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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』

23-3.規格外

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「ちょっと、急に何ですか……!」
「無遠慮にすまない。私はオーケアヌス魔法学院直属一級魔導師のアレットと言う。荷台の確認をさせていただいてもいいだろうか」
「学院の魔導師……!? って、いやいや待って。せめてオタクんとこの連れの殺気しまってから交渉に来てくれませんか? 流石にその状態ではい分かりましたって頷くのは無理がありますよ」

 エリアスと女性の会話に耳を傾けながらクリスティーナとリオは目線を交わらす。
 魔法学院に喧嘩を売った覚えは勿論ない。目を付けられるような覚えもない訳だが相手の様子を窺うところ、どうやら学院側にとってはそうでもないようだ。

「そうか、これは失礼した。しかしこちらも引けない状況でな……否と言われても強行せざる得ないんだ。やれ」
「クリスティーナ様、失礼します」

 敵意を感じ取ったリオがクリスティーナを抱き上げて荷台を飛び降りる。同時にエリアスの者ではない悲鳴が複数御者台の方から上がった。
 視界が開け、自身の置かれた状況が先よりも明確になる。

 馬車の前方で取り囲むように立つローブを身に纏った集団。エリアスは彼らに剣先を向けて既に戦闘を開始しているようで、襲撃を始めた集団の内三名が地面に倒れ伏していた。

「マシな魔力をしていると思ったらこっちも化け物か……! 本当にどうなっているんだ」
「――リオ! そっちに二人いる!!」

 先程エリアスと会話していた声が文句を零す。
 それを半ば遮るようにして発せられたエリアスの忠告にクリスティーナは自身へ迫る危機を悟る。

「……マジ? あの人こっち見てなかったじゃん」

 回り込んでいたのだろう。気が付けば二つの影がクリスティーナとリオを左右から挟み込んでいた。
 内一人――白いローブを身に付けた人物がエリアスの声に苦笑いをしながら杖を構え、臨戦態勢を取った。
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