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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』
62-2.転移大結晶
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監視の目があっても何故か無意識で罠へ引っ掛かるオリヴィエに振り回され、迫りくる天井に押し潰されかけたり死角から無数の槍が飛んできたりと場が騒然することは多々あった。
しかし恐らくは、通常の迷宮探索に比べれば十分円滑に進んでいる方であると言えるはずだ。
勿論ノアの功績によるものが大きいが、それ以外にも魔物による危険要素がすべて排除されていることが迷宮全体の難易度が著しく下がっていることに繋がっていると予測できる。
本来迷宮には魔物が住まうものだが、どうやらその殆どは魔導師による調査の過程で駆逐されたようだった。
おかげでクリスティーナ達の身に降り掛かる危険はトラップ関連のみ。事前知識を持った上で警戒さえ怠らなければ十分回避することが出来る危険だ。
故に小さな問題(主にオリヴィエによるもの)はいくつもあったが、結果として事は順調に運んでいた。
「いやぁ、思いの外骨が折れたねぇ」
「こんだけ見張ってても罠引っかけて来るって最早才能だろ……」
「僕だって望んでこんな目に遭ってるわけじゃない……」
主に前列組がぐったりとした中、一行は開けた空間へと辿り着いた。
地上を連想させるようにわざわざ敷かれた土。それを踏みしめる音が五つ鳴る。
彼女達の目に留まったのは数十メートルという高さの天井、それに頭が掠めるかと思う程大きな兵士の石像が二体。
そして石像に挟まれた、これまた異様なまでに大きい扉だ。
今まで通り道で目にしてきたものは全て当時備えていた価値を仄めかしはしつつも重ねた年月相応の朽ち方をしていた。
しかし今クリスティーナ達の前に構えた扉は別だ。
複雑に彫り込まれた模様、隅々まで磨き上げられたかのような輝きを孕む金属の扉。その煌びやかさは一切褪せた様子がなく、当時の姿そのままを象っているような様である。
その先は明らかに特別な場所であると、そう感じさせるような雰囲気がそれにはあった。
「さて、無事辿り着いたね。あとは中に入って転移大結晶に触れるだけ。起動に僅かな時間は要するけど、一度正常に動き出せば起動した本人が手を離すまで同じ場所へ転移できるはずだ」
漸く気が抜けそうだと一息吐く一行。
ノアが両手で扉に触れると、そこから淡い光が現れる。それは扉全体を包み込んだと同時に訪問者を招き入れるようにゆっくりと開く。
先に広がるのはまたもや広い空間。
しかし物は殆どない。扉の特別感に見劣りしそうな程閑散とした、どこか物悲しい雰囲気の場所だ。
よく見れば多くの物が配置されていた痕跡があちこちに残っていることから、恐らく以前は多くの宝物が眠っていたのだろうことは予測がついた。
粗方の物は魔導師が回収してしまったようだ。
だが、五人の目を引くものが一つだけその空間には存在した。
しかし恐らくは、通常の迷宮探索に比べれば十分円滑に進んでいる方であると言えるはずだ。
勿論ノアの功績によるものが大きいが、それ以外にも魔物による危険要素がすべて排除されていることが迷宮全体の難易度が著しく下がっていることに繋がっていると予測できる。
本来迷宮には魔物が住まうものだが、どうやらその殆どは魔導師による調査の過程で駆逐されたようだった。
おかげでクリスティーナ達の身に降り掛かる危険はトラップ関連のみ。事前知識を持った上で警戒さえ怠らなければ十分回避することが出来る危険だ。
故に小さな問題(主にオリヴィエによるもの)はいくつもあったが、結果として事は順調に運んでいた。
「いやぁ、思いの外骨が折れたねぇ」
「こんだけ見張ってても罠引っかけて来るって最早才能だろ……」
「僕だって望んでこんな目に遭ってるわけじゃない……」
主に前列組がぐったりとした中、一行は開けた空間へと辿り着いた。
地上を連想させるようにわざわざ敷かれた土。それを踏みしめる音が五つ鳴る。
彼女達の目に留まったのは数十メートルという高さの天井、それに頭が掠めるかと思う程大きな兵士の石像が二体。
そして石像に挟まれた、これまた異様なまでに大きい扉だ。
今まで通り道で目にしてきたものは全て当時備えていた価値を仄めかしはしつつも重ねた年月相応の朽ち方をしていた。
しかし今クリスティーナ達の前に構えた扉は別だ。
複雑に彫り込まれた模様、隅々まで磨き上げられたかのような輝きを孕む金属の扉。その煌びやかさは一切褪せた様子がなく、当時の姿そのままを象っているような様である。
その先は明らかに特別な場所であると、そう感じさせるような雰囲気がそれにはあった。
「さて、無事辿り着いたね。あとは中に入って転移大結晶に触れるだけ。起動に僅かな時間は要するけど、一度正常に動き出せば起動した本人が手を離すまで同じ場所へ転移できるはずだ」
漸く気が抜けそうだと一息吐く一行。
ノアが両手で扉に触れると、そこから淡い光が現れる。それは扉全体を包み込んだと同時に訪問者を招き入れるようにゆっくりと開く。
先に広がるのはまたもや広い空間。
しかし物は殆どない。扉の特別感に見劣りしそうな程閑散とした、どこか物悲しい雰囲気の場所だ。
よく見れば多くの物が配置されていた痕跡があちこちに残っていることから、恐らく以前は多くの宝物が眠っていたのだろうことは予測がついた。
粗方の物は魔導師が回収してしまったようだ。
だが、五人の目を引くものが一つだけその空間には存在した。
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