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4話
4-13 母の気持ち
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莉奈ちゃんが特に大きなミスもなく、無事に仕事を終えたときの達成感は大きかった。
「お疲れ様、莉奈も頑張ってたね。
今日はこれサービスです。」
パンダ店長がまかないの料理以外に
ケーキと珈琲のセットを出してくれた。
「やった!ラッキー!いただきます」
すぐにばくばくと食べ始める食欲旺盛な伊織くん。
「莉奈ちゃん本当にお疲れ様。頑張ったね」
「いえ、そんな…まだまだご迷惑おかけしますけど。」
そういいながらも笑顔で応えた。
莉奈ちゃんはこの日で自信をつけたようだった。
とはいえまだまだ不登校からいきなり全部復活!元通り…というとさすがにそこまでは難しいようで。
翌日からもシフト通りとはいかないときも正直、あったけれど。
莉奈ちゃんはなるべく穴を開けずに出勤してキッチンの手伝いを頑張っている。
そして、パンダ店長がたまにケーキ作りで多忙なときに莉奈ちゃんをアシスタントとして早朝に呼んでいることもあるようだ。
莉奈ちゃんも表情がどんどん落ちついて来たと思う。
ホールにたまに出たりしてミスをしたときは、
確かに涙目になったりしんどそうにして家に帰ることもあるけれど。
けれど、自分のなかで失敗したときに気持ちの整理をうまくつけているようだ。
働くことで社会性も身に付けられるし、心身共に少しずつだけど成長してると思う、と母親の紗和さんもたまにぱんだ喫茶店にランチを食べに来て、莉奈ちゃんの様子を端から見ているのだ。
子を持つ母親で年齢も私と同じ41歳で同級生だったということがわかり、最近紗和さんとよく話してどんどん仲良くなった。
なんとマリリン、紗和ちゃんと呼び合うまでになった。
私もパートの終わりに紗和さんと一緒にランチやお茶をすることが増えてきてなにげにそれを楽しみにしている。
「お母さんってこの世で一番の苦行かもしれないよね」
紗和さんがほどよく冷えたアイスコーヒーを飲みながら、そう呟く。
「え?紗和ちゃんでもそう思うの?」
「もちろんよ。マリリンだって男の子2人で下の子小学生だと、自分の時間なんてまだまだないでしょ?」
「ないねー。働いたら余計にね…自分の時間なんていつできるんだか。」
「私も娘が不登校になるなんて夢にも思ってなくて…親の、いや私のなかの常識というか、当たり前に思ってたことが一気に覆されたかな」
「へえ…例えばどんなことで?」
「お疲れ様、莉奈も頑張ってたね。
今日はこれサービスです。」
パンダ店長がまかないの料理以外に
ケーキと珈琲のセットを出してくれた。
「やった!ラッキー!いただきます」
すぐにばくばくと食べ始める食欲旺盛な伊織くん。
「莉奈ちゃん本当にお疲れ様。頑張ったね」
「いえ、そんな…まだまだご迷惑おかけしますけど。」
そういいながらも笑顔で応えた。
莉奈ちゃんはこの日で自信をつけたようだった。
とはいえまだまだ不登校からいきなり全部復活!元通り…というとさすがにそこまでは難しいようで。
翌日からもシフト通りとはいかないときも正直、あったけれど。
莉奈ちゃんはなるべく穴を開けずに出勤してキッチンの手伝いを頑張っている。
そして、パンダ店長がたまにケーキ作りで多忙なときに莉奈ちゃんをアシスタントとして早朝に呼んでいることもあるようだ。
莉奈ちゃんも表情がどんどん落ちついて来たと思う。
ホールにたまに出たりしてミスをしたときは、
確かに涙目になったりしんどそうにして家に帰ることもあるけれど。
けれど、自分のなかで失敗したときに気持ちの整理をうまくつけているようだ。
働くことで社会性も身に付けられるし、心身共に少しずつだけど成長してると思う、と母親の紗和さんもたまにぱんだ喫茶店にランチを食べに来て、莉奈ちゃんの様子を端から見ているのだ。
子を持つ母親で年齢も私と同じ41歳で同級生だったということがわかり、最近紗和さんとよく話してどんどん仲良くなった。
なんとマリリン、紗和ちゃんと呼び合うまでになった。
私もパートの終わりに紗和さんと一緒にランチやお茶をすることが増えてきてなにげにそれを楽しみにしている。
「お母さんってこの世で一番の苦行かもしれないよね」
紗和さんがほどよく冷えたアイスコーヒーを飲みながら、そう呟く。
「え?紗和ちゃんでもそう思うの?」
「もちろんよ。マリリンだって男の子2人で下の子小学生だと、自分の時間なんてまだまだないでしょ?」
「ないねー。働いたら余計にね…自分の時間なんていつできるんだか。」
「私も娘が不登校になるなんて夢にも思ってなくて…親の、いや私のなかの常識というか、当たり前に思ってたことが一気に覆されたかな」
「へえ…例えばどんなことで?」
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