1 / 11
1
しおりを挟む「では次に『魔法師』についてお話いたしますわね」
アリーチェさんが改めて黒板に単語を書いていく。
「『魔法師』とは魔法のスペシャリストとして認められた資格取得者のことですわ。
この世界における殆どの国がこの制度を採用しておりますの。
この超大陸『ヴァール』においてはこの数年で『勇者』という新たな称号が生まれましたが、それまでは各国がこぞってこの『魔法師』を輩出することに躍起になっておりましたわ。
優れた『魔法師』の数こそが国の戦力保有数を、ひいては国力そのものを表しているとされていたのですから。
まぁ、『ヴァール』以外ではそれは今でもほぼ変わっておりませんがね」
その話なら僕も少し知っている。
この学園に来る時に荷馬車のおじさんとそんな話をしたこともあったっけ。
「『魔法師』にもまた3つのクラス分けが存在しており『下級魔法師』、『中級魔法師』、『上級魔法師』がありますの」
例によって、アリーチェさんが黒板にその3つの単語を板書していく。
「あの、僕の『魔法師』ってものに対する認識は単純に魔法を使える人、ぐらいのイメージだったんですけど、この前の模擬戦を見た限り今この学園に居る生徒の人達って割と普通に魔法を使えてますよね?
あの人達は『魔法師』とは呼ばないんですか?」
「まあ、魔法に詳しくなければ貴方と同じような認識の者が大半でしょうね。
ですが『魔法師』を名乗るには国から正式に施行されている国家試験に合格しなければなりませんわ。
そしてただ魔法が使える、というだけでは『魔法師』にはなれませんの。
他にも条件がありますわ」
「条件?」
アリーチェさんは黒板の3つの単語に説明文を載せた。
「まず、『下級魔法師』について。
基本的にただ『魔法師』と呼ばれている人は殆どがこのクラスのものになりますわ。
この『魔法師』になる為の条件は、『2種類以上の系統の中等魔法が使用可能である』というものですの」
「2種類以上の系統?」
「そう、例えば炎魔法、《ファイアー・ジャベリン》と氷魔法、《アイス・ブレード》を発動出来る、といった具合でございますわ。
そして、これだけでも相当に困難な条件でありましてよ。
何故なら、自身の得意系統以外の魔法の発動というものはとても難易度が高いからですわ」
「そうなんですか?」
「ええ、まだ初等魔法程度なら他系統の魔法を使うことは比較的容易な方ではありますわ。
しかし中等魔法からはそうはいきません。
10年以上もの歳月をかけて鍛錬し、ようやく下位中等魔法を使えるかどうか、といわれておりますわ。
ですので、若い年齢のうちで『魔法師』になれる方は非常に稀ですわね」
そういえば『魔法師』候補と言われていたレディシュさんも確かに爆発魔法の他に魔力と体力を吸収する魔法も使えてたんだっけ。
あの人本当に凄い実力者だったんだなぁ……
「『中級魔法師』は『3種類以上の系統の中等魔法が使用可能である』こと、そして『『準』高等魔法を使用可能である』こと、この2つの条件を満たす必要がありますわ」
「3種類以上の魔法……!」
「ええ、ちなみに『準』高等魔法の習得も同じくらい難しいと言われておりますわ。
単純に『下級魔法師』の2倍困難と言えますわね」
「………………」
改めて僕とそう変わらない歳で『中級魔法師』の資格を持つというキャリーさんの規格外ぶりがよく分かる……
そして、そんな人相手に有利な試合形式とはいえ、完勝してしまったアリーチェさんも……
「そして『上級魔法師』。
お察しかと思いますが、条件は『4種類以上の中等魔法が使用可能である』こと、そして『高等魔法を使用可能である』こと、ですわ。
貴方もご存知の『上級魔法師』といえば……」
「アリエス先生……ですよね」
高等治癒魔法、そのうえ解析魔法まで使えるコーディス先生曰く補助魔法を極めた世界最高峰の『魔法師』の1人。
僕も模擬戦の時やレディシュさんとの戦いの時の怪我の治療でお世話になったっけ。
「アリエス先生の母君であるリブラ先生もまた治癒魔法を極めた『上級魔法師』ですわね。
あの方々スターリィ家は代々強力な治癒魔法を得意系統としておりますのよ。
得意系統が血筋を通して遺伝するのは珍しくないですからね」
ふむ、そういうものなのか。
「あと、これは余談なのですがこの学園の講師陣は殆どが『魔法師』の資格持ちでしてよ。
これだけの数の『魔法師』が一堂に会する場所など、世界でもここぐらいしかありませんでしょうね」
「ほえぇ……」
いやはやもう何と言うか……
勇者学園恐るべし、の一言だ……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「さて、基本的なお話はこんな所でしょうかね。
という訳で、アリスリーチェ先生の特別魔法講座はとりあえずここまでと致しますわ」
「はい!今日は本当にありがとうございます!
おかげで魔法について詳しくなれました!」
「んあ……?
ふわぁー……
話終わったのー?」
「今回の内容は本当に基礎的な部分だけでして、まだまだ知っていただきたいことはあったのですが……
まあそれはまた次の機会でお話いたしますわ」
「はい!よろしくお願いします!」
「サラッと次の予定を確約してるけどやるべきことが沢山あるんじゃなかったのか巻貝」
「アリスリーチェ様!
次の講義での衣装はこのファーティラ渾身の一作!
『バニーティーチャー ~ 魅惑の補習授業 ~』をどうかご着用ください!
女教師とバニーガール、方向性の違う2つのエロスをとことんつき詰めてみました!!」
「もうこの際ハッキリ言わせて貰いますね。
アナタもしかして色々とダメなのでは?」
そんなこんなで今回の特別講義は終了したのだった。
アリーチェさんが改めて黒板に単語を書いていく。
「『魔法師』とは魔法のスペシャリストとして認められた資格取得者のことですわ。
この世界における殆どの国がこの制度を採用しておりますの。
この超大陸『ヴァール』においてはこの数年で『勇者』という新たな称号が生まれましたが、それまでは各国がこぞってこの『魔法師』を輩出することに躍起になっておりましたわ。
優れた『魔法師』の数こそが国の戦力保有数を、ひいては国力そのものを表しているとされていたのですから。
まぁ、『ヴァール』以外ではそれは今でもほぼ変わっておりませんがね」
その話なら僕も少し知っている。
この学園に来る時に荷馬車のおじさんとそんな話をしたこともあったっけ。
「『魔法師』にもまた3つのクラス分けが存在しており『下級魔法師』、『中級魔法師』、『上級魔法師』がありますの」
例によって、アリーチェさんが黒板にその3つの単語を板書していく。
「あの、僕の『魔法師』ってものに対する認識は単純に魔法を使える人、ぐらいのイメージだったんですけど、この前の模擬戦を見た限り今この学園に居る生徒の人達って割と普通に魔法を使えてますよね?
あの人達は『魔法師』とは呼ばないんですか?」
「まあ、魔法に詳しくなければ貴方と同じような認識の者が大半でしょうね。
ですが『魔法師』を名乗るには国から正式に施行されている国家試験に合格しなければなりませんわ。
そしてただ魔法が使える、というだけでは『魔法師』にはなれませんの。
他にも条件がありますわ」
「条件?」
アリーチェさんは黒板の3つの単語に説明文を載せた。
「まず、『下級魔法師』について。
基本的にただ『魔法師』と呼ばれている人は殆どがこのクラスのものになりますわ。
この『魔法師』になる為の条件は、『2種類以上の系統の中等魔法が使用可能である』というものですの」
「2種類以上の系統?」
「そう、例えば炎魔法、《ファイアー・ジャベリン》と氷魔法、《アイス・ブレード》を発動出来る、といった具合でございますわ。
そして、これだけでも相当に困難な条件でありましてよ。
何故なら、自身の得意系統以外の魔法の発動というものはとても難易度が高いからですわ」
「そうなんですか?」
「ええ、まだ初等魔法程度なら他系統の魔法を使うことは比較的容易な方ではありますわ。
しかし中等魔法からはそうはいきません。
10年以上もの歳月をかけて鍛錬し、ようやく下位中等魔法を使えるかどうか、といわれておりますわ。
ですので、若い年齢のうちで『魔法師』になれる方は非常に稀ですわね」
そういえば『魔法師』候補と言われていたレディシュさんも確かに爆発魔法の他に魔力と体力を吸収する魔法も使えてたんだっけ。
あの人本当に凄い実力者だったんだなぁ……
「『中級魔法師』は『3種類以上の系統の中等魔法が使用可能である』こと、そして『『準』高等魔法を使用可能である』こと、この2つの条件を満たす必要がありますわ」
「3種類以上の魔法……!」
「ええ、ちなみに『準』高等魔法の習得も同じくらい難しいと言われておりますわ。
単純に『下級魔法師』の2倍困難と言えますわね」
「………………」
改めて僕とそう変わらない歳で『中級魔法師』の資格を持つというキャリーさんの規格外ぶりがよく分かる……
そして、そんな人相手に有利な試合形式とはいえ、完勝してしまったアリーチェさんも……
「そして『上級魔法師』。
お察しかと思いますが、条件は『4種類以上の中等魔法が使用可能である』こと、そして『高等魔法を使用可能である』こと、ですわ。
貴方もご存知の『上級魔法師』といえば……」
「アリエス先生……ですよね」
高等治癒魔法、そのうえ解析魔法まで使えるコーディス先生曰く補助魔法を極めた世界最高峰の『魔法師』の1人。
僕も模擬戦の時やレディシュさんとの戦いの時の怪我の治療でお世話になったっけ。
「アリエス先生の母君であるリブラ先生もまた治癒魔法を極めた『上級魔法師』ですわね。
あの方々スターリィ家は代々強力な治癒魔法を得意系統としておりますのよ。
得意系統が血筋を通して遺伝するのは珍しくないですからね」
ふむ、そういうものなのか。
「あと、これは余談なのですがこの学園の講師陣は殆どが『魔法師』の資格持ちでしてよ。
これだけの数の『魔法師』が一堂に会する場所など、世界でもここぐらいしかありませんでしょうね」
「ほえぇ……」
いやはやもう何と言うか……
勇者学園恐るべし、の一言だ……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「さて、基本的なお話はこんな所でしょうかね。
という訳で、アリスリーチェ先生の特別魔法講座はとりあえずここまでと致しますわ」
「はい!今日は本当にありがとうございます!
おかげで魔法について詳しくなれました!」
「んあ……?
ふわぁー……
話終わったのー?」
「今回の内容は本当に基礎的な部分だけでして、まだまだ知っていただきたいことはあったのですが……
まあそれはまた次の機会でお話いたしますわ」
「はい!よろしくお願いします!」
「サラッと次の予定を確約してるけどやるべきことが沢山あるんじゃなかったのか巻貝」
「アリスリーチェ様!
次の講義での衣装はこのファーティラ渾身の一作!
『バニーティーチャー ~ 魅惑の補習授業 ~』をどうかご着用ください!
女教師とバニーガール、方向性の違う2つのエロスをとことんつき詰めてみました!!」
「もうこの際ハッキリ言わせて貰いますね。
アナタもしかして色々とダメなのでは?」
そんなこんなで今回の特別講義は終了したのだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
たったひとつの願いごと
りおん雑貨店
絵本
銀河のはてで、世界を見守っている少年がおりました。
その少年が幸せにならないと、世界は冬のままでした。
少年たちのことが大好きないきものたちの、たったひとつの願いごと。
それは…
夢をみせるバイオリン弾き
りおん雑貨店
絵本
とある場所に、夢をみせるバイオリン弾きがいました。
今日もバイオリン弾きは、この世の命のすべてのために、曲を弾くのです。
うまれた夢たちを、見届けてみてください。
366 Usamaru(366体のうさまる)
りおん雑貨店
絵本
りおん雑貨店から爆誕した「うさまる(usamatu)」。
幸せのおすそわけをするために生まれた、月からやってきたうさぎの女の子です。
今回は366日の誕生日ごとのうさまるが誕生しました。
ぜひお誕生日や記念日のうさまるたちを、覗いてみてください。
幸せの気持ちがあなたに届きますように🐇💕
みんなでつなぐ
あおむら なつ
絵本
ゾウさんが、飛行機でお届けもの。でも飛行機が故障してしまって…次々と森の仲間が、荷物を運んでくれます。
この絵本は、文章のない絵本です。どうぶつたちのセリフを自由に考えて、自分だけの物語をふくらませてくださいね。
このせかいもわるくない
ふら(鳥羽風来)
絵本
以前書いた童話「いいとこ探し」を絵本にリメイクしました。
色んなソフトを使ったりすれば、もっと良い絵が描けそうだったり、未熟な点は多いですが、よろしくお願いします。
ぽぽみんとふしぎなめがね
珊瑚やよい(にん)
絵本
ぽぽみんが「いいなぁ〜」っと思ったおめめに変身するお話です。ほら子供ってすぐ人のモノほしがるでしょ?
0才から3才の子供向けの絵本です。親子で読んでいただけたら幸いです。
わーい!! おかげさまでアルファポリスの絵本コンテストで奨励賞を頂きました!! 読んでくださった皆さんありがとうございます。
いつか津田健次郎さんが読み聞かせして下さらないかな♡♡♡
《誕生秘話》
漫画『呪術廻戦』が大好きで、その中に『ナナミン』というニックネームのキャラクターがいらっしゃいます(本名 七海建人)。
ナナミンって口に出すとリズミカルで言いやすいし、覚えやすいし、響きもいいのでお得満載だと思ったの。そこから『みん』をとりました。というか私が個人的にナナミンが大好き。
『ぽぽ』はなんとなく子供が言いやすそうだから。
ちなみにぽぽみんのシッポの柄とメガネのデザインもナナミンからきています。さあくんの名前とデザインは……ほら……あれですね。ナナミンの先輩のあの方ですね。この絵本はオタクママの産物。
カタツムリは以前娘が飼っていたカタツムリの『やゆよ』。
消防車は息子が好きな乗り物。
魚は以前飼っていた金魚の『もんちゃん』のギョロ目を参考にしています。
ぽぽみんの頭の形は、おやつに娘が食べていた大福です。大福を2回かじるとぽぽみんの頭の形になりますよ。今度やってみて。アイディアってひょんな事から思いつくんですよ。
体のデザインは私が難しいイラストが描けないので単純なモノになりました。ミッフィちゃんみたいに横向かない設定なんです。なぜなら私が描けないから。
そんなこんなで生まれたのが『ぽぽみん』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる