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4話
4-11 生まれ変わりたい。
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「え!莉奈ちゃん?どうしたの!?」
莉奈ちゃんの姿が前とすっかり変わっていて私は驚いて思わず声が出てしまった。
かなり長かった髪をバッサリと耳くらいまでの明るい髪色のボブにして、メガネもかけずコンタクトにしたのかいままでと違う。
髪を切ったことで、顔の表情がよく見える。
「接客を…きちんとしなきゃと思って。
髪を切りました。」
照れ臭そうに笑う莉奈ちゃん。
表情が見えると、改めて美人なお母さんによく似ているのがわかる。
「一昨日は娘がお店でご迷惑をおかけしたようで…すみませんでした。
落ち込みすぎてたから、今日もお店を休むかもと思って。
一応、監視のつもりで私も店まで付き添いしたんですが、過保護だったかな?
大丈夫みたいですね。」
お母さんの紗和さんも笑顔でそう答える。
確かに。
1日休んだらズルズルと休み続けるかも…と思ってしまうもんね。
お母さんの不安もとてもわかる。
でもいまの莉奈ちゃんは表情が明るいし、
態度も前のように自信なさげにおろおろしたところがスッと消えた。
たった1日休んだだけで、ここまで変わるなんて不思議だ。
「私…お店で大きな失敗したことで、また前のように、不登校のときのように戻りかけてました。
でも。もうあのときのように絶対に戻りたくないんです。逃げたくないなって。
どれだけ失敗しても受け入れてくれたカズ君や皆さんときちんと働きたいって思えたので…」
「また…たくさん失敗して…ご迷惑をおかけしますが、どうかよろしくお願いします。」
莉奈ちゃんがペコリと綺麗にお辞儀をした。
続いてお母さんもお辞儀をする。
「いやいや、そんな!顔をあげてください~!」
店長も私も慌ててしまう。
「失敗は誰でもあるし。失敗もしないと学べないですしね。カバーできることは私もできるだけしますからね。」
どんと任せてください!と胸をたたく私。
「さすが!マリリンさん!心強いですね!」
パンダ店長が拍手をしてくれた。
「いや、でも未だに私も失敗してますからね。お互いさまです!」
私も思わず苦笑いしながら自嘲する。
けれど、それでも働いてお金もらえるって素晴らしいことだと思う。
こんなオバサンでも社会と繋がれた、と大きな自信と達成感に繋がるのだ。
働いていても、嫌なこともたくさんある。
オーダーミスしたり、皿やグラスも割ったり。
お客様にもチクリと嫌味を言われたり。
だけど美味しそうにお料理を食べて笑顔でありがとうとお礼を言われると、そんなモヤモヤした気持ちも吹き飛ぶのだ。
喫茶店のホールは私にとっては天職だと思ってる。
特にこのぱんだ喫茶店では。
私は自分らしく楽しく働けるんだ。
ドアがバタン!と力強く開き、ドアベルが激しく鳴ったあと、息も荒く駆け込んできたのは伊織くん。
「あー!すみません!遅刻しました!」
遅刻常習犯になりつつある、伊織くんがやってきた。
「まーた、遅刻だよ。続いたら、
いくらパンダ店長でも怒るしクビになるよ!」
「…そーですね。ちょっと伊織くん、これ以上遅刻増えるなら…そろそろペナルティつけないとダメかな。」
苦笑しながらパンダ店長がいう。
「ひえっ!すみません!!どうかお給料下げるのだけはご勘弁をー!」
そう言いながら、慌てて更衣室に走る伊織くん。
皆でクスクス笑いながらそれを見送った。
莉奈ちゃんの姿が前とすっかり変わっていて私は驚いて思わず声が出てしまった。
かなり長かった髪をバッサリと耳くらいまでの明るい髪色のボブにして、メガネもかけずコンタクトにしたのかいままでと違う。
髪を切ったことで、顔の表情がよく見える。
「接客を…きちんとしなきゃと思って。
髪を切りました。」
照れ臭そうに笑う莉奈ちゃん。
表情が見えると、改めて美人なお母さんによく似ているのがわかる。
「一昨日は娘がお店でご迷惑をおかけしたようで…すみませんでした。
落ち込みすぎてたから、今日もお店を休むかもと思って。
一応、監視のつもりで私も店まで付き添いしたんですが、過保護だったかな?
大丈夫みたいですね。」
お母さんの紗和さんも笑顔でそう答える。
確かに。
1日休んだらズルズルと休み続けるかも…と思ってしまうもんね。
お母さんの不安もとてもわかる。
でもいまの莉奈ちゃんは表情が明るいし、
態度も前のように自信なさげにおろおろしたところがスッと消えた。
たった1日休んだだけで、ここまで変わるなんて不思議だ。
「私…お店で大きな失敗したことで、また前のように、不登校のときのように戻りかけてました。
でも。もうあのときのように絶対に戻りたくないんです。逃げたくないなって。
どれだけ失敗しても受け入れてくれたカズ君や皆さんときちんと働きたいって思えたので…」
「また…たくさん失敗して…ご迷惑をおかけしますが、どうかよろしくお願いします。」
莉奈ちゃんがペコリと綺麗にお辞儀をした。
続いてお母さんもお辞儀をする。
「いやいや、そんな!顔をあげてください~!」
店長も私も慌ててしまう。
「失敗は誰でもあるし。失敗もしないと学べないですしね。カバーできることは私もできるだけしますからね。」
どんと任せてください!と胸をたたく私。
「さすが!マリリンさん!心強いですね!」
パンダ店長が拍手をしてくれた。
「いや、でも未だに私も失敗してますからね。お互いさまです!」
私も思わず苦笑いしながら自嘲する。
けれど、それでも働いてお金もらえるって素晴らしいことだと思う。
こんなオバサンでも社会と繋がれた、と大きな自信と達成感に繋がるのだ。
働いていても、嫌なこともたくさんある。
オーダーミスしたり、皿やグラスも割ったり。
お客様にもチクリと嫌味を言われたり。
だけど美味しそうにお料理を食べて笑顔でありがとうとお礼を言われると、そんなモヤモヤした気持ちも吹き飛ぶのだ。
喫茶店のホールは私にとっては天職だと思ってる。
特にこのぱんだ喫茶店では。
私は自分らしく楽しく働けるんだ。
ドアがバタン!と力強く開き、ドアベルが激しく鳴ったあと、息も荒く駆け込んできたのは伊織くん。
「あー!すみません!遅刻しました!」
遅刻常習犯になりつつある、伊織くんがやってきた。
「まーた、遅刻だよ。続いたら、
いくらパンダ店長でも怒るしクビになるよ!」
「…そーですね。ちょっと伊織くん、これ以上遅刻増えるなら…そろそろペナルティつけないとダメかな。」
苦笑しながらパンダ店長がいう。
「ひえっ!すみません!!どうかお給料下げるのだけはご勘弁をー!」
そう言いながら、慌てて更衣室に走る伊織くん。
皆でクスクス笑いながらそれを見送った。
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