、極普通の生活を送っていた。
しかし、高校に入ると同時、母親が難病を患った。
そのため、父親は別の仕事も始め、めったに家に帰らなくなり、亜佑美自身は教科書を学校に置いておき、母親のいる病室で学校以外のじかんを過ごすようになった。
母親の病状は悪くなるばかりで回復の様子が微塵も感じられないそんな中、亜佑美は神と対面した。
それは亜佑美が久々に家に帰った日、久しぶりに自分のベッドで寝ようとしたその時、神は現れた。
亜佑美は見ると同時、脳がそれを神だと理解するより先に、その得体の知りえない存在に願いを乞うていた。切実な思いのままに……
「どうかっ……どうか神様……お母さんを……お母さんを助けて下さいっ……そして、元の生活を……返してくださいっ……」
その言葉に、神は何も感じないかのように微動だにせず、話し始める気配すらない。
数分間、亜佑美は諦めずに願いを乞い続けていたが、やがていくら願っても無駄だと理解した。
亜佑美が願いを乞うのをやめると神は話し始めた。
「汝は、我等神の遊戯の参加者として我に選ばれた。汝の他にも選ばれた人間はいる。これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える。それを用いて戦いあえ。いや、殺しあえ」
大切な人の命を助けて欲しいと願ったすぐあとに、他の人を殺せと言われた亜佑美は言葉を失った。
あぁ……この世はなんて残酷なのだろう、と。
そんな思いを知ってか知らでか神は続ける。
「殺しあうという言葉の為に頭の整理がますますつかなくなっているようだが、安心しろ。神の遊戯で人が死んでいっては人の世が荒れる。そのため、神の遊戯により死んだ者は、記憶操作された状態で、今までの日常通りの生活に戻るようになっている。周りの者達の記憶も書き換えられるため、少し違和感はあるかも知れんが、特に気にもならずに生活に戻るだろう。我等の力により、どれだけ暴れても特に何も起こっていないように一般人は感じるようにする」
それを聞いて亜佑美は思った。
戦う力なんていらない、暴れるつもりも毛頭ない、ただお母さんの病気が治り、元の幸せで何の変哲もない生活に戻りたいだけだ、と。
ただそんなことを考え、思い出す。
神は『これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える』と言っていた。
それならば……
それならば……治癒能力のある力を貰えばお母さんの病気も治るのでは?と考える。
亜佑美の考えが【神の遊戯】に参加する方向に向いて来たところで神は背を押すように言う。
「勝者には、どんな願いでも1つだけ叶えてやる」
それはつまり、亜佑美にとって、お母さんの病気を治し、元の生活に戻れると言っている様に感じられた。
亜佑美は深く考えず、
「神の遊戯に参加します。」
と言った。
神は端的に応じる。
「参加の意思を受け取った。文字を選べ」
亜佑美がそこで迷うことは無かった。
神が、既に選ばれた文字は使えないと言い、それらの文字を背後に出す前に、亜佑美は返答した。
「治療の治」
まだ選ばれていなかったようで、神はすぐさま了承する。
それと同時、亜佑美の右手の甲に“治”という文字が現れた。
「今から制限を言おう。汝の選びし文字、“治”は能力者に対してのみ、病気、怪我を即座に治す。また、能力者であれば1人のみ、神の遊戯と無関係の生物では3体、もしくは3人まで、自分の決めた規則に従うよう管理できる。能力者を管理する場合、他の生物は管理できず、その逆もまた同様である」
神が文字の制限を説明し、亜佑美はショックを受けた。
自分の文字ではお母さんの病気は治せない。
そんな現実が亜佑美を苦しめる。
だが、亜佑美は最後の希望とばかりに意思を固める。
辛い、しかしそうすればお母さんの病気は治せるのだから、と。立ち塞がる能力者達を倒す、と。
神が言った通りなら倒した後も、その能力者は生きていられるのだから殺すわけでは無い、と自分に言い聞かせる。
そうして、亜佑美は神の遊戯に正式に参加したのだった。
彼女ー香寺 亜佑美ーは小学校、中学校と幸せに、極普通の生活を送っていた。
しかし、高校に入ると同時、母親が難病を患った。
そのため、父親は別の仕事も始め、めったに家に帰らなくなり、亜佑美自身は教科書を学校に置いておき、母親のいる病室で学校以外のじかんを過ごすようになった。
母親の病状は悪くなるばかりで回復の様子が微塵も感じられないそんな中、亜佑美は神と対面した。
それは亜佑美が久々に家に帰った日、久しぶりに自分のベッドで寝ようとしたその時、神は現れた。
亜佑美は見ると同時、脳がそれを神だと理解するより先に、その得体の知りえない存在に願いを乞うていた。切実な思いのままに……
「どうかっ……どうか神様……お母さんを……お母さんを助けて下さいっ……そして、元の生活を……返してくださいっ……」
その言葉に、神は何も感じないかのように微動だにせず、話し始める気配すらない。
数分間、亜佑美は諦めずに願いを乞い続けていたが、やがていくら願っても無駄だと理解した。
亜佑美が願いを乞うのをやめると神は話し始めた。
「汝は、我等神の遊戯の参加者として我に選ばれた。汝の他にも選ばれた人間はいる。これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える。それを用いて戦いあえ。いや、殺しあえ」
大切な人の命を助けて欲しいと願ったすぐあとに、他の人を殺せと言われた亜佑美は言葉を失った。
あぁ……この世はなんて残酷なのだろう、と。
そんな思いを知ってか知らでか神は続ける。
「殺しあうという言葉の為に頭の整理がますますつかなくなっているようだが、安心しろ。神の遊戯で人が死んでいっては人の世が荒れる。そのため、神の遊戯により死んだ者は、記憶操作された状態で、今までの日常通りの生活に戻るようになっている。周りの者達の記憶も書き換えられるため、少し違和感はあるかも知れんが、特に気にもならずに生活に戻るだろう。我等の力により、どれだけ暴れても特に何も起こっていないように一般人は感じるようにする」
それを聞いて亜佑美は思った。
戦う力なんていらない、暴れるつもりも毛頭ない、ただお母さんの病気が治り、元の幸せで何の変哲もない生活に戻りたいだけだ、と。
ただそんなことを考え、思い出す。
神は『これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える』と言っていた。
それならば……
それならば……治癒能力のある力を貰えばお母さんの病気も治るのでは?と考える。
亜佑美の考えが【神の遊戯】に参加する方向に向いて来たところで神は背を押すように言う。
「勝者には、どんな願いでも1つだけ叶えてやる」
それはつまり、亜佑美にとって、お母さんの病気を治し、元の生活に戻れると言っている様に感じられた。
亜佑美は深く考えず、
「神の遊戯に参加します。」
と言った。
神は端的に応じる。
「参加の意思を受け取った。文字を選べ」
亜佑美がそこで迷うことは無かった。
神が、既に選ばれた文字は使えないと言い、それらの文字を背後に出す前に、亜佑美は返答した。
「治療の治」
まだ選ばれていなかったようで、神はすぐさま了承する。
それと同時、亜佑美の右手の甲に“治”という文字が現れた。
「今から制限を言おう。汝の選びし文字、“治”は能力者に対してのみ、病気、怪我を即座に治す。また、能力者であれば1人のみ、神の遊戯と無関係の生物では3体、もしくは3人まで、自分の決めた規則に従うよう管理できる。能力者を管理する場合、他の生物は管理できず、その逆もまた同様である」
神が文字の制限を説明し、亜佑美はショックを受けた。
自分の文字ではお母さんの病気は治せない。
そんな現実が亜佑美を苦しめる。
だが、亜佑美は最後の希望とばかりに意思を固める。
辛い、しかしそうすればお母さんの病気は治せるのだから、と。立ち塞がる能力者達を倒す、と。
神が言った通りなら倒した後も、その能力者は生きていられるのだから殺すわけでは無い、と自分に言い聞かせる。
そうして、亜佑美は神の遊戯に正式に参加したのだった。
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