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4.奴隷編
7.ご当地丸猫拾い
しおりを挟む「ところでジュゼちゃんってどんな人なの? おねーちゃんたちのペット?」
「ペットじゃないよ、現地妻だよ! とっても可愛くて緑色な、らぶらぶ系アルラウネっぽい女子だよ!」
「……うーん、よくわかんない。会ったことないからだと思うけど」
イリーちゃんが自信満々にジュゼちゃんの植林を宣言した次の日、いざ作戦開始というところでミスティちゃんがそんな疑問を投げかける。
まぁ、当然の疑問だと思う。だってミスティちゃんは流れのエルフ。もやしっ子なジュゼちゃんのことを知ってるわけない。
「じゃあ、ジュゼちゃんに会いに行こうよ! はやくはやく!」
でもきっと、出会ってしまえば2人は仲良くなってくれるだろう。そんな確信が私にはある。
だってジュゼちゃんは私のハーレムメンバーであり現地妻であり、ある意味ではチームケダモノに対抗するための戦友とすら呼べる仲なのだ。1人じゃダメでも2人ならいつか勝てる。「夜の戦いも数だよ大作戦mkⅡ」には欠かせない大切な味方。
そんなジュゼちゃんが私のハーレムメンバーを嫌いになるだろうか? ううん、きっと好きになってくれる。それにエルフって緑がイメージカラーな印象があるし、となれば基本緑色なジュゼちゃんとは相性が良いだろう。
だからこうして私がミスティちゃんの腕を引っ張りながら飛ぼうとしているのも、ミスティちゃんとジュゼちゃんのためなのだ。私がただジュゼちゃん分が足りなくて寂しいからだとか、みんなから毎晩のように「開発」されるのが大変で早く抵抗する戦力が欲しいからだとか、そういう下心も無きにしも非ずだけれど、2人が会うなら絶対早くが良いはずなのだ。
「すぐには無理ですね。だってあの子がいるのって、インフレとぼったくりと過剰サービスの街メーシュブリグの地下ですし。こう何度も行ったり来たりを繰り返していたら破産しちゃいます」
「……あー、うん。あそこ、ものすごい物が高いもんね」
しかしセレスちゃんが気まずそうにそう言って、ふと冷静になる。
一口にジュゼちゃんに会いに行くと言っても、今の私たちにはそう簡単な話ではない。なにせジュゼちゃんが住んでる場所は地下奥深く。私1人ならびゅーんって飛んでいけるけれど、みんなで行くとなると時間がかかっちゃう。
そして時間がかかるとなると、それに伴って色々とモノが必要になるとはイリーちゃんの弁。保存食の購入、装備の手入れ、移動距離、賊に魔物と色々あるが、その中でもメーシュブリグでの滞在費とブランクポーションの購入費は群を抜いて大きいらしい。実際、メーシュブリグの土産物屋さんの物はとっても高くて、一番安いものでも私のお小遣いが足りなかったくらいだ。
そしてそれらの問題を解決するにはお金が一番。しかし今の時点でメーシュブリグに足を運べるようなお金の余裕は、私たちの手元に存在しない。
さもありなん。そも金欠とはドラゴンを狩っていない全ての冒険者に付いて回る至上の悩み。恋愛はお金で解決するものではないけれども、スラムに出没する系ヒロインを落とすには最低限のお金が必要だということは「丸猫転生~まるまるでモフモフな俺は魔王よりも最強らしいけれど、スラムで幼女の毛布やってます~(グースビック・ギュール著)」に書かれていたから間違いない。つまりスラムよりも大変な場所にいるジュゼちゃんを植林するためにも、私たちは沢山のお金が必要だということなのだ。
「そこで昨日、もとよりジュゼさんの植林を考えていた私とイリーさんで、この街における金策手段について探っていました。冒険者ギルドだけでなく、商人ギルドや海運ギルド、騎獣兵組合といった金の動きそうなところに顔を出しに行った訳です。
そしたら海運ギルドと商人ギルドの連名で、短期ですが非常に美味しい仕事が出されていることが分かりました。それが土地固有の毛色を持った野生のランドキャットの捕獲依頼――いわゆるご当地丸猫拾いですね」
だったらお金を稼げば良い。そう言わんばかりの口調でセレスちゃんはそう言い、懐から商人ギルドの依頼票を取り出して机に置く。
そこには丸々しい毛玉の絵が描かれていて、『ランドキャット高価買い取り中!』と大きな文字で書かれている。その下に並んだ表は毛の模様とそれに対応した値段の一覧らしいけれど、1匹で大体3000クロムくらいとなかなかお高い値段がつけられていた。
ランドキャット。通称丸猫。暑い季節にはぐで猫と呼ばれることもあるそれは、まるまるでモフモフな野生の毛布である。
野生のランドキャットはのんびり屋さんで、毎日ひなたぼっこをしながら、同じくらいのんびり屋さんな小魚を捕まえては食べて生きている。もしくは狩りと称して休憩中の旅人に擦り寄ってきて、食べ物をねだって森の中で待つ仲間と分け与えたり、餌付けされてそのままお持ち帰りされたりするらしい。
そんなランドキャットは、いつでもどこでもペットとして大人気。モフモフの毛皮は暖かくて冬場の毛布になるし、暑い夏場には水遊びも兼ねて全身を水に浸してモップ代わりになってくれたりもする。たくさん拾い集めて身に纏えばタイクーンライガーごっこだってできちゃうし、秘密基地に住んでもらえばお掃除してくれるし、師匠に投げ付ければ顔にしがみ付いて足止めしてくれたりもする。
いたら嬉しい一家に一毛玉。それがランドキャットなのだ。
「丸猫拾いは私の大得意だよ! かつて修行をボイコットしたときにも、1000を越えるランドキャット大軍団で家を占拠していたんだから!」
「それは――頼りにして良いんでしょうか?」
「もちろんだよ! 覚悟しろセレスちゃん、今夜のお前は毛玉まみれ、略してけだまみれだ!」
そして何を隠そう私こそは、ランドキャットを集めさせれば天下一、半日あれば家の中が毛玉の海、その偉業を目にした師匠に「お前を猫魔道士に育てた記憶は無いんだが」とまで言わしめた超究極丸猫ハンター。そんな私がこの依頼に参加してしまうのだ。セレスちゃんが言うには競争相手も多いらしいけれど、これはもう私の独壇場と言わざるを得ない。
となればその圧倒的な戦果に街では謎の超究極丸猫ハンター現ると噂になり、その噂を聞いたお忍びのお姫様が私たちに依頼を持ってきて陰謀論的な何かに巻き込まれ、知られざる古代の遺跡で神秘的な祝福を受けたり、曰く付きのアイテムの所有者になったり、そしてなんやかんやがあってエンシェントドラゴンとかエルダーデーモンみたいなのを倒して影の英雄として有名になるとかそんな感じ。
私が今まで読んできた本も大抵そんな感じだったし間違いない。私たちのサクセスストーリーはここから始まるのだ。
「け、けだまみれ、ですか……?
まぁとにかく、今回の依頼は最低でも50匹以上のまとめ売りでないと直接は買い取ってもらえず、かつ活動範囲である外壁周辺の危険度が極めて低いこと、依頼期間が短く競争相手も多いことから、イリーさん、ミスティちゃんも参加してもらいます。
ゴブリンも出ないような場所での活動なので心配は特にありませんが、それでも想定外というものは起こりうるので、ミスティちゃんは街を出るまでの道すがら、緊急時の対応についてマリーさんから教えてもらってください」
「うん、丸猫拾いは昔から得意なの。がんばるの」
「ふっふっふー。ミスティちゃん、これは勝負といったところかな? まー超究極丸猫ハンターである私の圧勝に決まってるんだけれどね!」
「おねーちゃんに負けるってものすごい屈辱的なことだと思うの。勝負だったらがんばるの」
そうしてセレスちゃんから注意を受けたミスティちゃんも、拳を握りしめてやる気十分。その熱意ある瞳から、ミスティちゃんもまた一角の丸猫ハンターであることを察する。
ミスティちゃんがその身から発するその猫気(オーラ)は、得意というだけあって相当なモノ。この様子では私と丸猫狩りで競うにあたって、その最大の競争相手になるのはミスティちゃんに違いない。
――でも、ミスティちゃんに負ける訳にはいかない。
それもただ勝つだけじゃあ意味が無い。ミスティちゃんの得意分野で圧倒的な勝利をしてこそ、お姉ちゃんの偉大さが分かるというモノ。
1度は屈服してわんわんにされたりしたけれども、私はお姉ちゃん。姉よりすぐれた妹なんぞ存在しねぇ!! ってことを証明するために、私はミスティちゃんに圧倒的勝利をしなければならないのだ。
そのためには大人気ないと言われようと、あらゆる手段を用いて、徹底的に全力で丸猫狩りを完遂するべきだろう。そして私の実力に感動したミスティちゃんは、自然と私の魅力に引きつけられてちゃんとお姉ちゃん扱いしてくれるはず。
丸猫拾いにおける必勝の切り札を、この街の近場にランドキャットが居るという噂を聞いた時点でローブの裾に仕込んでいるという抜け目の無さ。そこらの超究極最強魔道士ならばいざ知らず、真の超究極最強魔道士は戦う前から勝利を手にしているのだ。
「そこまでミーシャが言うなら、ちょっと競争してみましょうか。みんなでランドキャットを集めた数を数えて、ミーシャが1位だったら借金を帳消しに、それ以外だったら1位の人がミーシャを一晩言いなりにできる、っていうのはどうでしょう?」
「ホント?! へっへーん、後でやっぱ無しって言ってもダメだからね!」
しかもなんと、この戦いに勝てば私は借金を全部返したことにして良いらしい。
なんという僥倖、なんという嫁の愛。これで勝たなきゃ嘘ってもんでしょ。
「うっわぁ、甘々ね。それミーシャちゃん以外が勝ったらいつも通りじゃない。ハードル低すぎよ」
「そのハードルを易々と潜り抜けていくのがミーシャですから問題無いですよ。
ではやる気も十分ということで、もうすぐにでも出発しましょうか。東門から歩いてすぐにある近場の森で活動するので、特別な準備は必要ないですしね」
「おーぅ! やるぞー!」
―――――――――――――――――――――――
そうしてセレスちゃんの先導の下、街の門をくぐって数分で私たちが辿り着いたチカバの森は、アレンテッツェ外壁の近場にある小さな防風林が森サイズになるまで拡大してできた森だ。
魔物はほとんど近づかず、ゴブリンが一匹出ただけでも話題になるような、アレンテッツェ生まれのやんちゃ盛りの子供たちが初めて探検する場所と言えばここ! と言われているのどかな森だ。統計では街の子供が建設した秘密基地の実に9割がこの森の中にあるらしい。
地元民が近場の森としか言わないから、いつの間にかそれが正式名称になっていたという曰く付きの森でもある。そんな森の入り口からほど近い場所にある木の根元に、セレスちゃんは印をつけて荷物とランドキャットを街まで運ぶための大きな籠を下ろす。
セレスちゃんはどうやら、ここを中心に丸猫拾いをするらしい。でも――
「ねぇねぇセレスちゃん、ここあんまりランドキャットの気配がしないよ? ランドキャットがひなたぼっこするには薄暗いし、それに風もあるから冷え込むし」
「うん。あんまりランドキャットがお昼寝する場所じゃなさそうなの。いるとしても、ちょっとワイルドぶりたいお年頃の子だけだと思うの」
ランドキャットはそよ風の吹く草原や、森の中なら日の差し込む開けた場所、冬場にはかまくらの中などなど、とにかく暖かくてのんびりできる場所が大好きだ。しかし今、私たちが居る場所は木々の隙間から抑えきれていない潮風が流れ込む、ちょっぴり肌寒い森の中。
そう、セレスちゃんが選んだ場所はあんまりランドキャットが好みそうな場所ではなかったのだ。ちょっとヤンキーでダンディな子だったら風と荒波を求めてやってくるかもだけれども、そういう子はランドキャットの中でも変わり種でそう多くいるものでもない。
「でもここなら人が少ないので同業者とのトラブルも起きなさそうですし、万が一場違いな魔物が出てくるにしても街道が近いのですぐに離脱できます。
なんだかんだ言っても所詮私たちはFランクで、この街にあっては新参者。安全が第一です。なにせミーシャは言うに及ばず、私もかつてのデザイアパイソンへの対応から考えて、緊急時対応はそう褒められたものではないですから」
「いやでも……あれ? なんか今さりげなく見下されたような」
「大丈夫です。私はミーシャのそういうところも好きですから」
「す、好きって……ぁぅ……」
でもこの場を動こうという私の意見は、理屈と愛の囁きのコンビネーションパンチで押し潰されてしまった。まさかの不意打ちに心臓はバクバクだ。
そんな私を見たミスティちゃんは「やっぱりおねーちゃん、かわいいの」と一言。やめて。追撃の褒め殺しはやめて。マリーちゃんも撫でないで。もう少しスローペースで畳みかけてくれないとトキメキがパンクしてしまう。
「とにかく収入に対するリスク――特に狩場で同業者と出会って発生する対人関係でのリスクが起こりうることを考えれば、これ以上良さそうな場所を中心に活動することは難しいでしょう。
ここに荷物番としてイリーさん、護衛兼近場の探索としてマリーさんを配置。残った私、ミーシャ、ミスティちゃんの3人で広めの範囲を探索します。何か異論はありますか?」
「特に無いわね。お目付役の配分も問題無さそうだし」
そうしてイリーちゃんが頷くと共にマリーちゃんが駆け足で荷物置き場の周りを探し始め、それを脇目に私たちはまた少し森の奥へと踏み入っていく。と言っても大声を出せば声が届くような距離であり、これくらいじゃあ良い狩り場には手が届かない。
それでもランドキャットを集めるとなれば、なるほどこれは一手間必要だ。そう考え、頭を捻る。
ランドキャットの集め方は、大きく分けて3種類ある。
1つめは、手掴み。これは文字通り見つけた端から首根っこ掴んで、籠に入れるなりローブにしがみ付かせるなりして捕獲するものだ。
これは本人の実力がダイレクトに反映される集め方で、ランドキャットの集まりやすい場所やちょっとしたコツを理解していないと無駄に山や森を歩き回るだけになっちゃうことも多い。
見たところセレスちゃんとマリーちゃんはこのやり方で集めようとしているみたいだけれども、私たちが今居る狩場はそこまで猫度の高くないスポット。別にランドキャットが1匹も見つからないってわけでもなさそうだけれども、一攫千金を狙うには物足りない場所だ。けれども安全志向のセレスちゃんはこの仕事をせいぜいゴブリン狩りよりも安全で割の良い仕事程度に思っているらしく、安全志向であんまりこの場を動こうとしない。この方法でトップを狙うのは難しいだろう。
2つめは、罠。これもまた文字通り、ランドキャットの集まりやすい場所に罠を仕掛けて一網打尽に捕まえてしまうものだ。
私が山に居た頃によく仕掛けていた罠は温めた土鍋を川沿いや木のうろといった冷えた場所に置いておくというもので、そうすると体の冷えたランドキャットが暖を取ろうと土鍋に集まって、しばらく待つと鍋の中で1~5匹くらいのランドキャットがお昼寝しているからそれを鍋ごと秘密基地へ持ち帰るというものだ。いわゆる丸猫鍋である。
こちらは実力にあまり関係なくある程度のランドキャットを捕獲できるけれども、時間はかかるし一度に鍋に入っている数もそんなに多くないし、そもそも今の私はランドキャット用の土鍋を持っていない。無念。
「土鍋も無い、狩場も微妙……でも私にはこれがある!」
そこで登場するのが超究極最強魔導士特製ぬくぬくもふもふ抱き枕。
修業時代にランドキャットを毛づくろいしていた時に出てきた毛玉を1,000匹分集め、洗って干して布で包んで大きなランドキャットの形にしたものだ。お手製ランドキャットぬいぐるみ(大)ともいう。
そんなランドキャットに大人気な抱き枕と釣り竿を紐を結んで、そこら辺の日当たりの良い目立つ場所に置いておく。森の中なら切り株の上、川沿いなら岩の上とかが狙い目だ。
するとひなたぼっこをする場所を探して歩いているランドキャットが抱き枕を見て、良いものを見つけたと言わんばかりにギュって抱き付いてくる。おねむな子だったら、そのまま抱き枕の上で寝ちゃうことだってある。
その一瞬の隙を狙って力強く釣り竿を振り上げる! するとランドキャットは抱き枕にくっついたまま私の手元までやってきて、そうやって手の届く場所までランドキャットを誘導したら、後は抱き上げて膝の上に乗せるなりモフるなり撫でるなり、もう好き放題出来てしまう。
手掴みよりも広い範囲を、罠よりも早く集められる。これぞ最後の選択肢にして私が最も得意とする手法、ミーシャ流丸猫一本釣りの極意である。
「ん、おねーちゃんは釣りするの? 釣りはむずかしいの」
「慣れてるから大丈夫だよ。……ほら、もう1匹釣っちゃった!」
――にゃ~
そんな我が釣りテクの犠牲者となったランドキャットは即座に捕獲。極まった撫でテクで顎を一撫でしてから三角帽子の鍔の上に乗せておく。
この間、ぬいぐるみを設置してからわずか5分。私にしてはまずまずといったところだけれども、他のみんなからすればまさしく一瞬の早業。
この速度、この手際。狙うポイントだってこの辺りにしては最高。これが超究極丸猫ハンターの狩りというものだ。捕まえたランドキャットもちゃんと三角帽子のとんがり部分にもたれかかってのんびりしているし、あと10匹くらいなら帽子の上に乗っけることができそうだ。
10匹より先は、私の圧倒的実力を前にして唖然としているセレスちゃんの服に引っ付けちゃえ。けだまみれにしてやる。
「おねーちゃんすごいの。丸猫釣りはたくさん練習しないと1匹も釣れないの」
「ふっふーん。プロですから」
ミスティちゃんは見る目があるね。そう思いながら2匹目、3匹目と連続で釣り上げ、帽子の上に乗せる。
初めての場所にしてはそこそこ良いペースだ。ではさてさて、ライバルのミスティちゃんはというと……
「やっとつかまえたの。しんみょうにお縄につくの」
――にゃ~
あ、今やっと1匹目を捕まえたところか。手掴みにしてはかなり早く、手際も良いけれども、それでも一本釣りと比べるとランドキャットを探さなきゃいけない分の遅さが目立つ。
……そっか、ミスティちゃんは自分の道具を持っていないから、手掴みでやるしかないんだ。遅くても、もっと効率の良い方法を知っていても、ミスティちゃんは身一つでこの場に居るんだから。
そう考えると、私が釣りでたくさん捕まえるのって卑怯なのかな。ううん、でも勝負で全力を出さない方がミスティちゃんに失礼だ。それに勝負である以前にこれはお仕事。
たくさんランドキャットを捕まえて、たくさんお金を稼がないと。そうと決まれば全力全開。もう勝利は決まったようなものだけれども、それでも手を抜いたら格好悪いもん。ああでも、少し肩の力を抜くくらいは良いかも。
ミスティちゃんも捕まえたランドキャットとにゃーにゃー語り合っているし、お花の冠を作ってあげているし、もう勝負って感じでも無さそう。決着を察したのかな。
「ああ、これが最強すぎるが故のアンニュイ感なんだね……よし、また1匹げっとげっと」
「本当に手際が良いですね。いやまぁ、こういうのほほんとした依頼はミーシャにピッタリだとは思っていたのですけれども」
セレスちゃんは私の入れ食いっぷりを見て安心したのか、私と肩を並べて釣り姿を見ている。私1人でもノルマの50匹は越えると踏んだのであろう、ミスティちゃんから目を離さないようにしながらも、セレスちゃん自身は丸猫集めに動こうとしない。
セレスちゃんもランドキャットを捕まえてモフモフしたいって思わないのかな? そう思って聞いてみれば、セレスちゃんは「このペースなら無理をする必要も無いでしょうし、たまにはミーシャの格好良い所も見たいです」と一言。
たまにってどういうことなのとは思ったけれど、格好良いところを見たいって言われたらそりゃもう見せるっきゃない。どんどんランドキャットを釣り上げて、セレスちゃんにひっつけて、けだまみれにしてやるんだ!
「――あれ、なんか妙な感じがする」
そうしてまた1匹、また1匹と釣り上げてはセレスちゃんにひっつけていくうちに、ふと違和感に気が付く。
なんだか、ランドキャットが釣れるまでの間隔が長くなってきたのだ。それだけならこの辺りのランドキャットを釣り尽くしちゃったのかと納得するところだけれども、ここら一帯から感じる猫気は時と共に増している。
場所は変わらずひなたぼっこに適さないけれど、これだけの猫気に包まれた場所なら大漁間違い無しのはず。なのに私が釣り上げるランドキャットの数は、時を追う毎に少なくなっているのだ。
こんなこと初めてだ。けれどもこういう問題も柔軟かつ知的な推理によって解決してしまうのが超究極丸猫ハンター。ランドキャットの特徴を考えれば、いくらでも原因は予想できる。
ランドキャットはお昼寝が大好きだから、この辺りに丁度良いスポットを見つけた後に抱き枕に気付かないくらい熟睡しているのかもしれない。あるいは、集まったランドキャットたちがみんなワイルド系で、抱き枕よりも荒波を求めている子だったりするのかも。
他には――そう、私といい超究極丸猫ハンターが居る以上あり得ないことなのだけれども、例えばランドキャットを私以外の誰かが根こそぎ捕まえていて、それが私のいる場所とすっごく近いせいで私の抱き枕が見向きもされていなかったり。
いやまあそんなのある訳無いけど。もしそうだとしたら、私よりも猫力(ねこぢから)の高い子がすぐそばに居るって事になっちゃう。超究極丸猫ハンターである私を越える丸猫ハンターなんて居る訳無いし、きっと別の理由なんだろう――
「……………………ミ、ミスティちゃん? ここ、これは一体……?!」
「ん、大漁なの」
――そう思っていた。ミスティちゃんが、毛玉の海の真ん中でちょこんと座っているのを目にするまでは。
ミスティちゃんの足下でゴロゴロしているランドキャットは私が釣り上げてきたそれよりも遙かに多く、それどころかミスティちゃんを先頭に長々とランドキャットが列を成しているのだ。
「……うそ、猫行列……?! 私以外に作れる人が居るなんて……! どうして?! どうやって?!」
そう、それはトップクラスの丸猫ハンターのみが作るとされている猫行列である。
勝利を確信してからの、まさかの追い込みに驚愕する私を前に、ミスティちゃんは得意気な表情を浮かべてこちらを見やる。
「最初に捕まえたランドキャットにこう言ったの。「花飾りを作って待っているから、お友達を呼んできて」って。
そして連れてきたお友達にも同じ事を言うの。友達の友達にも同じ事を言うの。そうすれば、自分で探さなくてもたくさんのランドキャットが集まってきてくれるの」
「ああ、そういえば「6次の隔たり」なんて言葉をエミルさんから聞いたことがありますね。なんでも知り合いの知り合いの――と言った風に伝手を辿っていくと、6回くらいで世界中全ての人と繋がることができるのだとか。
どうやったのかは分かりませんが、ミスティちゃんはそれをランドキャットに対してやった訳ですね。もしかすると今、森中のランドキャットがここに集まっているんじゃないでしょうか?」
そして微妙に状況を理解し切れていないような、しかし微妙に呆れてもいるような表情を浮かべたセレスちゃんが現状の補足をしてくれる。
しかしその補足はあまりにも無慈悲な内容だった。何故ならセレスちゃんの言うことが本当なら、私が釣り上げているのはあくまでミスティちゃんのおこぼれであり、本流と呼ぶべき猫行列は今まさにミスティちゃんに牛耳られているのだから。
その衝撃にしばし、思考が止まる。「ミスティちゃんも非常識サイドの子だったんですね……」というセレスちゃんの呟きも耳に入らないくらいだ。
「ふっ……おねーちゃん、勝負あったの」
「え、あ……ま、まだ負けてないよ! まだまだこれから、私の一本釣りは輝きだすんだもん!」
そうして私は今までよりも必死に――例えば抱き枕の上におやつの干し魚を置いてみたり、抱き枕を魔法で暖めてみたり、今日捕まえたランドキャットの毛玉を纏わせてみたり――とにかく頑張って釣りを続けた。
しかし私の釣りペースが伸びることは無く、逆にミスティちゃんの手元に並ぶランドキャットの数は時と共に増えていく。そして流れ作業のごとくそのランドキャットに花の冠を乗せてセレスちゃんの服にひっつけさせていった結果、セレスちゃんがついに毛玉の山に埋もれてしまった。私の毛玉じゃなく、ミスティちゃんの毛玉で。
「嘘、そんな……私が丸猫集めで……負ける……? ……いやだ、私は……負けたくないぃー!」
負けたくない。
お姉ちゃんだから負けたくない。超究極最強魔道士だから負けたくない。ご主人様だから負けたくない。わんわんにされちゃうから負けたくない。次はお外でお散歩だって言われたから負けたくない。
そういった思いを全部込めて、私は吠える。そして私はついに、今まで使わなかった禁断の切り札を懐から取り出した。
私が懐から取り出したそれはカッパーマタタビの葉っぱ。ランドキャットにとってのお酒みたいなもので、この匂いを嗅ぐとランドキャットは気分良く酔っ払っちゃうのだ。それを抱き枕の内側に仕込み、ランドキャットの大好きな匂いがバラ撒かれるようにする。
かつて私が山でこれを使ったときは身動きが取れないほどのランドキャット軍団に秘密基地が埋め尽くされ、恥を忍んで師匠に泣きついたことすらある危険なアイテムだ。この辺りは故郷の山ほどランドキャットは多くなさそうだけれども、それでも大変なことになってしまうかもしれない。
でも負けるよりはずっと良い。ミスティちゃんが勝っちゃったら、もう一生みんなのわんわんから抜け出せない。
そんなのハーレム的に許されない。だったらここで、最後の勝負をするしかない。
――そんな願いが天に届いたのか、私の手に持つ釣り竿が今までに無いくらい大きくしなる。
故郷でも感じたことの無い強い引きだ。これなら逆転の一手たり得る。そう信じて釣り竿を引っ張る腕に力を込める。
「来た! 大物だ! この大物でもって私はミスティちゃんに勝ぁつ!」
「……え、いやちょっと待ってくださいミーシャ?! その釣り竿のしなりからして、その先に居るのって絶対にランドキャットじゃないですよね?! 明らかな異常事態です、すぐに釣り竿を離して!」
「いくらセレスちゃんの言葉でも、一発逆転のチャンスは逃せない! 来たれ最強の毛玉! そして私に勝利を!」
「だから待ってくださいミーシャ! 勝負は無しにしても良いですからもう――」
「うおぉー! これが一本釣りの極意だぁーーっ!」
そうして釣り竿が大きくしなり、ざっぱーんと草むらの中から出てきたモノは――
―――――――――――――――――――――――――
「ふぅ……ま、久々ですしこんなものですか」
手元の籠に入ったランドキャットを見やり、一息つく。久しぶりに丸猫拾いをした割には、そこそこの数を拾えたはずです。
本音を言えば私もミーシャやミスティちゃんと肩を並べて丸猫拾いをしたかったのですが――まぁ技量の差というものはそうそう埋められませんし、張り合える相手が並んでいた方が楽しいでしょう。私はこうして、黙々と1人で丸猫を拾っているのが性に合います。
「――?! 今の音は――」
そうしてクールダウンにお嬢様の隣で佇んでいると、不意にセレスさんの居る方向から短く1回、甲高い笛の音が聞こえました。
それはパーティーメンバー全員で決めた合図の1つで、意味するところは緊急事態の発生。また続く連絡が無い場合、発信者は即時の対応にかかっているため、状況を把握できていない面々は各自で判断し行動することとなっています。
要するに、何かが起こったけれども詳しく説明している暇が無いということ。それ故に困惑もするのだが、場所が平和な森であるが故にある程度事態の予想は付きます。
場所にそぐわない強力な魔物の出現か、融通の利かない同業者や賊の類と抗戦しているか。少なくとも遭遇戦に近い状況が発生しているのでしょう。セレスさんが笛だけ鳴らしてそのままということはつまり、そういうこと。
「マリー、この距離なら私は戦闘でも巻き込まれないわ。気にせず行きなさい」
「はい!」
そして非戦闘員とは言えお嬢様がそのことを理解していないはずも無く、間を置かず出された指示に従ってセレスさんの元に駆け出す。
木々に阻まれて姿が見える訳ではないが、声も届くくらいの近い距離。剣戟の音や魔物の咆吼が聞こえないからには、まだ戦闘行為は起こっていないのでしょうが――いや、妙な話し声が聞こえてくる。
『こんな大物を釣り上げたんだから、この勝負はもう私の勝ちで良いでしょ?! ね? ね?!』
『ミーシャ、危ないのでゆっくりと離れてください。お仕置きは後です』
『にゃ、にゃんで……だってあの子はちょっと大きいだけの――』
『口答えは後で。ゆっくり、ゆっくり距離を取るんです。ミスティちゃんもパニックにならないように』
――なるほど、またミーシャが何かやらかしたのですか。会話から察するに、相当なモノを引っ張り込んできたようです。
恐らく相手は場違いに高位な魔物。そしてその魔物は好戦的ではなく、それ故に穏便に事を済ませようとしているといったところでしょうか。そんな予想を立てながら、場の均衡を崩さないよう気配を消しながら、セレスさん達の居る場所にそっと近付きます。
そして――予想通りでありながら、しかし明らかに予想を超えた光景に目を疑いました。
「あれは――タイクーンライガー?! なんでこんな大物が――いや待ってください、どういう状況ですかこれ」
白黒の縞模様を持った、人と大差無い大きさのライガー種の魔物。「地上の帝王」とも「破滅の聖獣」とも呼ばれる、Sランクの中でも最上位に位置する存在。
その圧倒的な魔力と膂力は魔物よりも天災と呼ぶべきもので、かつてその怒りに触れたとある国家が土地ごと消滅したという記録すら残っている、まさしくこの世界における強さの頂天。
それがタイクーンライガー。本物の最強。私たちのような駆け出し――と呼べる実力なのかはさておき、防衛に責任を持たない冒険者であれば視界に入れると同時に背を向けて逃げるべき相手でしょう。
故に、今こうしてセレスさんが槍を向けてゆっくりと後ずさっているのは、あまりに呑気な対応だと言わざるを得ません。そんな暇があればミーシャやミスティちゃんを抱えて、タイクーンライガーが襲ってこないことを祈りながら逃げ出す方が賢明です。
――そのタイクーンライガーが眠たげに腹を見せて、気持ちよさそうにゴロニャンと唸ってさえいなければ。多分、走って逃げ出すのが最適だと思うのですが。
「だから、あの子はタイクーンライガーじゃなくて成長期のランドキャットだって! 本当だって、故郷の山にもちょくちょく居たんだよ!」
「おじさんの守護獣だったタイクーンライガーはもっと大きかったの。これくらいの子なら聖域近くでもたまに見かけたの」
「……いえ、今はとにかく逃げましょう。アレがランドキャットなのかどうかは、安全が確保された後にでも話し合えば良いのです」
そしてこのぐでぐでしいタイクーンライガーをランドキャットだと言い張る問題児2人。
まさかミスティちゃんまで問題児サイドの子だとは思いませんでしたが、そんな2人を真剣さと気迫だけで言う事を聞かせるセレスさんは実に出来た飼い主だと思います。
「……そんなにこわいかなぁ? ゴロニャンしてかわいいのに」
「私には恐ろしいものに見えます。正直に言えば、早くどこかに行って欲しいですね」
「そうなの……じゃあ、ちょっとまっててなの」
「えっ……あ、ミスティちゃん待ってください! 何をする気ですか?!」
前言撤回。セレスさんはどうやらこの2人を完全には御し切れていなかったようで、タイクーンライガーを挟んで反対側に居るミスティちゃんが不用心に近付くことを止めることが出来ていません。
セレスさんに止められないのならば当然と言わんばかりに、私が声をかけても止まることはありません。
おそらくは危機感の違いでしょう。セレスさんはゴロニャンするタイクーンライガーに近寄るミスティちゃんを見て青ざめていますが、当のミスティちゃんや元凶と思しきミーシャはさも当然のように和んでいます。
戦々恐々とする私とセレスさん、平和そうなミーシャとミスティちゃんで綺麗に別れたこの状況で、一体何が始まるのかと思えば――なんとミスティちゃんがタイクーンライガーの腹をワシワシと撫で回し始めたのです。
「にゃー、にゃにゃー」
――にゃ~
「にゃにゃ、にゃーにゃー?」
――にゃにゃ~
「えっちょっと待って帰らないで帰らせないで! この子が居ないと私負けちゃうから! この子の存在自体が最後のチャンスなんだから!」
「おねーちゃん、静かにするの。……にゃにゃにゃー、にゃー。にゃにゃーにゃーにゃにゃー」
――にゃにゃ、にゃ~ん
「待って、お願い、まってよぉー! マタタビまだたくさんあるから! 顎の下とか撫でてあげるから!」
「おねーちゃん、ランドキャット語でもないのにそんな叫んでも意味ないの」
「そ、そうだった! にゃー! にゃにゃにゃにゃ、にゃーにゃにゃー!」
――にゃんにゃ~ん
そして全身を撫でくり回しながらにゃーにゃーと会話を始める1人と1匹に、会話から置いていかれているらしい1人に、全く理解できていない私と1人。
随分と訳の分からない状況ですが、どうやら会話している1人と1匹の間では話が纏まったらしく、タイクーンライガーはミスティちゃんの顔を軽く舐めると、寝返りを打つようにゴロゴロ転がって森の中へと消えていきました。
……解決した、ということで良いのでしょうか? 元凶が地面に手をついて動かなくなっている辺り、これ以上何かが起こるようなことは無いと思うのですが……ただどうにせよ、これ以上ランドキャットを集めるようなことは無いでしょう。時間としても事態としても、丁度良い区切りです。
「そ、そんにゃ……これで、おしまいにゃの……? まだ私、28匹しか……最後の子が居れば10匹分くらい余裕でカバーできたのに……」
「41匹なの。完全勝利なの」
「ぐぬぬ……」
悔しそうに呻くミーシャと自慢げに胸を張るミスティちゃん。その捕獲数を競う姿は、昔の私を見ているようでちょっぴり微笑ましいです。
ですが、その後ろでセレスさんが静かに怒っていることには気付いていないようです。
仮にもタイクーンライガーと思われる魔物に対して、あまりに危機感無く対応していた事が理由でしょう。ミスティちゃんの行動にも見るからに心配していましたし、恐らく今夜は2人ともお仕置きだと思われます。ミーシャは気絶するまで犯され、ミスティちゃんは先日遠慮された前の初めてを、といったところでしょうか。
まあ、今くらいは良いんじゃないでしょうか。丸猫拾いはなんだかんだ言っても楽しいですし、後で割を食うのが分かりきっているなら興奮に水を差すのも野暮というもの。問題がよく分からないうちに解決したこともあって、今の私は少々童心に帰っているようです。
「まさか第1回丸猫集め大決戦勝者の座をミスティちゃんに奪われるとは……ええい! 乙女に二言は無い! でも勘違いしないでよね。身体は屈しても、心までは屈したり――」
「あ、勝負のことなら79匹集めた私が1位ですね。まぁ今夜は2人ともお仕置きで忙しいと思うので、明日辺りに言うことを聞いてもらおうと思いますが」
「しないん――え?」
マリスリース・ノーテル。スラム生まれの孤児。
風雪を遮るものの無い路地裏で寒い冬を越すために、血眼になってランドキャットを集める幼少期を送った少女。
いわゆる、プロである。
ランドキャット
通称丸猫。綿毛猫、毛玉猫、野生の毛布など、多彩な呼び方がある。冬を越すために捕まえた分は春にリリースするのがマナー。
お腹をわさわさすると喜ぶらしい(ミーシャ談)。
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