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第三章―魔法国家フォルトゥナ 『遊翼の怪盗』
101-1.静かに燃える野望
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その日の夜、時間の許す限り魔導具の売り出されている店を歩き回ったクリスティーナ達は宿を取り、客室へ足を運ぶ。
オリヴィエの言葉通り、ニュイの北側では何軒かの宿屋を見つけることが出来た。
中には宿屋というよりも高級ホテルという方が正しいだろう建物もあった。金銭に余裕があるとはいえ出費をなるべく抑えたいクリスティーナ達は勿論一般的な宿屋を選んだわけであるが、宿を探す過程でそこを出入りする身なりの良い者の姿も散見された。
「やはり収穫はありませんでしたね」
「そう簡単に見つかるもんではないってことだよなぁ」
客室へ入り、クリスティーナはベッドの上、リオとエリアスは床の上にそれぞれが腰を下ろしたところで早速今日の成果の話になった。
とはいえ、それもリオとエリアスの一言ずつで片付けられる程実りのないものである。
魔導具を求めて立ち寄った店の者に問えば、耐久性を向上させる類のものは稀にに入荷することもあるが、決まった時期に入ってくる代物ではない為出会えるかどうかは運の要素が強いという事であった。
他の店ならあるいはと可能性を捨てきれない反面、あまり期待できないのも現実。となればオリヴィエから受け取った招待状をどうするかを含め、今後の行動方針は絞っておきたいところである。
しかしクリスティーナにはその話を始めるよりも先にしておきたいことがあった。
「相談したいことはあるけれど、それよりも先に済ませてしまいましょう」
クリスティーナはベッドの脇に寄るとエリアスを見た。
そして隣に座るよう布団を優しく叩く。
「来なさい」
「え?」
「治療でしょう。貴方骨折れてるんですよ」
察しの悪い騎士は何故隣に呼ばれているのかわからず、その解を求めるようにリオを見た。
助けを求められたリオは仕方なく呆れ混じりに解説をしてやる。そこで漸くエリアスは納得したようだった。
「あ! はい」
痛みを感じない訳ではないだろう。しかし戦慣れしているせいか、エリアスの痛覚に対する耐性は人一倍強いらしい。
とはいえ、第三者の目線から見ても無視できない怪我には変わりない。護衛としての仕事を全うする為にも早い内にエリアスを完治させておきたいところであった
緊張しているらしいエリアスはあまりにも硬い動きでクリスティーナの隣に腰を掛ける。
そしてぎこちなく服を脱ぐと膝の上に手を置いた状態で制止した。
邪魔をしないようにという気遣いと、何がクリスティーナの琴線に触れるのか未だ把握しきれていない故の緊張によるものだろう。その様子は傍から見れば妙に滑稽だった。
オリヴィエの言葉通り、ニュイの北側では何軒かの宿屋を見つけることが出来た。
中には宿屋というよりも高級ホテルという方が正しいだろう建物もあった。金銭に余裕があるとはいえ出費をなるべく抑えたいクリスティーナ達は勿論一般的な宿屋を選んだわけであるが、宿を探す過程でそこを出入りする身なりの良い者の姿も散見された。
「やはり収穫はありませんでしたね」
「そう簡単に見つかるもんではないってことだよなぁ」
客室へ入り、クリスティーナはベッドの上、リオとエリアスは床の上にそれぞれが腰を下ろしたところで早速今日の成果の話になった。
とはいえ、それもリオとエリアスの一言ずつで片付けられる程実りのないものである。
魔導具を求めて立ち寄った店の者に問えば、耐久性を向上させる類のものは稀にに入荷することもあるが、決まった時期に入ってくる代物ではない為出会えるかどうかは運の要素が強いという事であった。
他の店ならあるいはと可能性を捨てきれない反面、あまり期待できないのも現実。となればオリヴィエから受け取った招待状をどうするかを含め、今後の行動方針は絞っておきたいところである。
しかしクリスティーナにはその話を始めるよりも先にしておきたいことがあった。
「相談したいことはあるけれど、それよりも先に済ませてしまいましょう」
クリスティーナはベッドの脇に寄るとエリアスを見た。
そして隣に座るよう布団を優しく叩く。
「来なさい」
「え?」
「治療でしょう。貴方骨折れてるんですよ」
察しの悪い騎士は何故隣に呼ばれているのかわからず、その解を求めるようにリオを見た。
助けを求められたリオは仕方なく呆れ混じりに解説をしてやる。そこで漸くエリアスは納得したようだった。
「あ! はい」
痛みを感じない訳ではないだろう。しかし戦慣れしているせいか、エリアスの痛覚に対する耐性は人一倍強いらしい。
とはいえ、第三者の目線から見ても無視できない怪我には変わりない。護衛としての仕事を全うする為にも早い内にエリアスを完治させておきたいところであった
緊張しているらしいエリアスはあまりにも硬い動きでクリスティーナの隣に腰を掛ける。
そしてぎこちなく服を脱ぐと膝の上に手を置いた状態で制止した。
邪魔をしないようにという気遣いと、何がクリスティーナの琴線に触れるのか未だ把握しきれていない故の緊張によるものだろう。その様子は傍から見れば妙に滑稽だった。
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