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4話

4-9 ミスに次ぐミス。

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「香音ちゃん、3番テーブルのオーダー聞いた?」
「え?3番は聞いてないです。5番7番は聞きましたよ。」
香音ちゃんではない。となると…

「莉奈ちゃん、3番のテーブルのオーダーを聞いたかな?」
「3番…はい!私がききました。確か、オムライス2つとグラタンセットとカレーライスかと…」

「あーそれね。もしかしてお客様、メニュー表見ながら指差してオーダーされてたかな?」

「あ、はい。確かそうでした。」
「莉奈ちゃん、メモしてオーダーの復唱はした?」

「復唱…はしてなかった…です。
あの…私なにか間違えてました?」

「そうだね。オーダーはカレーライスでなくビーフシチューだったみたいだから。」

「ええ!?す…すみません。」

途端にしゅんと可哀想なくらい項垂れる莉奈ちゃん。

「カレーライスとビーフシチュー、メニューでみると間違えることあるのよね。写真似てるでしょ。」

「はい…」

「必ずオーダー聞くときは復唱して了解を得ることだね。
でも、初めてのオーダーだし間違えるよこれは。
お客様もそんなに怒ってなかったしすぐにビーフシチューもテーブルに出せたからね。気にしないでね。」

なるべくキツく言わずフォローもいれておいた。
莉奈ちゃん、繊細そうだからどうしても間違えたら気にしてしまうだろうし。

「申し訳ありませんでした。」
「誰でも最初はミスするからね。ではあとはバッシングをお願いします。」

「…はい。」

何組かお会計を終えて帰られたテーブルの後片付けを莉奈ちゃんと香音ちゃんが始めたとき。

「ガッシャーン!パリン!!」

大きな音と皿やグラスが割れた音が店内に響き渡る。
慌てて振りかえると莉奈ちゃんが皿を運ぼうとしていて手が滑ってひっくり返したようだ。

ホールに大きな音が響き渡り、
びっくりしてお客様たちがこちらを振り返る。

「申し訳ございません!し、失礼いたしました!」
香音ちゃんと私が咄嗟にお客様に謝る。

「す…すみませ…たくさん割ってしまい…ました。」
莉奈ちゃんが蒼白な顔をして震えながら涙を流している。
さっきのオーダーミスの上にこれは連続だとメンタルにもキツいだろうと思う。

パンダ店長が音に気付きホールに出てきて、
すぐにお客様に謝る。

「莉奈、大丈夫?破片で手を切ってない?」

「カズ君…ごめんなさい、ごめんなさい!」

「いいよ。怪我がなくて良かった。
ここは僕とマリリンさんがやるから。莉奈と香音ちゃんは洗い物をお願いします。」

「わかりました。行こ!莉奈ちゃん」
香音ちゃんが莉奈ちゃんを支えながら洗い場に向かう。

私は雑巾、ちり取りやほうきを持ってきて、
お客様たちが食事が終わり、
テーブルから動く前に床に散らばったグラスなどの破片を素早くかき集めて綺麗にした。

莉奈ちゃん気にしちゃうかな…大丈夫かな。


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