野良魔道士は百合ハーレムの夢を見る

むぅ

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2.お嬢様&メイド編

4.3人寄っても知恵者1人

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「敵を知らなければ、己を知ることに意味は無い。という訳で敵の戦力分析を始めましょうか」
「おーぅ! ばりばりこーい!」
「……はい、お嬢様」

一夜明けて曇り空の下。少し肌寒い風が吹く草原に腰を下ろすお嬢様は、正面に座る私とミーシャに優しく語り出す。

昨日はミーシャに対する心苦しさと、お嬢様が無事だったことに対する安堵が相まって早いうちから意識を手放してしまった。自分が感じていた以上に、私の精神はこの事態を受け止め切れていなかったらしい。

お嬢様が早くに戻ってくるよう促していたのは、つまりはそういうことだったのだろう。主に気を遣わせるなど、従者として不覚の極みだ。今一度、弛んだ気を引き締め直さなければ。

「言うまでもないことだけれども、ロッシーニュは単独犯じゃない。手勢は屋敷を占拠できるほど居るし、それを雇うためのパトロンだって居るはず。まず考えるべきは、今ロッシーニュにはどの勢力がバックに付いているかよ。……マリー、どの組織がそうか分かる?」
「……申し訳ありません。心当たりが多すぎて全然分かりません」

しかし引き締め直したところで話に見当が付いている訳でもなく。空回りした気分になって少し肩を落とす。

正直なところ、身体の弱いジューディス家の親子に代わって政務の多くを任せられていたロッシーニュに与する者など、いくらいてもおかしくはない。

というよりも実際、ロッシーニュに取り入ろうと賄賂を渡す商会の者は多々見受けられた。総じて小物ばかりだったが、そういった連中を山ほど引き込んで事を為そうというのも十分納得できるし、クランテットの影の支配者層の誰かが勢力拡大を狙ったと言われても頷ける。

要するにクランテットという街は、斬った張ったの出来事が起こる火種には事欠かない街なのだ。その中のどれが、と言われてもこれだというのは難しいだろう。

「ああ、クランテット内の権力争いだと考えるとドツボに嵌るわよ。――じゃあ、こう言い換えてみましょうか。「魔王の復活に手を貸しそうな組織は何?」ってね」
「分かった、魔王教団だ! 「アイテムチートで魔王を倒すまで~ただしレベル1とか聞いていないんですけど?!~(グースビック・ギュール著)」の中に出ていた魔王復活を目論む悪の教団!」

続くお嬢様のヒントに悩む私を尻目に、したり顔のミーシャは朝一番の妄言を吐く。

それを聞いてもう一段肩を落とした私の気持ちにもなって欲しい。こんな様で15歳――私よりも1つ年上だというのだから世の中は広い。広すぎる。

「いい年なんですし、いい加減現実に則した思考をしましょうミーシャ様。そんな100年前の変人の空想の産物が正解であってたまるもので――」
「――頭の痛くなるような知識からの答えなのに、概ね合っていると言わざるを得ないのが悔しいわね、本当に……」
「お嬢様ぁ?!」

ミーシャの妄言を耳にしたお嬢様が頭の痛みをこらえるように眉間を揉んでいることは想定の範囲内だが、しかしその口から放たれた言葉は予想外の物だった。

「そう、正式には従魔聖典主義者ね。魂と魔力の祖である魔王ディアトグリエこそ人間の信奉するべき唯一にして絶対の存在であるとして、その復活を目論む連中。
まあ、魔王信仰の教団と言えなくも無いわね。ええ、大正解よ……」

がっくりとうなだれるお嬢様の敗北宣言を耳にしたミーシャは予想通り図に乗る。

腕を組み口角を吊り上げ、自信満々の表情で「何もかも予想通りだね。超究極最強魔導士はココが違うんだよ」などと頭を小突きながら言うミーシャをひっぱたいてやりたい衝動に駆られたのはきっと私だけではないはずだ。お前の頭は違うというよりも、変なのだと声を大にして言いたい。

「――とにかくロッシーニュが魔王の封印を解こうとしているとしか思えない現状、腹の探り合いはともかくこの組織がバックに付いていることは確実。
ついでに言えば宗教的に弾圧されている分話の通じない狂信者じみた奴が多いから、搾取する以外の目的でクランテットの諸組織が近付くとも考えにくい。
つまり私たちが正面から敵対しているのは従魔聖典主義者のみで、他はいつも通り、背中を見せれば刺される程度の関係だと考えて大丈夫なのよ」
「そう、なのでしょうか……?」

咳払いと共に気を取り直したかと思えば、そう断言するお嬢様。しかしその言葉に私は素直に納得できずにいた。

お嬢様の言葉には、確かに一理ある。下手人の主目的が魔王の左腕の解放であるのならば、その手段を間違いなく知っているお館様の確保こそが第一目標。

相手が従魔聖典主義者であるならば、クランテットに本拠を持たないが故に少数精鋭でそれを為さねばならないのだろう。それ故に優先度の下がるお嬢様に対して質の低い手勢しか送り込めなかった、というのであれば先日の追っ手の弱さにも納得がいく。屋敷の中に引きこもる様に、我が身を隠そうとしていることもまた。

だがそこらの迷宮よりも魔境じみているこのクランテットという街で、そのようなことが本当に可能なのだろうか? あらゆる思惑が交錯するこの街で、追っ手にどこの馬の骨とも知れないごろつきを使うような迂闊な連中が、単独でここまで完璧に事を成し遂げられるのだろうか?

その難しさを理解できないお嬢様ではないだろう。では何故、そこまで断言できるのだろうか……

「……素直には信じることができない、って顔をしているわね、マリー。
まあ、それも当然かもね。なにせ、今私が話しているのは現状の戦力で対処可能な中での最悪。実際にこうなっている確率は、まあ、あまり言いたくない程度の物よ」
「え、それはつまり……」
「もしこれより敵が多ければ、そうね。奇跡を願うか、私と一緒に死んで頂戴。
お家柄、足掻かないっていう選択肢は私には無いから」

あ、でもそうなったらミーシャちゃんは逃げてね? と最後に付け足したのは真心か、それともこの人が良く、それ以上に頭の悪そうな少女を最後まで修羅場に付き合わせるための甘言か。

――どちらでもあるのだろう。その言葉により一層のやる気を出したミーシャを見てほんの一瞬だけ悲しい表情になったお嬢様は、しかしすぐに柔和な笑顔を作って何事もなかったかのように話を続ける。

クランテットの有力者の家に生まれた者の性とでもいうのだろうか。お嬢様は何かにつけて言葉に裏を持たせ、真っ直ぐに気持ちを言うことができない。それがお嬢様が生来持ち得ないはずの歪みだと気付いたのはつい最近の話だ。

そうでもしなければ生き残れない世界とは言え、せめて私だけでもお嬢様の真意を汲み取りたいものだ。できれば私だけでなくミーシャのような子にもそうであってほしいのだが……いや、ミーシャには一生無理だろう。彼女には猜疑心が不足しすぎている。

「ただ何も希望的観測だけでそう言っている訳でもないのよね。少なくともダンウェル一派は傍観するということはほぼ確定しているから、深入りすればするだけ面倒が増える以上、それに追従する組織は多いでしょう。
ダンウェル本人が出てきておきながら、何もせずに貴女たちを帰したということはそういうこと。彼なりの情報提供ね」

そう言ってお嬢様は一度話を切る。どうやら会話に疲れたらしい。

元々は体調を崩して臥せっていた身。これ以上の無理は体を壊しかねないのだろう。見れば2日前の無理が尾を引いているのか顔色はあまりよくなく、表情にこそ出さないものの体を起こしているだけでも辛そうだ。

そんなお嬢様を抱きかかえ、近くの木に寄り掛からせれば少し楽そうな表情になって私の頭を撫でてくれる。気付くのは遅れたが、どうやら私の行動は意に沿うものだったらしい。

ミーシャが羨ましそうにこちらを見ているが、それは気にしないことにする。未熟者とは言え、役得くらいはあるのだ。




「さて、これで敵は従魔聖典主義者だということが分かりました。じゃあ次はその思惑がどこまで進んでいるかだけれども――ミーシャちゃんはランヴィルドから来たのよね?
なら聞きたいんだけれども、ここに来るまでの間にデザイアパイソンを見なかった? 森の中じゃない、道の近くとかで」
「あ、うん。デザイアパイソンってあの赤いヘビでしょ? 見た見た。3日前くらいに林で」
「3日前ねえ。出遅れた感はあるけれども、遅すぎることも無いか」

しばらくの休憩を挟み、お嬢様の言葉を頭の中で反芻してその意を飲み込めた頃。お嬢様がミーシャに問いを投げかける。

デザイアパイソンはランヴィルドに近い赤蛇の森に生息する固有種で、縄張り意識の高さから森の外には出てこないことで有名な魔物だ。

それを森の外で見かけたかと問われれば、普通に考えれば見ていないと答えるだろう。それを林で見たというミーシャにもそうだが、その答えを予期していたと思しきお嬢様にも驚きを隠せない。

「魔王の封印とデザイアパイソンの間には何か関係があるのですか? お嬢様」

だがそれも、魔王とデザイアパイソンの間に何らかの繋がりがあれば納得できる類のものだ。逆に言えば、そうでなければお嬢様が今口にする理由が無い。

そしてそんな私の考えに満足したのか、小さく頷きながらお嬢様は言葉を続ける。

「正解よマリー。たまには勘が働くじゃない。
そう、関係大ありなのよ。そもそもデザイアパイソンっていう魔物は、封印から漏れ出た魔王の魔力によって変質したフォレストボアなの。だから本能的に封印された魔王の左腕が安置されている森の中央部から離れようとしていなかったってだけで、実は縄張り意識が強い訳じゃあないの。
そんなデザイアパイソンが森の外に出たということは、それが森の中央から持ち去られているということ同義。つまりロッシーニュらの目論見は順調に進んでいるって訳」

嫌になっちゃう。そう言って締めくくったお嬢様は、指先でくるくると自らの髪を弄り出す。お嬢様が面倒を感じている時の癖だ。

しかしここで何かが気にかかったのか、ミーシャがうんうんと唸り出した。しばらくそうしていた後に、足りない脳から語彙を絞り出すようなたどたどしい口調でゆっくりと質問を投げかけてくる。

「ん? あれ? 魔王の封印は森でやってるんだよね? でも森から最寄りの街はランヴィルドじゃん。どゆこと?」
「あーそれ? 現状とはあまり関係のない話だから聞き流してもらって構わないけれど――なんでも、4代くらい前の皇帝が、魔王の左腕を兵器利用できないかとか考えていたことがあったらしいのよ。
そのためにジューディス家の本拠よりも近い場所に、皇帝の息のかかった軍事拠点ランヴィルドを構えたって訳。当時は隣国のアズマイル聖王国とも険悪だったから、その牽制ついでに、ってことね。
クランテットのアンダーグラウンドが完成されたのもその頃ね。クランテット内に皇帝も手を出せない強大な不可侵領域を作り出せば、緊急時にジューディス家が身を隠すことも容易だろう、ってジューディス家が規制を緩めたみたい。
――まあ、結果は見ての通りの孤立無援な訳なんだけれども」

ミーシャの癖に意外とマトモな質問が飛んできたことに内心驚きながらも、続くお嬢様の答えにいくらかの恨み言を吐きたい気分になる。

魔王の封印のためという大義がある以上、その選択は咎めない。だがせめて、それをするなら当初の予定通り身を隠すための場所を作ってくれと切実に思うのだ。

当時のジューディス家当主も体が弱く、それ故に中途半端に終わったのだとお嬢様が付け足すが、それならそもそもそんな博打をしないでほしい。

「不幸中の幸いは、別に腕本体を持ち出したからと言って封印が解けるって訳ではないことかしら。詳しいことはお父様しか知らないけれども、なんでも呪いじみた手法で腕の魔力そのものを封じているらしいから」
「……そして今、そのお館様もロッシーニュが確保している、と」
「そういうこと。だから今から間に合う最良の対処として考えられるのは、第一に封印された左腕の回収、第二にその開封手段を知るお父様の回収かしら。そのどちらも無理ならばお父様の口を封じることも選択肢の1つね。
まあどうにせよ、作戦の方向性は潜入で確定したわ。目的の物を手中に収めたら、東の興行都市メーシュブリクにでも逃げて、隠れちゃいましょう。
全ての敵を斬り伏せるより、よっぽど簡単な話じゃない? ねぇ、マリー」

その言葉を聞いて初めて、お嬢様がからかうような笑みを浮かべて私を見ていることに気付いた。

状況は私が想像していた以上に酷いものだった。だがしかし、その解決策は私が想像していた以上にシンプルなものだったのだ。

必要なものだけ奪い返して、そのまま逃げてしまえばいい。クランテットを放っての隠遁など皇帝陛下に対する不忠と取られてもおかしくない所業だが、ジューディス家の使命と街が暗黒街と化した経緯を考えれば、別に忠義を誓っていた関係という訳でもないのだろう。

責任逃れと後ろ指差されようと、そもそも話を聞く限り、ジューディス家は民の生活ではなく魔王の封印にこそ責任を持つ血脈の者だ。その責を果たそうというのであれば、もはやクランテットにジューディス家の居場所は無い。

この街は「捨てる」。奪い返すこともなく。

その決断についてくることができるか? その覚悟があるのか? 今、お嬢様は私にそう問うているのだ。

お嬢様は笑顔のまま表情を変えない。私をじっと見つめるその笑顔の裏にどれだけの感情を隠しているのか、全てを窺い知るには私は少々勘が鈍い。

――だがそれでも良い。私の答えなど、とうに決まっている。

「ご一緒させていただきます。お嬢様」
「ん、よろしい」

短い言葉のやり取り。だが人生の大半を連れ添った主従にはそれだけで十分だ。

今私が感じているこの感情が、絆と呼べるものであればと、そう願う。

しばしの無言。状況は予断を許さないものなのに、ふとしたこの間が心地良い。

「な、なんかずるい! 2人とも、なんかずるいよ!」

私とお嬢様の無言の語らいは、ちょっと存在を忘れかけていたミーシャが嫉妬に声を荒げるまで続いた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――




私一人居なくても、世界は当然のように回り巡る。

そんなことは分かり切った話だ。私が人知らず消えたところで、この世界は何食わぬ顔で回り続けるのだ。

この世界は、そういう世界だ。世界から抜け落ちた私と言う存在を埋め合わせる物を、いくらでも持っている憎らしい世界。だからきっと、世界にとって私一人の生き死になどどうでも良い。

ただふと思う。私から見た世界とやらは、そこまで私を見下せるほど高尚なものなのか、と。

私の目に映るものだけが、私の知る世界の全て。私の目に映らぬものであれば、それは世界でない。

私から見た世界と言うものは、私が死ねば夢幻と消えてしまうような、私と同じだけの価値しかもたない儚いものだ。

そしてそれは、他の誰でもない私自身が世界と同じだけの重みを持つ誰かの存在を認める十分な根拠となる。

当然だ。既に私は、人一人の存在と世界すべての価値を等号でつなげることができているのだから。

その等号を世界と私ではなく、世界と誰かでつなげることだって簡単な事なのだ。

「だからこそ、誰かのために懸けた命は世界と同じだけの重みを持つ。
――私の持論なのだがね。貴様の口の堅さを見ていると、それを一層強く感じるよ。ジューディス家現当主、ダンピエール・ジューディス」
「…………ロッシーニュ、貴様――」

赤黒い絨毯が敷き詰められた一室の中で、2人の男が対峙する。

片や罪人用の拘束椅子に手足を釘打ちされて身動き一つできない痩せ細った中年の男。その名はダンピエール・ジューディス。

片やそれを立ったまま見下す、老齢ながら精悍な顔つきをした肉付きの良い男。その名はロッシーニュ・エルグラン。

両者の関係は見た通りのものだ。ただ今にも息絶えそうな細い息のダンピエールはまだ余裕のある表情のままで、相対するロッシーニュはとんと困り果てたように目を細めている。

「あの狂信者どもを赤蛇の森にけしかけて、魔王の左腕を手に入れたまでは良いのだがね。残念ながらジューディス家の血による封印が解かれなければ、これはただの干物以下の価値しか無いガラクタだ」

その言葉が無ければ、一体誰が気付くことができようか。ロッシーニュの手に握られたそのみすぼらしく皺まみれに干からびた木の枝のようなものが、延べ200人を超える狂信者の決死行の果てに手に入れた魔王の聖骸だと。かつて世界を滅びへと導いた、魔性の到達点の一部であると。

――今もなお世界を滅ぼせるほどの魔力を秘めた、封印の遺物であると。

「そんな干物を封印して何になると言うのだ。第一、魔王などと言う御伽噺など――ぐッ?!」
「あえて道化を演じているのか?だとすれば素晴らしい。ここまでやって、それでも知らぬ存ぜぬを通し続けることができるのは信念故だとしたら――感服するよ」

そう言ってロッシーニュがダンピエールの肩口に向けてナイフを振り下ろす。傷口から滴り落ちる血は絨毯を耳障りな水音と共により赤く染め上げていく。

「いい加減刺す場所も無くなってきたな。心臓などとっくの昔に貫いているというのに、それでも死なないのは貴様の言う所の呪いのせいか?」
「…………だとしたら、どうする」
「その呪い、私が引き受けてやろう。願ったり叶ったりだろう?」

息も絶え絶えに言葉を返すダンピエールに、問うまでもないことだと笑みを浮かべるロッシーニュ。

さもありなん。ダンピエールが言う所の呪いとは、すなわち魔王の力をその身に封ずるが故の苦痛と、そこから逃げることを許さない不死性の獲得だとロッシーニュは踏んでいる。

恐らくは前者が過ぎた力を押し込める代価であり、後者が魔王の左腕の持つ本来の機能の発現。

眉唾物の伝記には「魔王の左手は肉体の不滅を約束する」と書かれていたことからの推測だったが、この言葉に反応し睨み付けてくるダンピエールの姿を見るにどうやら図星らしいとほくそ笑む。

「何が願ったり叶ったりなものか。これはジューディス家の責務だ。いかな苦痛が付き纏おうと、貴様のような小悪党にくれてやれる代物ではない」
「おやダンピエール。君はご息女にこの重荷を背負わせることを良しとするのか。なんと冷たい親だろうね」

からかいながらも心に引っかき傷を残すよう言葉を選ぶロッシーニュに、歯噛みするダンピエール。今のダンピエールにできるのは、ただ娘の無事を祈ることだけだ。その無力を噛み締めさせられる現状に、親として何も思わないはずなど無いのに。

「まあ良い。時間にはまだ余裕があるからな。貴様が口を割らないというのであれば、手当たり次第に試して封印を解くとしよう。それができるだけの人員は引き抜いてきている。
さて、どちらの命運が先に尽きるか、根競べと行こうじゃないか」
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