野良魔道士は百合ハーレムの夢を見る

むぅ

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1.新人冒険者編

7.牙を剥くセレス

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「デザイアパイソンの件はクリックズの馬鹿から連絡が来ています。『デザイアパイソン狩り放題。今月の返済分はこれで良いよな』と。……笑い事じゃないんですよ、こっちは!」

デザイアパイソンの討伐後、また森へと見回りに引き返していったクリックズさんから聞いた話も含めて、先ほどの状況をランヴィルドに帰ってすぐに伝えれば眉間に皺を寄せたエミルさんはそんな言葉を放ちます。

見ればその手には土に汚れた一枚の紙。怒りをぶつけるように握り締められたそれは皺まみれで、今にも千切れ飛んでしまいそうです。

「貴女たちの話を聞くに、森から出たデザイアパイソンは非常に活発に行動しているようですね。……つまりは赤蛇の森から近いランヴィルド――クランテット間を繋ぐ街道が、赤蛇の森中央部と同じくBランク以上の危険地帯になっていると見て間違いないでしょう」
「え、それって大変なことなんじゃあ……」
「ええその通りです全くもってその通りです。通商、街の防衛、資源の確保その他もろもろに重大な影響を与える一大事の報告を、こんな、適当な文面で……!」

そう言って怒りのままに受付の机を殴りつけるエミルさん。恐怖に静まり返るギルドの建屋。こういう時、クリックズさんに師事している私はどのような表情をしたら良いのか分からなくなります。

「……いえ、これは貴女たちに言うことではありませんね。
とりあえず今後デザイアパイソンの件が収拾するまでの間は、クランテット方面に足を運ぶ依頼は全面的に受けることができないと考えてください。
ギルドも行政と連絡を取り合い、可能な限り早期の収拾に努めますので、それまでは報酬は少なくなるでしょうが街中でもできる仕事で食い繋いでいてください。
どうしても生活が立ち行かなくなったら無理をせず声をかけてくださいね。薄給になるかもしれないですが食事の付く仕事を紹介しますから」
「……え、今後私たち貧乏生活確定なの? おなかぎゅるぎゅるハングリーライフなの?」
「ええ、十中八九。他の冒険者もそう変わらない状況になるかと。まあ、仕事が無くなるのですから当然と言えば当然ですかね」

エミルさんにそう告げられるや否や、何かに裏切られたかのようにミーシャさんの表情が暗い色に染まります。

……ああ、そういえばミーシャさんはどちらかと言えば冒険者に夢を見ている感じの人でした。現実には結構世知辛いところの多い職業なので、その現実をこうも突き付けられてはこの反応も納得でしょうか。

「そんなのやだぁー! せっかく冒険者になったんだから、毎日がっぽがっぽ稼いで、百合ハーレムを作って女の子をいっぱい囲ってイチャイチャラブラブ酒池肉林したいのー!」「えっと、言いにくいんですが……囲むか囲われるかで言えば、ミーシャさんは囲われる側だと思いますよ?」

余り納得できない反応でした。

女の子が好き、というミーシャさんの性癖が唐突に暴露されたのは少々驚きですが、そんな彼女と抱き合って眠っている私が、貞操の危険というものを微塵も感じたことが無い時点で夢物語だと察することができるでしょう。むしろ私は、ギルドの建屋前の路上で眠りこける彼女こそ貞操を心配したほうが良いと思うのです。

そもそも何かを勘違いしてハーレムなどとのたまっているだけで、実際には同性の友人に甘えたいだけだとか、そういう線も考えられますね。

そう思うと無性にミーシャさんが可愛らしく、愛しく見えてきました。そんな感情に釣られてか自然と体がミーシャさんを抱き寄せ、飼い猫を撫でるように手で髪を梳き始めます。指をすり抜ける髪の感覚が気持ち良いです。

「そ、その言い草、この手つき……! 薄々感づいてはいたけれど、やっぱりセレスちゃんの狙いは私の超究極せくしーだいなまいとぼでーだったんだね!
でも負けない、こ、こんな小手先のテクでオチるほど私は軽い女じゃぁ――っ! ……みゅぅ……ふにゃぁ……」

撫でる度に体から力が抜けていくミーシャさん。少しずつ私の身体にもたれかかってくることに何とも言えない達成感を感じて、無心に撫で続けてしまいます。撫でくり撫でくり。

「口ほどにもないとはまさにこのことですね。……それはともかく、こちらがゴブリン10体の討伐報酬6000クロム、牙と魔力結晶の買取価格の6800クロム、合わせて12800クロムです。報酬は山分けで良いですか?」

話を区切るように咳払いをしてから、エミルさんはそう言いました。

その言葉にふと冷静になってみれば、熱っぽい視線でこちらを見上げるミーシャさんはさておき周囲の視線が少々気になります。なんだか急に恥ずかしさを感じた私は慌ててミーシャさんから手を放し、何事も無かったかのように姿勢を正します。

「あ、はい。大丈夫です。……しかしなんというか、ごねる訳ではないんですけれど今までと比べて報酬が少なく感じてしまいますね」
「ゴブリン退治は戦闘能力さえあれば、クロモリ草の採取と違って特別の技能を必要としませんからね。薬草採取に慣れてしまうと、こちらの報酬が割に合わないと感じるのも道理でしょう」

そう言われては納得せざるを得ず、報酬の確認をして懐に入れます。

――いえ、本当は言われるまでもなく納得はしていました。ただ、今後の生活を考えると言いようの無い不安が胸の内をよぎるのです。

死にそうな目にあって、命を諦めるほど怖い目にあって、それで一人頭6400クロム。

これがFランク冒険者の命の値段、命の価値です。この金で糊口をしのぐために依頼を受け続けて、私は後何度、命を拾い上げられるのでしょうか。

「ほにゃぁ……え、あれ? なんかセレスちゃん、難しい顔してるよ? さっきのお返しに頭撫でてあげようか?」
「あ、いえ、大丈夫です。でも私からならもうちょっと撫でたいかも……」
「だ、ダメ! それはダメ! 今日はもう撫でるの禁止! 絶対禁止! 良い女は自分を安売りしないんだから!」

落ち込みかけた気分を、ミーシャさんが引き上げてくれます。撫でられまいと頭を抱きかかえるように三角帽子を深く被る姿が、私の荒んだ心を癒してくれるのです。

「では、今回の依頼についての話は以上ですね。お疲れ様でした。――と言いたいのですが、セレスさんはこちらへ。別室で話したいことがあります」
「え、私だけですか?」
「はい。重要な話です。恐らくミーシャさんが居ると話が進まないので、個別で話しましょう」

そういうエミルさんは真剣な――というよりも怒りを押し殺したようなしかめっ面で、提案のようで実際のところ断らせるつもりはないような雰囲気です。心なしか、普段よりも一割増で冷たい瞳をしているような気さえします。

「うー、私は除け者? じゃあ、ここで待ってる?」
「はいそれでお願いします。ではセレスさん、こちらへどうぞ」
「は、はい」

そう言って招かれた部屋は第二個人面談室、通称「エミルの説教部屋」でした。

本来は依頼人との個人的な交渉をするための場でありながら、ランヴィルドではその冒険者数の少なさと治安の良さから第一個人面談室さえ残っていれば不意の交渉にも対応できてしまうことと、何をしても外に物音が聞こえない防音性から、エミルさんが長時間の説教をする際に好んで使用することからそう呼ばれているそうです。

「も、もしかして、お説教ですか……?」
「どう受け取るかは貴女の自由です。ただ、喜ばしい話ではないことは確かでしょうね」

あ、これは説教で間違いないでしょう。理由は分からないですが、覚悟を決めておかないと大変そうですね。









「率直に言います。ミーシャさんとのパーティーは今日で解散しなさい」

机の向かいに座ったエミルさんは開口一番、あまりにも衝撃的な、私の覚悟を打ち砕く言葉を発しました。

「え、それ、は、どうして……」
「言うに事欠いて「どうして」、ですか。それを理解できていないこと自体が既にその理由の一端であると、貴女は何故気付かないのです?」

エミルさんはまっすぐにこちらを見据えたまま、ほんの一瞬も目を逸らさずそう言います。言い間違いでも、聞き間違いでもないと言外に告げるように、真剣に、真摯に。

「そ、そんなのおかしいですよ! ミーシャさんと組むことを勧めたのはエミルさんですし、前衛後衛で相性も良いって言っていたじゃないですか!」

ですが私はその言葉を理解する、しない以前に受け入れることすらできませんでした。

出会ってまだ5日、一緒に行った依頼は2つの浅い関係。ですが私にとって、ミーシャさんは既に掛け替えのないものになっています。

その関係を今更手放すなんて、できるはずもありません。それは言葉にせずとも、エミルさんも分かってくれているものとばかり思っていたのですが――

「ええ、純粋に能力、知識だけを見るなら、あるいは友人としてなら、相性は良いでしょう。しかし危険地帯における運命共同体として見た場合、これ以上無いほど危険な組み合わせなのですよ。貴女たちは」
「危険、ですか? でもフォレストボアもデザイアパイソンも偶然のことですよ!? もしかしたら情報収集とかをきちんとしていれば、遭遇すること自体を回避できたかもしれませんけれど、だからと言って解散なんて――」
「そちらは魔物の生息範囲を正確に把握できていなかったギルドの、あるいはその可能性に気付くことのできなかった私のミスです。ですがそんな些細な事ではなく、もっと致命的な問題が貴女たちのパーティーには――いえ、セレスさんにはあるのです」

そう言われた瞬間、言葉にできない恐怖感が私の内に芽生えます。

それはエミルさんのその言葉の裏に、未だかつてないほどの怒りを感じたからでしょうか。それとも――

「そもそも、私が貴女とミーシャさんを組ませた理由が分かっていますか?
明らかに世間知らずなミーシャさんを守るため? 貴女の戦闘能力の低さを補完するため? それとも純粋に作業効率の向上のため? ……どれも真実です。
ですが、貴女は肝心なことを理解していません。このパーティーの存在意義の一つに、セレスさん、貴女の保護もまた含まれているということです。断じて、ミーシャさんの代わりに死ぬ人間を作りたかった訳ではありません」
「……」
「先日のフォレストボアの一件。あれはまだ筋が通っていました。
直前の事態からミーシャさんがファイアーボールを使えると知ったこと、そしてそれを使って状況からの離脱を試みようとしたこと、そしてそのために前衛である貴女がリスクを負ったこと――これは貴女たち二人が揃って生還することを第一に考えれば、その成功率に対する貴女の認識はさておき最善手だったと言って良いでしょう。

しかし今回の一件はどうでしょうか。デザイアパイソンの前に貴女一人が立つという、無謀そのものと言って良い行為は。
本当にこれ以外の手段を思いつかなかったのですか? 本当に、これが最善手であると判断でこんな愚かな行動をしたのですか?」
「それ、は……」

それとも――エミルさんの言葉が私の真実の心を抉るものであると、他ならぬ私自身がそれを認めているからでしょうか。エミルさんの言葉に私は何も返すことができません。

「――セレスさん。嘘偽りなくこの質問に答えてください。
貴女は本当に、生きて帰るつもりでデザイアパイソンと相対したのですか? 自分はどうなっても良いだとか、我が身と引き換えにどうこうしようだとか、そんな愚かなことは考えていませんでしたか?
そうではない、今の私ならデザイアパイソンも一人で倒せる。そんな分を弁えない思い上がりからの行動でしたらまだ良いでしょう。その程度であれば彼我の実力差も計れないFランク筆頭の落ち目冒険者として、今後討伐依頼の一切を受注禁止にするだけで水に流すことも吝かではありません。

ですがもし、この質問にはいと答えるのであれば――私は貴女を許しません。絶対に」

気付けば、エミルさんの拳は血が滲むほど固く握りしめられていました。眉間に皺を寄せ、細められた瞳の奥では涙を湛えているようにすら見えます。

今、エミルさんは本気で怒っているのです。私のために。

その気持ちが居たいほどに伝わってきて、それが嬉しくて、それを裏切る自分の行為が申し訳なくて――それでも嘘はつけないと、首を縦に振りました。

それと同時、握り締められたエミルさんの拳が私の頬に飛んできます。何一つ加減の無い本気の一撃に、頭が揺らされる感覚がしました。

「貴女は死ぬために冒険者になったのですか?! だとしたら今ここで死んでしまえ。それで本望なのでしょう!」
「そんなつもりじゃ、ない、です。私はただ、私よりもミーシャさんの方が生きている価値があると思っただけで――」
「Fランク冒険者如きが、勝手に死ぬ人間を決めるんじゃあない! 貴女はいつまで、そうやって自分の命を底辺に置き続けるのですか?」

揺れる視界の中、エミルさんは泣いているようにすら見えました。声が、掠れていました。

「――セレスさんの事情は知っています。去年から続いていた不作が原因で、口減らしに村を追い出されたんですよね? 才ある妹と比較され続け、そしてそれ故に貴女が割を食ったのだと、そう聞いています」
「……私は割を食ったとは思っていません。私なんかよりも、未来のある妹が食べていけるかどうかの方が大事でしたから」

身売りもできないような孤立寸前の小村では、食べる物が無くなった時に不要な者から切り捨てられていくのは当然の話なのです。

耕作も家事も内職も武芸も全てが人と比べて劣っていた私は、あの時誰よりも不要な存在でした。妹が優秀だったことで多少は過小評価されていたかもしれませんが、それでもその事実は変えようがないのです。

そう言うと――エミルさんは「論点のすり替えですね」と一蹴しました。

「先月に貴女がこの街の冒険者ギルドに来たときも、貴女は同じことを言っていましたね。
……ええ、今でも覚えています。あの時の貴女は率直に言ってみすぼらしい姿でした。
痩せ細った手足に、死体のように青白い肌。所々がほつれた服を身に纏い、背負い袋の中には1クロムの金も無く、あるのは一つまみの保存食だけ。
確か貴女の故郷はランタ村でしたね? ランヴィルドまで歩きで5日の獣道を、あの程度の装備でよくもまあ生きて歩き切ったものだと当時は感心したものです。

貴女も理解していたはずです。それが婉曲な、誰も手を汚さないで済むだけの処刑であると。貴女は故郷から見限られたのだと。
だから貴女は些細なことに命を懸けられる。どうせ捨てられた命、使って死ぬのならば上等だと、そう言って。……貴女の価値観の根底には、まだ「故郷に必要とされなかった自分」が巣食っているのですね」

エミルさんが絞り出すように放ったその言葉を、私は否定できません。確かに私の中で、故郷の村から見放されたことは尾を引いています。

「ですがそれは、ここランヴィルドにおいても貴女の命に価値が無いことを示すものではありません。現に貴女はこの一月の間、この街に認められ、この街に根ざし、この街に生きてきた。そうでしょう?」
「それは、この街の皆さんが優しかったから……」
「私が無条件に優しい人間に見えますか? そうでないなら街の住人は皆聖人ですか? 価値の無い命を生かそうとする人間など、この街には一人も居ないのですよ。
……貴女はいい加減、他者の認める貴女の命の価値を知るべきです。それが容易に投げ捨てて良いものでないことも」

エミルさんが言葉を放つたびに、心臓を締め上げられる気分になります。

根本的な所で、私は私自身を肯定できていないのでしょう。だからこんなにも、私を認めようとする言葉が突き刺さる。

それは無能と罵られるよりも、顔面を殴られるよりも、はるかに苦しいことです。だって、この苦しみを和らげることができるのは、今まさに打ちのめされている自分だけなのですから。救いの手が、何よりも苦しいのですから。

「それにそもそも、貴女のそういう行為で危険に晒されるのは、貴女だけではありません。
クリックズも言っていた通り、後衛は前衛に保身的な活動の全てを委ねているのです。その前衛が命を粗末にする戦い方をして、生き残った後衛が無事に済むと思っているのですか?」

ですが恐らく、今日最も私の心を砕いたのはこの言葉でしょう。

私のせいでミーシャさんが死ぬ――そうなってしまったら私は、死んでも自分を許すことができません。そしてそれは、今にも現実のものになろうとしていたというのです。

「総じて、今の貴女にミーシャさんとパーティーを組む資格はありません。
少なくとも貴女は冒険者として、いや人として一から出直すべきでしょう。あるいは、冒険者以外の職に就いた方が良いのかもしれません。

……冒険者ギルドと言えども、規約違反をしていない冒険者の行動を強制する権利はありません。パーティーの解散をするもしないも、最終的には貴女たちの自由です。
ですが、この忠告を無視することで誰がどれだけの傷を負うのか、それを考えて結論を決めなさい」
「………………は、い」

最後にそう言ってエミルさんは席を立ち、部屋を後にします。

私はその背を追うことができず、しばらくの間項垂れていました。







「ちょ?! セレスちゃん顔腫れてるよ?! どうしたの?!」
「ああ、これは、ちょっと……」

ギルドの受付に戻るや否や、ミーシャさんが慌てた様子で私に近寄り、私の頬を撫でてくれます。

「ちょっとじゃないよ! 唇も切れちゃってるじゃん! もう、動かないでよー。今から治癒魔法かけるから、誤爆しないように祈って?」
「ご、誤爆ですか?! えっと、はい。じっとしてます」

言われるがまま、視線の高さを合わせた姿勢のまま固まります。するとミーシャさんの私を撫でる手に魔力が集中していく感覚がして、その手が頬に触れると同時、痛みや晴れがこそぎ落とされるように引いていきました。

「ミーシャさんは治癒魔法も使えたのですね。本当に、天才なんですね」
「えへへー、すごいでしょー。失敗するとちょっと凄いことになるけど、ここ数年は失敗していないんだー」

凄いことってどういうことなんでしょう。……いえ、あまり気にすることではないですね。むしろ気にしてはいけない気もします。

「……とゆーかエミルさん! 大事な話ってOHANASHIの事だったの?! 殴り合い宇宙だったの?! そんなのダメだよ、女の子の顔を殴るなんてサイテーなんだよ!」
「申し訳ありません、少々手が滑ってしまいました。ギルドとは無関係な個人的な行動によるものですので、私個人から賠償させてもらう形でよろしいでしょうか」

そう言ってエミルさんが懐の財布から取り出し、私の手に握らせたのは一枚の帝国金貨――10万クロムもの大金でした。

「え、エミルさん? こんな大金……」
「馬鹿の相手をしていると金を使う暇も無くなるんです。……その金は貴女が、貴女のために生きるための足しにしなさい」

余りの金額に驚いて返そうとするも、エミルさんはそう言って受け取ってくれません。むしろより強く金を押し付けてきます。

「気にするようでしたら、色を付けて五年後にでも返してください。……そうですね、そうしましょう。五年後、どれだけの額になって帰ってくるのかが楽しみです」

――エミルさんは言外にこう言いたいのでしょう。「お前にはそれだけの価値がある人間なのだ」「だから死ぬんじゃあない」と。

「…………はい、ありがとうございます……」
「か、金の力で暴力沙汰を揉み消した……? え、エミルさんってそんな悪女だったの?」
「あ、いえ、ミーシャさん。これはそういう訳ではなく――」
「セレスちゃんに近付くな、この悪女ー! セレスちゃんをいじめるなら、わ、わ、わ、私が相手だー!」

毛を逆立てる猫のように息を荒げながら、しかしぷるぷると震えながら私とエミルさんの間に割って入るミーシャさん。

ミーシャさんもエミルさんは怖いでしょうに、それでも私をかばうのは、彼女もまた私に価値を感じているからなのでしょうか。……ほんの一瞬だけ私に向けられた、エミルさんの優しい表情がその答えな気がします。

「今日の話は、貴女の口からミーシャさんに伝えてください。本来なら私がするべきことでしょうが、今の貴女には割り切るための儀式が必要です」

最後にそれだけ言い残して、エミルさんは受付裏の作業場に行ってしまいました。デザイアパイソンの一件で仕事が増えたのでしょう。そのまま二度と、受付まで戻ってくることはありませんでした。

「ふ、この超究極最強魔導士の圧倒的に底知れない凄まじい威圧感に恐れをなしちゃったのかな? ……口ほどにもないとは、まさにこのこと!」

多分それは違います。





「セレスちゃん大丈夫? 顔色悪いよ? ……もしかしてさっきの治癒魔法、失敗してた?」

冒険者ギルドを後にして、道路を歩いている途中にミーシャさんがそんなことを聞いてきます。心配をかけまいと心中を隠していたつもりでしたが、私はそれすらも未熟なようです。

「ああいえ、治癒魔法はしっかり効いています。もう痛みもありませんよ」
「でもセレスちゃん、さっきから難しい表情してる――エミルさんに、何か酷いこと言われたの?」
「そういう訳じゃないんです。そういう訳じゃ……」
「……ふーん」

訝しげな表情でこちらを覗き込むミーシャさん。

……こうして正面からミーシャさんと顔を合わせると、胸が苦しくなります。本当なら今にでもパーティーの解散を言うべきなのでしょう。が、どうしても私にはそれを切り出す勇気が出ないのです。

縋りつくようですが、私はまだミーシャさんと一緒に居たいのです。

「――じゃあじゃあ、ご飯食べに行こうよ! 私ってばデキる女だから、さっき待っている間にご飯がおいしいお店の話を聞いたんだ!」
「ご飯、ですか?」
「そう、ご飯。お腹が減ったらご飯を食べよう! 私だってお腹が減ってたら切ない気分になっちゃうし、セレスちゃんだってそういうことでしょ!」

しばらくジトっとした視線を投げかけていたミーシャさんは、ふと名案を思い付いたと言わんばかりに手を打ちました。言われてみれば日は今にも沈みそうで、夕飯時には丁度良いかもしれません。

「そうですね。じゃあ、そのお店まで案内をお願いできますか?」
「がってんだー!」



案内されたお店はバーなのか大衆食堂なのか一見して区別のつかない、人の揉みあう小さな酒場でした。

私一人では入る気にはなれなかったであろう喧騒の最中にあるその店は、しかし胃をくすぐる香草と油の香りを店の外にまで漂わせていて、その誘惑も相まって今日一日で身も心も疲れ切った私はミーシャさんに手を引かれるままその店に入っていきます。

「セレスちゃん何食べる? このお店はソーセージがおいしいって聞いたから、それにしようよ! ほら、超究極可愛い私があーん、ってしてあげるから!」

そう言ってお品書きを前にはしゃぐミーシャさん。その色々と隙だらけな姿を見ていると、私は日常に帰ってきたのだなと実感します。日常も何も、こうして食事を共にするのはこれで五日目なのですが……不思議なものです。

「流石にソーセージだけだとお腹に溜まらないので、他のものも頼みましょうか。えーと、美味しそうなのは――」
「おーおー、ついにこの店を見つけられちまったか。俺のお気に入りだったんだがな」

そうしてお品書きに目を通す私の背後から頭を「ぐわし」と掴んで声をかけてきたのは、森から帰ってきたらしきクリックズさんでした。

「あ、ドリル兄貴! 私とセレスちゃん、二人っきりのらぶらぶ空間に何の用だー!」
「ははは、やっぱ嬢ちゃん威勢が良いな。いやなに、さっきの蛇共のおかげで懐が潤ったからな。景気良く呑もうと思ったところに見つけた弟子に、いっちょ飯でも奢ろうかと思った訳だ」

そう言うクリックズさんの手には、ジャラジャラと音のなる革袋が一つ。口を開いて見せたその中には100枚を超える帝国金貨が。

「え、ゴチ? ゴチになっちゃうの? も、もしかしてこの場違いにお高い『クレセントシープのロティ~ブラックキャロットのグラッセを添えて~』なんかも頼んじゃって良いの?!」
「おう、弟子より先に食いついて来るたぁ気に入った、奢ってやるよ! いやむしろこの店に居る奴全員奢ってやるよ!
オラ野郎共飲めや騒げやぁ! 遠慮はするな! 支払いはこのクリックズ・アーカロイが全部受け持ってやる!」

クリックズさんは規格外の収入を、規格外の速度で吐き出す一言を高らかに謳いあげました。

毎回毎回金が懐に入るたびにそんなことをしているから、どんどんと借金が増えていくのではないでしょうか。そもそも金貨100枚、約1000万クロムではクリックズさんの槍の代金も支払えない筈です。その辺りの計算はちゃんとできているのでしょうか? それともできるできないではなく、していないのでしょうか。……後者の方が濃厚な線ですね。

「オラ、セレスも辛気臭え顔してねえで飲めや飲めや。お前甘いの好きだったろ? なら蜂蜜酒で良いよな?」
「い、いや大丈夫です! ただでさえ食事を頂けるのに、この上蜂蜜酒なんて高級品を頼むのは流石に申し訳ないというか」
「ああ”?! 俺の酒が飲めねえってかぁ?! 弟子の癖に遠慮なんてしやがってクソ生意気な! もう許さん、ぅ親父ィ! 蜂蜜酒ありったけ持って来ォい!」

クリックズさんの怒声と共に私たちの目の前に突き出されたのは、風情もへったくれも無い特大のジョッキになみなみと注がれた黄金色の蜂蜜酒。……私の知る限り、蜂蜜酒は指先に乗りそうな小さなグラスに一杯で1万クロムを超える高級品だったはずなのですが――なんて恐ろしい真似を――!

「んく……んく……ぷはぁ! 甘い! うまい! もう一杯! いやーお酒って初めて飲んだけど、なんだかツンと苦くて甘くて、ちょっぴりオトナなキ・ブ・ン? あ、ちょっと眠くなってきたかも――くぅ……」
「ミ、ミーシャさん?! もう寝ちゃうんですか? 速すぎませんか?!」
「ほら見てみろ、嬢ちゃんの方は良い飲みっぷりだぞ? つーかお前はとにかく酒を飲め。浴びるように飲め。記憶が飛ぶまで飲めいや死ぬまで飲め! 今のお前にゃ酒が足りん!」
「え、いや、私は――」

そう言ってぐいぐいとジョッキを押し付けてくるクリックズさん。そうやって酒を勧める口調は、酒の席らしい冗談みたいなものでしたが――しかし意外なことに、その表情は真剣そのものでした。

「クリックズさん? どうかしたんですか?」
「……何があったのかは聞かねえよ。 聞く気もねえ。
だけどな、その表情はいけねえ。お前さっきから、世界の終わりみてーな顔してんぞ」

クリックズさんが懐から出した手鏡を見て、やっと自分が泣きそうな顔をしていることに気付きました。多分ずっと、エミルさんと話していた時からそうだったのでしょう。

「口に出しちゃあいねえみたいだが、嬢ちゃんも当然気付いてる。お前を元気付けようと必死で、見てらんなかったぜ。
何があったのかは知らんが、男が女に気を使わせちゃあおしまいだろ」
「……クリックズさん、何度も言いますが私女です」
「知るか、ンなモン。まあなんだ。辛い時に酒を飲めるのが人間の良いところだ。
不安に押し潰されるよりは、酒に潰されといた方が立ち直りが早いぜ?」

差し出された蜂蜜酒は、今度は押し付けられることなく目の前に置かれました。

――色々なことが立て続けに起こって、もう疲れていたのかもしれません。自然とそのジョッキに手が伸びれば、液体の財産とも言える蜂蜜酒を一息に飲み込んでしまいました。

そして空になったジョッキを置けば、間をおかずに注がれる蜂蜜酒。いつの間にかクリックズさんの手には、蜂蜜酒がたっぷり詰まったピッチャーが握られていました。

「どうせ奢りだ。好きなだけ飲め。酒に溺れる贅沢も冒険者の醍醐味だ」
「……ありがとう、ございます」





「セレス、お前は俺が見込んだ男だ。男なら自分のやりたいようにやってみろ。どこまでも我が儘に生きろ」

酒が回り、肩で息をするようになった頃、クリックズさんがふと思い出したようにそんなことを言います。

「自分を偽るな。抑えるな。耐えるな。認めろ。欲しろ。暴れ狂え。
なに、安心して良い。本当に良い男なら、何をやらかしても女は自然と寄ってくるんだからな」
「です、から、私は女だって――」
「だが今お前が欲しいのは女だ。そうだろう?」

その言葉が耳に入った瞬間、意識が引き上げられたような気がしました。その「女」が誰を指しているのか――もはや言わずとも分かっていたからです。

「なんで、それを――」
「顔見りゃ分かる。つーかあんだけ名残惜しそうにチラッチラと嬢ちゃんの方を見てれば、むしろ分からない奴の方が少ないだろ」

そう言われて反射的に、腕を枕に眠るミーシャさんに目が行ってしまい、そしてそれを見たクリックズさんがほれ見ろと笑います。

「どうせ何かエミルに言われたんだろ? 確かにちょいと、さっきのお前は危ない気がしたからな。馬鹿正直に事の次第を話せば、まあエミルなら色々言うだろうよ。そうだな――解散とか、引退とかその辺りか?」
「……ええ、はい」
「だがどうせ、奴も言っていたはずだ。「最後に決めるのはお前自身だ」と。
後悔しないようにどうこう、なんて俺は言わねえ。ただ、俺の知ってるお前は、お前が思っている以上に欲深いぜ?」

何も聞いていない筈なのに、何もかもを見透かしたように話すクリックズさん。これが年季の差と言う奴でしょうか。

この人は一体どこまで、私の事を知っているのでしょう。私の心のはずなのに、私以上にその奥深くまで覗かれているような気がします。それとも、私自身が自分から目を背けているだけなのでしょうか?

「お前は一度、その欲深さに身を任せてみろ。理性が邪魔をするってなら、全部酒のせいにして自分を誤魔化せば良い」
「でも――それは――」
「安心しろ。お前らは良いコンビだよ。――オラ親父受け取れぇ! 釣りはいらねえぞ!」

店主に向かって金の入った革袋を投げつけて店を出るクリックズさん。しかしその背は追わず、ただ目の前で眠るミーシャさんに手が伸びます。

クリックズさんは最後まで言いたい放題でした。反論もさせてくれませんでしたし、どういう訳か今日も私が女であることを認めようとしませんでした。訳が分かりません。

でも、だからこそでしょうか。あの人が師匠で良かったと、そう思えるのは。

子猫のように軽いミーシャさんの身体を抱きかかえて宿に帰る最中、私はそんなことを思いました。




―――――――――――――――――――――――――――――――――




「ぅゅ……あれ、セレスちゃん? どうしたの? そんなに迫っちゃって。
……あ、さてはまた私を抱き枕にする気だなー? いいだろーう、かかってこーい」

宿に帰りついてミーシャさんをベッドに下ろすと、その衝撃で目が覚めたのかミーシャさんが眠たげに目をこすりながらそう言います。

――寝ぼけ眼ではありますが、起きたのなら好都合です。話をするなら、今しかないでしょう。

「ミーシャさん。私は、貴女に言わなければならないことがあります。――先ほど、私がエミルさんから言われたことです」

そう前置きして、私はミーシャさんにエミルさんとの会話の一部始終を語りました。このパーティーにおいて私の存在が大きな弱点になること、そしてそれが原因でミーシャさんも危険に晒されるかもしれないこと……パーティーを解散するように言われたことも、全て。

「そ、そんなのダメだよ! 私、セレスちゃんと一緒のパーティーじゃなきゃ嫌!」

話を聞いているうちにだんだんと意識を取り戻してきたのか、ミーシャさんは私の手を掴んで離さず、そう言って縋ります。

「でもきっと、エミルさんの言っていることは正しいんです。
そもそも私とミーシャさんでは、どうやっても釣り合いが取れなかったんでしょう。片や何の取り得もないFランクの前衛(にくかべ)、片やこの年で治癒魔法まで使える複合属性魔導士……いずれ私がミーシャさんに追い付けなくなって、解散することは目に見えています。
それが少し早まるだけです。ミーシャさんにとっても、それが最善のはずです」
「そんなの私の最強魔法でどうにかするから! いっぱい、いっぱい頑張るから! そんな寂しいこと、言わないでよぅ……」

握った手を振り払えば、ついに泣き出してしまったミーシャさん。でも、これは事実です。

ミーシャさんが努力を重ねる度にこのパーティーにおける私の価値は下がっていき、最後には居るだけで邪魔になる足手纏いに過ぎなくなるのでしょう。そもそも物心ついた頃から魔法に触れ合っていた、言わば魔導士のエリートであるミーシャさんが、冒険者として私と同じステージに留まること自体が奇跡のような話だったのです。

「……それでも――」


――そう、それでも、なのです。

今まさに振り払った手を掴み上げ、絶対に逃がさないという意思でもってそのままベッドの上に押し倒します。

私のような未熟者がどれだけ受け売りの理屈を並べたところで、どうして一度気付いてしまった欲望(わたし)を抑えることができるのでしょう。この胸の内に滾る欲望の渦に触れて、どうして正気で居られるのでしょう。

「――ぇ、セレス、ちゃん……?」
「ミーシャさん、私は、それでも私は――」

ええ、クリックズさんは正しく私の本性を見抜いていました。私はどこまでも欲深いのです。私の命に価値が無いと思っていたのは、私が見る全ての物が美しく輝いて見えていたから。世界があまりにも魅力的過ぎて、我を忘れていたから。

エミルさんは私に、自分の命の価値を知れと言いました。ですが私はその価値を知ってなお、命を懸けることを躊躇わないでしょう。命知らずと言われてなお、命よりも欲しいものがそこにあるのですから。

命を懸けてなお、無分不相応と言われてなお、それでも欲するもの。絶対に手放したくない、太陽のような無邪気な笑顔。

そう、それは他ならぬ――

「それでも私は――ミーシャさん、貴女が欲しい――!」

そして――私は欲望(わたし)の命ずるままに、有無を言わさずミーシャさんの唇を奪いました。



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