野良魔道士は百合ハーレムの夢を見る

むぅ

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5.妹編

閑話.なんでも言うこと聞いてくれるランドキャット

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奴隷の仕事は忙しい。
掃除洗濯は当然ながら、料理だって手が抜けない。手が空いたらミスティちゃんに本を読み聞かせてあげたりもするし、その度に取り上げられる本を取り返すために宿を走り回ったりもする。

さらには冒険者として仕事に向かうセレスちゃんとマリーちゃんの仕事道具をお手入れするのだって、実は私の仕事だ。

武器の手入れは愛着とかもあるから2人におまかせだけど、仕事終わりにムレムレになった冒険者用のブーツを魔法で消臭したり、ポーチのほつれたところを縫ったり、回復用のポーションの鮮度をチェックしたり、探索用ロープにほつれが無いか確認して、いざというときに致命傷を肩代わりしてくれる魔法をかけた手作りのお守りを忍び込ませ、私をそっちのけで依頼に向かう2人に万一のことが無いように準備を整えたりもしているのは私なのだ。

ぶっちゃけ、面倒臭い仕事だ。超究極最強魔導師たる私に似合わない、単純作業だ。

しかし2人が私という超究極最強魔導師たる私を欠いて冒険の世界に臨む以上、準備に気を遣うのは仕方ない。ハーレムメンバーを守るのはハーレム主の仕事だから、それを嫌だと思うこともない。実際セレスちゃんも「ミーシャが後方に回るようになってから、安心して依頼を受けることができるようになりました」って言ってる。

そう、これは必要なことなのだ。どれだけ簡単なことでも、ひたすら面倒なことでも、しっかりやらなきゃいけないものはあるのだ。

ーーけれどもたまに、無性に、たくさんたくさん誉めてもらいたい気分になる。頑張ったねって、いつもありがとうって言ってほしい気持ちになる。

いや、たまに、じゃない。今まさに、だ。

ぎゅーっと抱き締められて、そのままぐりぐり撫で回されて、それでほっぺたにキスされちゃったりするような、そういうご褒美的なスキンシップを体が求めているのだ。

いわゆるご褒美欠乏症というやつだ。10日に1度くらいの頻度で、こういった衝動が湧いてきてしまうのは人類統計学的に正「不遇と言われている地属性魔法ですが、現代知識との相性がチートじみてる件について(グースビック・ギュール著)」にも書いてあったからよく知っている。


「かといって、素直に撫でてなんておねだりしちゃうのは、ハーレム主の威厳的に、こう……アウトだよね?」
「にゃー」
「だよね。ハーレム主は甘やかしてあげる側だもんね」


しかしそれを口にするのを躊躇ってしまうのは、私が誇り高きハーレム主であるが故。性奴隷に堕ちたとしても、捨ててはいけないものがそこにはある。

プライドというのは時に重い足枷となる。だからこそ、人には言えない超究極ハーレム主ならではの苦悩を、朝イチ取れたてのランドキャットに向けて吐き出す。

なお、同じお留守番組のイリーちゃんとミスティちゃんがジュゼちゃんを引き連れて「社会見学」に出掛けてしまい、一人宿に取り残されちゃって寂しいからこんなことをしているわけではない、と言うことだけは断言しておく。


「もちろんね? セレスちゃんって勘が良いから、構ってほしい気持ちの時に見つめるとすぐに優しくしてくれるんだよ? 撫でてくれたり、ぎゅーってしてくれたり」
「にゃー」
「でも、その……優しいのは最初だけっていうか……私も私で流されちゃうっていうか……」
「にゃー?」
「いや、だから……それこそ察して?」
「にゅー……」
「なんで? って言われても……と、とにかく! 癒されるは癒されるんだけど、それ以上に疲れちゃうからプラマイゼロで、ずっと欲求不満なままで困ってるの! 私は!」


しかしいくら愚痴ろうとも、相手は日々をぐでぐでしく生きるストレスフリーなのんびりにゃんこ。性奴隷として恥辱の日々に耐える私の気持ちを理解するには難があるのだろう。うりうりとほっぺをつつきながら声を張り上げる。

もっとも、私とてランドキャットが問題を解決してくれるとは思っていない。

ただいつも私のことを抱きすぎちゃうセレスちゃんに代わって、その艶かしくもモフモフなそのにゃんこボディで適度に癒してほしいのだ。そう、今まさにあくびをしながら私の胸元にすりすりしちゃっているみたいに。


「……ごめんね、大声出しちゃって。君は悪くないのにね」
「にゃー」
「でも、どうすればいいんだろ。普通におねだりしたら流れで犯されるし、そもそもハーレム主的におねだりはしたくないし……」
「にゃー」
「え? 「我にまかせよ」ってどういう……あっ待って! 行っちゃわないで! まだ私、モフモフ癒し成分が規定値を満たしてないんだよ!」


しかしながらランドキャットは自由なケダモノ。ついさっきまで素直にモフられていたかと思えば、唐突に腕のなかから抜け出してしまう。

突然の変化に驚き、あわてて追いかければ、にゃんこは既に窓枠の上。普段のぐーたらにゃんこの姿とはかけ離れた、元気なにゃんこの姿がそこにはあった。


「にゃー!」
「「吉報を待つがよい人の子よ」って言われても、そういうのは待つものじゃなくて自らの手で掴み取るものだって本にーーあ、待って、まだモフらせてー!」


しかしてにゃんこに人の言葉は届かず。颯爽と街へ飛び出すランドキャットを、私はついぞ捕らえることができなかった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー




「にゃんこを失い……癒しを失い……今の私に、いったい何が残っていると言うんだ……!」


その日の夜、私はランドキャットに逃げられるという人生初の事件に絶望しながらも、それでもみんなのご飯を作るべく厨房に立っていた。

もちろん、八つ当たりで不味いものを作ろうって訳じゃない。けれどもこの溢れ出すやるせなさは、料理欲として発散するほかない。


「こうなったら、今日の晩御飯は怒りと悲しみの激辛水煮魚スェイツーユイにしてやる! ……ミスティちゃん用に辛くないのも作っておかないとだけど、それはそれだぁ!」


ちょうどみんなが帰ってくる頃に完成するように火加減とかを調整しながら、ため息混じりに料理を続ける。

こんなときに限って料理の方は絶好調なのは、何かの皮肉なのだろうか。

そうして、なんとなく不安というか不満のようなものを抱えながらも、私はみんなの帰りを待つ。


「ただいま戻りましたー」
「あ、おかえりー! ご飯もうできるよー!」


しばらく待つと、宿の玄関から依頼を受けて街の外に出ていたセレスちゃんの声が聞こえる。

続けてマリーちゃんやイリーちゃん、ミスティちゃんの声も聞こえてきて、依頼を受けていた2人が今日も無事に帰ってきたことにほっとする。

甘やかしてもらうのも撫でてもらうのも、みんなが元気でいてくれてこその話なのだ。


「おっかえりおかえっり、ごっはんだよー……って、はにゃ? その子……」


しかして晩御飯を部屋に運んだ矢先、目に飛び込むのはランドキャットを抱きかかえたセレスちゃん。

素晴らしい目の保養だ。美少女とにゃんこは良く似合う。にゃんこの胸毛をわさわさする度に、セレスちゃんが力の抜けた笑みを見せるのもグッド。

けれども何故だろう。セレスちゃんが腕に抱くそのにゃんこ、ものすごく見覚えのあるにゃんこなのだ。具体的にはついさっき言葉だけならものすごく頼もしいことを言いながら私の腕を去っていった、例のランドキャットと良く似ている。というかあのランドキャットだ。


「ああ、このランドキャットですか? 帰りに拾ったんですけど、ミーシャが喜ぶかなと思って、そのまま連れて帰ってきちゃいました。ランドキャット、好きですよね?」
「う、うん……あ、晩御飯あっつあつだから、離れてね。火傷しちゃう」


そうしてできたての晩御飯をテーブルの中央に置くと、セレスちゃんが私に件のランドキャットをプレゼントみたいに抱き渡す。

かくして私の腕に戻り来たそやつはなぜか自信満々、やってやったぜと言わんばかりの
瞳でこちらを見つめている。おぬし、何をしたというのだ。


「えっと、えっと……セレスちゃん、この子に何かされたりした?」
「いや別に……この子、やんちゃな子だったりするんですか?」
「いやそういう訳じゃ無いんだけど……この子、どういう訳かやりきった顔をしてるから」
「うーん……まぁ心当たりが無い訳でも無いんですが……」
「こ、こやつ! セレスちゃんにいかな狼藉を働いたー! キリキリ吐け!」


そう言って私は狼藉にゃんこの顎の下をわしゃわしゃ揉み回しながら問い詰める。

しかしランドキャットはにゃーにゃー言うばかりで何も言おうとせず、それどころか満足感たっぷりに眠ってしまう。

自白を促すために撫でたはずが、それが黙秘の手伝いになってしまうとは面目無い。


「うぅ……犯人からの証言は得られなかったよ……じゃあ被害者のセレスちゃんから、何をされたのか証言してください!」
「何をされたと言っても、うまく言葉にできないんですけど……あのランドキャットを抱き上げた瞬間、ミーシャがすごく甘やかされたがってる気がしたんですよ。根拠も脈絡もなく、なんとなく。大げさに言うなら天啓ってやつかもしれませんね」
「……ふぇ?」


しかし被害者たるセレスちゃんから語られたのは、さっきまで私がこのランドキャットに愚痴っていた内容そのまんま。

まさかこやつ、私の秘密の個人情報プライバシーな愚痴を漏洩させたとでもいうのか。

まさかの裏切りに慌てつつも、しかし自慢のポーカーフェイスは感情の揺らぎをセレスちゃんに気付かせることなくその場を乗りきらせてくれる。


「で、実際のところどうなんですか? 今、ミーシャは甘えたい気持ちなんですか??」
「ああああぅ!? えっと、その、私はハーレム主で、甘やかしてあげる側だからあのその……」
「……甘えたいんですね」


しかし名探偵セレスちゃんに半ば暴露されている等しい隠し事なんて隠しきれるはずもなく。

「私わかってますよ」って顔したセレスちゃんによしよしと頭を撫でられ、ポーカーフェイスがへにゃりと崩れてしまう。実際わかってるからなんとも言えない。


「本当はたくさん甘えたいのに、直接言うのが恥ずかしいから魔法かなにかを使ったんですよね?」
「……私はなんもしてないし……」
「はいはい、わかってますよ。ミーシャは何にもしていないですけれど、めいっぱい甘えてこい、ってご主人様として命令してあげますから」
「………………ぁぅ、あう……」


そう言って私を撫でるセレスちゃんは、もう完全に私のことを甘えんぼさんを見る目だ。

実際、今回私はなにもしていない。かといって、全てはそこでぐで寝してるランドキャットがやったことなんだ、とも言い切れない。だってランドキャットに言ったことは本当のことだから。

それでうまい言い訳が思い付かない現状、私はただ奴隷として甘えん坊になれという命令を受け入れる他なくて。撫でられるままセレスちゃんに抱きついて、そのまま2人一緒に席に着く。

座る場所はセレスちゃんがの膝の上ーーではなく、その隣。できたて熱々の晩御飯を、ふーふー冷ましながらあーんしてくれるのにちょうど良い位置。


「はい、あーん」
「あ、あーん……辛っ!」


そして期待を裏切ることなく即あーん。スプーンの上にはメインとなるお魚の切り身。しかし味付けは辛口、できたての熱々だったせいで口の中は結構なダメージ。

必死にハフハフしながら、涙目になってそのお魚を飲み込む。飲み込んだ後は舌をべーってして、外気に晒して冷ます。

それを見たセレスちゃんはクスリと笑って、私の口元に水の入ったコップを近づける。


「お水です。おくちのなか、火傷していませんか?」
「はふ……らいじょうふ……」


差し出されたお水を飲んで、ほっと一息つく。いくらふーふー冷まされたものでも、熱いものは熱い。それを見たセレスちゃんがよしよしと撫でてくれる。

しかしなんというか、実に良い雰囲気だ。

百合ハーレム原理主義的にこのようなことは本来許されないのだけれども、セレスちゃんは奴隷という立場を使って「無理矢理に」甘えていることにしてくれている。

つまり今の私にとって甘えることは義務であり、どれだけ嫌がっても避けることのできない宿命なのだ。不可抗力というやつだ。


「おくち拭きますから、顔向けてください」
「ん……」


だからこんなに至れり尽くせりされても、いずれ返り咲いた時のハーレム主としての威厳は保たれたまま。

そう、ここからはフリータイム。何をしても許されてしまう、倫理観と理性が試される試練の時。

こういった都合のよすぎる展開に身を任せてしまい、欲望に呑まれると闇落ちしてしまうのが世の常。


「……セレスちゃん」
「はい、なんですか?」
「お酒を哺乳瓶に入れて飲ましてもらうと、人として次のステージに行けるって聞いたことあるんだけど…どう?」
「人生で1度も聞いたことのない知識ですが、それをやるとミーシャが帰ってこれないところまで足を踏み入れてしまう気がします」


しかし私はそんじょそこらの闇落ちレディとは格が違う、超究極最強魔導師。

たとえ闇落ちしようとも乗り越えられる自信があるからこそ、当然のように欲望に身を任せることができるのだ。


「……え、本気でやりたいんですか?」
「むしろ全力甘えが許されてる今小の瞬間しかできない気がするんだよ! さあ! 一思いにやって!」
「あ、哺乳瓶ならあるわよ? 昨日マリーに試作中の自白剤を盛ったらおねだ」
「おおおお嬢様ぁ!? い、言わないで! 後生ですからこの場では言わないでください!」


そして流れるようなナイスパスで哺乳瓶もゲット。

既に次のステージへと先立たれたとおぼしきマリーちゃんに追い付くべく、今こそバブ活してオギャ充になるとき。


「もしかしてそういうの、割と一般的なんですか?」
「ん、そうだと思うの。わたしもよく、ジュゼおねーちゃんのを搾って」
「ミスティはんも言わんといてぇな!? 一般的ってことで良いから! な!?」


そして幼くして次のステージに進んでいるらしいミスティちゃんのフォローもあって、セレスちゃんも流されそうな感じだ。

周囲の意見に戸惑うセレスちゃんなんていうレア姿をにんまり眺めつつ、哺乳瓶にお酒を入れる。


「というわけでセレスちゃんは私を甘やかすと口にした以上、私を次のステージへ進ませる義務が発生しているんだよ!」
「別に良いんですけど……お酒は薄めておといた方が良くないですか?」
「んじゃそうする。ミルクで割るね」


そう言ってから宿の女将さんにミルクを貰う。そしてお酒を減らしてミルクを哺乳瓶に注ぐ。

哺乳瓶を素早くシェイクしてお酒とミルクのカクテルを作る今の私は、きっと艶かしいくらいの色気と大人っぽさに満ちているだろう。

そして凄腕のバーテンダーが常連のお客さんにお酒を出すときのように、セレスちゃんの手元まで哺乳瓶をテーブルの上で滑らせてセレスちゃんにキャッチして貰う。


「さてお客さん。そのカクテルをどうしますかい?」
「お客さんって……なんだか既に暴走気味ですね。それくらい待ち遠しくて堪らないって事なんでしょうが……」
「そうだよそうだよ! セレスちゃんの方から誘ったんだから、こんな焦らすような真似はやめて、早急に私を甘やかして!」


そう言い放つと同時、返事を聞く間も置かずにセレスちゃんの膝の上へと座る位置を変える。抱っこしやすいように、横向きで。


「焦らしているつもりはなかったんですが……まぁ、甘やかすって言ったのは私ですからね。この際気にしないことにしましょう」


そしてついに観念したセレスちゃんが、哺乳瓶を手に取り、腕を枕にするみたいに私を抱っこする。

そわそわする私の唇にミルクカクテル入りの哺乳瓶の乳首の先が当てられて、あとはもう恥じらいを捨てて吸い付くだけ。


「自分が言い出したこととはいえ、恥ずかしすぎる……しかしここで引いては女が廃る!」


そして覚悟を決め、哺乳瓶に吸い付いてちゅーちゅー吸い付く。

口の中に広がる、ミルクでは隠しきれなかったお酒の苦み。噎せそうになるところで哺乳瓶を口から離して、背中をポンポンしてくれるセレスちゃんの手の感触。


「あぁ……この恥じらいとも背徳感ともつかないものが纏わりつく、もにょっとした解放感……今見えているのが次のステージなんだね……」
「慣れって怖いですね。ミーシャが相変わらず珍妙な事を言うので、逆に安心しちゃってます」


セレスちゃんは口ではそう言いながらも、強すぎず弱すぎずの心地よい背中ポンポンをやめようとはしない。これぞツンデレ、あるいは身体は正直だぜってやつだ。


「それにしたって、私の普段の愛情表現に問題があるのはわかるんですけど、ミーシャもなかなか変な甘え方をしますよね。わざわざこんなことしなくたって、母乳の出るポーションを渡してくれれば飲みましたし、飲ませてあげましたよ?」
「……いや別に忘れてたとかじゃないし。あえてこうしてるだけだし」
「はいはい、そうですね。今日は甘やかす日だから、その言葉も信じてあげます」


しかし超究極最強魔導師にあるまじき致命的見落としをセレスちゃんに指摘されてしまった。

盲点だった。そっちの方がステージとして上だった。

いたたまれない気持ちになり、そっと哺乳瓶をセレスちゃんの手から取り上げて机の上に戻す。


「正気に戻りました?」
「……穴があったら入りたい、とはよく言うけどさ」
「はい?」
「今の私は、服のなかに潜り込みたい系女子なんだよ……!」


そう言って、セレスちゃんの服の中へともぞもぞ潜り込む。

恥ずかしくてセレスちゃんの顔を見れないし、私の顔だって真っ赤で見せられない。

けれどもセレスちゃんに甘やかしては貰いたいから、服が伸びちゃうかもと思いながらもセレスちゃんのシャツの下でもぞもぞする。狭くて温かい所ってなんだか落ち着くし。


「あらら、恥ずかしくなっちゃいましたね。このままお部屋に戻って、眠るまでよしよししてあげますね。どうですか?」
「……百点満点だよぅ……」


そんな私の好感度をグイグイ上げることばかり言うのがセレスちゃんという恋愛ラスボス。全体的に勝てる気がしない。

そうしてラスボスに部屋まで持ち運ばれ、そして本気の甘やかしモード。

服のなかに潜り込んだ私の鼻先には、すべすべお肌とかわいいおへそ。目を瞑っていてもセレスちゃんと触れ合える、頬擦りしほうだい、はむはむし放題の天国ゾーンだ。

極楽気分を味わう私に、セレスちゃんはさらなる追撃をする。服のなかでもぞもぞする私の頭を、服の上からポンポンして撫でてくれるのだ。


「なんていうかもう、しあわしぇ……」


セレスちゃんのぬくもりに包まれている、この安心感。

しかもおさわり自由のなでなで無制限という、欲張りさんでも満足なフルコース。

そしてそれを時に優しく、時に嬉しそうな声をかけながら受け入れてくれるのは本妻モード全開のセレスちゃん。女神かな?


「満足してくれたみたいですね。裏方に回るようになってから、ミーシャがものすごく頼りになりますし、ちょっとした恩返しができた気分です」
「ほぇ……ん? 今頼りになるって言った?」
「ええ、いつも助かってますよ。なんなら一緒に依頼を受けるよりも助かることが多いくらいです」
「むふー! まあ私は超究極最強魔導師だし? どんなことをしても一流以上の仕事をこなしちゃうユーティリティプレイヤーってやつだし? 当然ってやつかなー!」


そして誉められ欲まで当然のように満たしてくれるセレスちゃんはもう、天国の体現者みたいな存在で。私のセレスちゃんに対する好感度はもう溢れんばかり。

なんていうか、お腹いっぱい。大満足だ。


「これはもう大満足! それこそ、明日1日朝から晩までセレスちゃんに犯され続けてもお釣りが出ちゃうくらい癒されちゃったよぅ……はぅ……」


だからつい、そんな事を口走ってみる。

どうせ依頼を受けてどこかに行っちゃうってわかってるのに、こんな餌をぶら下げて引き留めることを言うのは悪女的だけど、そこはそれこそ甘えてるってことで。


「……明日は1日、仕事を休もうと思っていたのですが」
「え」


しかしセレスちゃんは申し訳なさそうにそんな事を良い放ち、前提条件は瞬く間に崩れ去ってしまった。

これはいわゆる自滅、あるいは言葉の綾というやつなのではなかろうか。

超究極ハーレム主に二言は無い。であるならば私はこの後、いつものようにめちゃくちゃにぬちょぬちょにされてしまうのかも。


「……でもなんだか犯すより、甘やかしてあげたい気分です」
「ほ、ほんと?!」
「はい、本当ですよ。2人でお買い物したり、お料理したり、お昼寝したり……のんびりデートしましょう。気になっていたお店もありますし、明日は私がミーシャをリードしちゃいますね」
「むふー! セレスちゃん、わかってる!」


しかしそこは優しいモードのセレスちゃん。そっと私の失言をスルーして、それどころか明日もたくさん甘やかしてくれるという。

セレスちゃんとデートなんて、しばらくぶりだからどきどきしちゃう。しかもリードする側じゃなくて、される側として。甘やかされ冥利につきる待遇だ。

そんな幸せ気分を手放したくないからか、なんとなく、ぎゅっとセレスちゃんの身体を抱き締める。そんな私をセレスちゃんも抱き返してくれて、そのままベッドの上でゴロゴロしちゃう。

寝ても覚めても嬉しい楽しい事が待ってる時のベッドの上は、何をしても嬉しい素敵空間だ。セレスちゃんとお喋りしたり、ほっぺたをツンツンしたり、この前測った時よりもちょっとだけ大きくなった胸を揉んじゃったり。

眠くなってきちゃっても、明日になったらデートしようねって指切りしたら幸せな気持ちのまま眠ることができた。







ーーこの2日後、正気に戻れるか危ういくらいの勢いで1日中犯されたことについてはノーカウントとする。
    
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