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第一章 神の遊戯 序盤
第九話~another side~ 秘密と放心
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敵がいてそうな高めのビルの最上階に着いたのはいいものの、部屋が無数にあり、一向に敵が見つかる気配がない。
「敵見つけられないんですか?」
「なんか、能力使ったらつまんないし、探索ってワクワクしない?」
「しません。疲れるだけなんで見つけてほしいです」
「そうか」
「ちょっと!」
この人からしたら、この殺し合いもただのお遊びらしい。
というか、急にこんな殺し合いに参加したのにどうしてこうも慣れているような雰囲気をだせるのだろう。
「なんでそんなに慣れてるんですか?」
「何にだ?」
「この神の遊戯とかいうやつにですよ」
「どうして慣れてると思うんだ?」
「なんとなく今までの言動を見る限り……」
何故か翅さんは黙り込んでしまった。
断言はできないけど、この人には何か大きな秘密がある気がする。
それも、この遊戯に関係するものが。
だけど証拠もなくこれ以上問い詰めるのも何か悪い気がしてしまってお互い黙り込む形になってしまった。
そうこうしているうちに、もう20もの部屋を確認していた。
この謎に重い空気を少しでも軽くしようと言葉を放つ。
「こ、このビル、見た目は縦にしか大きくなかったのに何部屋あるんでしょうね!」
「実際横にはあまり大きくなかったから、小さな部屋が沢山あるんだろ。今まで確認したのも小さかっただろ?」
確かに一部屋一部屋は4畳程と、小さかった。
だけど……
「にしても多すぎるような……」
「多分だが、もうすぐすべての部屋の確認が終わるぞ。外から見た大きさと部屋の大きさから考えると、だいたい24部屋くらいだと思うからな」
「あと4部屋なんですね」
「多分な」
このビルの構造は複雑で、あと何部屋あるかは見ただけでは分からない。
そのため、彼は推測していたようだ。
「あと4部屋……敵に会ってないのはほんとに偶然なのか、敵が隠れてるのか……もしかするとここにいない……とか?」
「かもしれないな」
「そんなぁ」
「油断してると後ろからやられるかもしれないぞ」
「怖い事言わないでくださいよ」
「そう言えば……罠とか何も無いんだな」
「そう言われてみればそうですね」
全く意識していなかったけど、何も無い。
罠どころか、家具さえも。
外にいたゴーレム達もいない。
「ほんとにここには何も無いんじゃ……」
「しっ……」
私が他のところに行く事を提案しようとしたその時、人の話し声が聞こえた。
「やっぱり部屋狭くねぇか?」
「これくらいが丁度いい」
「部屋多いしよぉ。てかさっきからドアが開く音してる気がするんだがほんとに気にしなくていいのか?」
「気のせいだろ」
敵が近くの部屋にいるのだろうか。
「やっぱりドアをこっそり開けといて良かったな」
「いや、その前にこの声とか足音とかなんで聞こえてない感じになってるんですか?」
「ここに入る前に言っただろ? “断”るって」
「やっぱり謎です」
「とりあえずこの2人をやるか」
「はい」
声の聞こえてくる方へとこっそり歩いていく。
敵がいるであろう部屋の前へと着いたのはいいもののどうすればいいのか困惑していると翅さんが言ってきた。
「此処で待っとけ。暗殺してくる」
「はぁ?」
またサラッと殺人宣言をしてきた。
どんな神経をしてるのだろうか。
「能力“断”“殺”“透”」
私が頭を抱えていると、翅さんはスルッと壁を抜けて部屋の中へと入っていった。
その様子を見て、遂に私は放心状態になった。
「もうなんでもありなんですね。あはははは」
「そこで待っとけよ」
翅さんが壁の反対側から、放心状態の私を気遣うことなく指示をしてきた。
もう動きたくない。
「「うっ」」
部屋の中から先程の声の主2人の声が聞こえてきた。
すると、ドアが開き翅さんが堂々と出てきた。
「へ?」
「もう始末した」
「へ?」
「銃とか持ってた」
「へ?」
「首筋に“創”るって字が書かれてる奴がいたからそいつの力でここまでやったんだろうな」
「へ~」
「そろそろ『へ』以外の言葉を返してくれよ」
「あ、はぁ」
「いつまで放心状態なんだよ」
もう、思考能力が停止しきっていた。
いや、おかしいでしょ。
創る能力でここまで出来るとか反則でしょ。
「返事なし、か。因みに、もう1人の方は額に“強”いって字があったから、それで地盤とかを固めてこの街のせいで上にある街が崩れないようにしてたみたいだな」
そしてこの人はなんでここまで推理できるの。
なんでそんな強そうな2人組を1人でササッと倒せるの。
「そろそろここでた方が良さそうだ。能力者倒したせいか、この地下街ごと全て元に戻りそうな気配がする」
言われてみれば少しづつビルが薄れていっていた。
今回は規模が規模なだけに無くなるのが遅いみたいだ。
「はぁ……いつまで返事ねぇんだよ。テレポートするぞ」
「あ、はい」
「やっとまともな返事が来た。能力“移”。場所、ここの真上の地上で人目のないところっと」
翅さんの発言の後、瞬きすると同時に地上に出てきていた。
「もう無理。頭おかしくなってきた」
「なんでこいつと組んでるんだろうか」
「あはははは」
「ほらー目ぇ覚ませー」
そう言いながら翅さんは私の頬を軽く叩いてきた。
少しづつ理性を取り戻した私はふと気になったことを翅さんに訊ねた。
「“創”るの能力でゴーレムとかいう非常識的なもの作れるっておかしくないですか?」
「いや。多分だが、一般的に知られてるものなら創れるんだと思うぞ」
「この遊戯、バランス取れなさすぎ……」
「確かにな。俺が勝ち確だもの」
こんな理不尽な能力差のある戦いで勝ち確宣言とは……
「地下で時間使いすぎたな。もうすぐ夕方になりそうだ」
「時間が経つのって早いんですね」
「何言ってんだお前」
「ちょっと頭おかしくなってるんで気にしないでください」
「はいはい」
そんな会話をしつつ、私たちは何処へ向かうか決めることなくふらつくことにした。
「敵見つけられないんですか?」
「なんか、能力使ったらつまんないし、探索ってワクワクしない?」
「しません。疲れるだけなんで見つけてほしいです」
「そうか」
「ちょっと!」
この人からしたら、この殺し合いもただのお遊びらしい。
というか、急にこんな殺し合いに参加したのにどうしてこうも慣れているような雰囲気をだせるのだろう。
「なんでそんなに慣れてるんですか?」
「何にだ?」
「この神の遊戯とかいうやつにですよ」
「どうして慣れてると思うんだ?」
「なんとなく今までの言動を見る限り……」
何故か翅さんは黙り込んでしまった。
断言はできないけど、この人には何か大きな秘密がある気がする。
それも、この遊戯に関係するものが。
だけど証拠もなくこれ以上問い詰めるのも何か悪い気がしてしまってお互い黙り込む形になってしまった。
そうこうしているうちに、もう20もの部屋を確認していた。
この謎に重い空気を少しでも軽くしようと言葉を放つ。
「こ、このビル、見た目は縦にしか大きくなかったのに何部屋あるんでしょうね!」
「実際横にはあまり大きくなかったから、小さな部屋が沢山あるんだろ。今まで確認したのも小さかっただろ?」
確かに一部屋一部屋は4畳程と、小さかった。
だけど……
「にしても多すぎるような……」
「多分だが、もうすぐすべての部屋の確認が終わるぞ。外から見た大きさと部屋の大きさから考えると、だいたい24部屋くらいだと思うからな」
「あと4部屋なんですね」
「多分な」
このビルの構造は複雑で、あと何部屋あるかは見ただけでは分からない。
そのため、彼は推測していたようだ。
「あと4部屋……敵に会ってないのはほんとに偶然なのか、敵が隠れてるのか……もしかするとここにいない……とか?」
「かもしれないな」
「そんなぁ」
「油断してると後ろからやられるかもしれないぞ」
「怖い事言わないでくださいよ」
「そう言えば……罠とか何も無いんだな」
「そう言われてみればそうですね」
全く意識していなかったけど、何も無い。
罠どころか、家具さえも。
外にいたゴーレム達もいない。
「ほんとにここには何も無いんじゃ……」
「しっ……」
私が他のところに行く事を提案しようとしたその時、人の話し声が聞こえた。
「やっぱり部屋狭くねぇか?」
「これくらいが丁度いい」
「部屋多いしよぉ。てかさっきからドアが開く音してる気がするんだがほんとに気にしなくていいのか?」
「気のせいだろ」
敵が近くの部屋にいるのだろうか。
「やっぱりドアをこっそり開けといて良かったな」
「いや、その前にこの声とか足音とかなんで聞こえてない感じになってるんですか?」
「ここに入る前に言っただろ? “断”るって」
「やっぱり謎です」
「とりあえずこの2人をやるか」
「はい」
声の聞こえてくる方へとこっそり歩いていく。
敵がいるであろう部屋の前へと着いたのはいいもののどうすればいいのか困惑していると翅さんが言ってきた。
「此処で待っとけ。暗殺してくる」
「はぁ?」
またサラッと殺人宣言をしてきた。
どんな神経をしてるのだろうか。
「能力“断”“殺”“透”」
私が頭を抱えていると、翅さんはスルッと壁を抜けて部屋の中へと入っていった。
その様子を見て、遂に私は放心状態になった。
「もうなんでもありなんですね。あはははは」
「そこで待っとけよ」
翅さんが壁の反対側から、放心状態の私を気遣うことなく指示をしてきた。
もう動きたくない。
「「うっ」」
部屋の中から先程の声の主2人の声が聞こえてきた。
すると、ドアが開き翅さんが堂々と出てきた。
「へ?」
「もう始末した」
「へ?」
「銃とか持ってた」
「へ?」
「首筋に“創”るって字が書かれてる奴がいたからそいつの力でここまでやったんだろうな」
「へ~」
「そろそろ『へ』以外の言葉を返してくれよ」
「あ、はぁ」
「いつまで放心状態なんだよ」
もう、思考能力が停止しきっていた。
いや、おかしいでしょ。
創る能力でここまで出来るとか反則でしょ。
「返事なし、か。因みに、もう1人の方は額に“強”いって字があったから、それで地盤とかを固めてこの街のせいで上にある街が崩れないようにしてたみたいだな」
そしてこの人はなんでここまで推理できるの。
なんでそんな強そうな2人組を1人でササッと倒せるの。
「そろそろここでた方が良さそうだ。能力者倒したせいか、この地下街ごと全て元に戻りそうな気配がする」
言われてみれば少しづつビルが薄れていっていた。
今回は規模が規模なだけに無くなるのが遅いみたいだ。
「はぁ……いつまで返事ねぇんだよ。テレポートするぞ」
「あ、はい」
「やっとまともな返事が来た。能力“移”。場所、ここの真上の地上で人目のないところっと」
翅さんの発言の後、瞬きすると同時に地上に出てきていた。
「もう無理。頭おかしくなってきた」
「なんでこいつと組んでるんだろうか」
「あはははは」
「ほらー目ぇ覚ませー」
そう言いながら翅さんは私の頬を軽く叩いてきた。
少しづつ理性を取り戻した私はふと気になったことを翅さんに訊ねた。
「“創”るの能力でゴーレムとかいう非常識的なもの作れるっておかしくないですか?」
「いや。多分だが、一般的に知られてるものなら創れるんだと思うぞ」
「この遊戯、バランス取れなさすぎ……」
「確かにな。俺が勝ち確だもの」
こんな理不尽な能力差のある戦いで勝ち確宣言とは……
「地下で時間使いすぎたな。もうすぐ夕方になりそうだ」
「時間が経つのって早いんですね」
「何言ってんだお前」
「ちょっと頭おかしくなってるんで気にしないでください」
「はいはい」
そんな会話をしつつ、私たちは何処へ向かうか決めることなくふらつくことにした。
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