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3話

3-10 ユリリのまさかの正体

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とんとんと背中をつつかれて振り向くと小柄で細い男子がそこにいた。
髪は少し肩に届くくらいで長めだけど、全体的に地味な感じの子だ。
目も一重で唇も薄くて和風で涼しげな印象がする。

「えっ…と?ごめん。俺と前にどこかで会ってる?」
でも、なんかどこかで見たような気もする。

「あはは。わからないかな、やっぱり。ボク三津谷です。」

「みっ…三津谷さん!!?」

えっ!?彼女は女の子だったハズ…
声も高くて、男の声じゃなかったし。

「あ、わかってくれましたー?ユリリって呼んで♪」

ぱんだ喫茶店で聞いたあの可愛い声が目の前の彼からも聞こえて更に驚いて仰け反った。

「どど…どうなってんのその声!?」

「えへへ。ボク声優を目指してた時期があったから、ボイトレもしてたの。七色の声が出るよ。」

「な…なんだよ、その特殊能力は…あとあのゴスロリは!?」

「あ、あれは普通に女装趣味なんです」
ケロリと笑って爆弾発言をかます三津谷さん。
いや、三津谷くんか。


「そんであれだけ食べられるのも特殊能力でしょ…キャラ濃すぎだよ、三津谷くん」

「ユリリって呼んで♪
伊織くんみたいな天然美少年に言われてもな…
ボクは普段はこんな感じの素朴な普通の青年だし。
女装のときは顔も化粧で塗りたくってようやくあのレベルなんだもん。」

「あっ!あの同類ってそっちの意味なのか?」

ぱんだ喫茶店での意味深な帰りの言葉を思い出した。

「うんうん。伊織くん、女装したらボクなんか霞むくらい可愛いだろうから、ぜひ女装してほしいの。ボク配信もやっててまあまあネットとかで稼いでるの♪
女装で大食いとかバズるよ!
一緒に女装して渋谷とか歩こうよ~」

「バッカか!お前!絶対女装なんてしねーよ!」

ただでさえ女に間違われて鬱陶しいのだ。女装なんてしたら周りにどれだけ笑われるか。

「あははー残念。ゴスロリ衣装ならいつでも貸すからね」

「いらねえって!」

でも不思議とイライラするでもなく、彼と話すと楽しくもなってきた。
あれだけの美少女になれるってすごい技術だ…いや、俺は女装は絶対しないけどな!

「パンダ店長の作るケーキ、本当に本当に美味しかった…オムライスとかも!また行ってもいい?パンダ店長も面白い人だよねー」

そこはきちんとぱんだ喫茶店を評価してくれたようなので俺も嬉しくなる。

「そりゃいつでもどうぞ。パンダ店長も喜ぶだろうし」

「やった~!」

その日、ちょうどバイトが入ってたのでユリリのことを話すと
椅子に座ってうんうんと聞いていたパンダ店長が、ユリリが男だと聞いた途端、
漫画みたいに椅子と共にずっこけてた。

そりゃそうだ。さすがに驚くよな、あれは。
まあ、でもパンダ店長も大概変なキャラだけどね。



さてさて、今日はどんなお客様が来るでしょうか?

パンダ喫茶店、今日もどこかの町外れでひっそりと開店しております!


第3話 完

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