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4話

4-8 オーダーミス

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莉奈ちゃんの初バイトはバッシングとたくさんの皿洗いを一生懸命にして初日は特に大きな問題もなく、滞りなく終わった。

緊張しきった顔でずっといて、
かなり疲れていた莉奈ちゃんだけど。
帰り際はきちんと全員に「お疲れ様でした」と声をかけて満足そうな顔をして、帰っていった。

翌日もまだ少し緊張しながらもぱんだ喫茶店に働きにきた莉奈ちゃん。
今日は土曜日なので私と香音ちゃんがホールに入る。

ミーティングが始まり、
パンダ店長が香音ちゃんに姪の莉奈ちゃんを香音ちゃんに紹介する。

「よ、よろしくお願いします、櫻井莉奈です。」
ちょっと小さい声で自己紹介をする。

「よろしく!莉奈ちゃん。
私もまだここに入って一年も経ってないし、
新人扱いだからね」

にこやかに香音ちゃんも挨拶をする。

「今日も莉奈は基本的にはバッシングと皿洗い中心でね。
でも、土曜日だからお客様が増えてきたら、マリリンさんと香音ちゃんの指示を聞いて。お手伝いしてね。」
「はい」

さて…本日はどんなお客様がやってくるかな?

ぱんだ喫茶店、開店した途端に今日は家族連れが珍しく7、8組ほど連続でやってきた。
近所でイベントでもあったのだろうか?

途端にホールも厨房も慌ただしくなる。

私と香音ちゃんだけではホールは間に合わないので、できたお料理を運ぶだけということで莉奈ちゃんもホールに入ってもらうことになった。
しかし、どれだけ忙しくても丁寧に見栄えが綺麗な料理やケーキが作られパントリーに並べられる。

岩倉さんとパンダ店長の腕の素晴らしいところだ。
とりあえず最後のお客様にまで料理を運び終わってホッと安心しかけたときだった。

「ちょっとすみません」
家族連れのお父さんが手をあげて店員を呼ぶ。

「はい、ただいま」
一番近くにいた私がそのテーブルに向かう。

「ビーフシチューを頼んだのに、カレーライスがきたんですけど。」

「えっ…!?失礼します」

慌ててテーブルに置いてある伝票を確認する。
手書きで、カレーライス1つと書いてある。
オーダーを聞いた店員側のミスだ。
「カレーライスではなくビーフシチューの間違いですね!
大変申し訳ございません!こちらのミスです。すぐにお取り替え致します。」

「もう…お腹すいてるのに~!」

小学生くらいの娘さんがうらめしげにこちらを睨んで言う。

「すみません、少々お待ちくださいませ。」
謝りながらカレーライスの皿をすぐに下げる。

「いや、いいですよ。」
お父さんは温厚そうな人で良かった。

「岩倉さん!すみませんオーダーミスです。
ビーフシチュー1つすぐできますか?」

「大丈夫。まだいけるよ」

カレーライスとビーフシチューは大鍋ですでに大量に煮込んであるから、在庫はあるしすぐに出せる料理なので助かった。
時間がかかりなおかつ、火を通すグラタンなどがオーダーなら、かなり待たせてしまうから。

とりあえずすぐにビーフシチューを先程のテーブルにお持ちして、丁寧に謝り事なきを得た。

オーダーミスしたのは誰か…とか責任はあまり追及したくはないけれど。
なるべく同じミスをしないようにぱんだ喫茶店ではわかる範囲では本人にいうようにしている。
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