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3話
3-6 怒濤の追加注文
しおりを挟む「どうかされましたか?」
ショーケースのケーキを眺める三津谷さんに話しかけると、彼女はまたニコッと笑う。
「伊織くん、ケーキ全部食べてしまったので…まだまだ食べたいなあと思って♪」
「…え!?あのケーキ全部!?マジで!?」
お客様ということも忘れて思わず素に戻って言ってしまう。
三津谷さんのテーブルを見ると空のお皿が積み上がっていた。
うちは喫茶店で…お寿司屋さんじゃないんだけど。
「ここのケーキ本当に美味しくて。クリームも柔らかくて軽くてペロッと食べれちゃう。
この上段にあるケーキあとで全部ください。
いまあそこのお席のお客様たちで大変でしょうから、あとで構いませんので。」
「え!?上段のケーキを全部ですか!?」
ざっと数えても10個くらいはあるんだけど…マジか?
「はい。」
ケーキ7個ペロリと食べて更に10個追加とは…なんという食欲!
「か、かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」
「はーい。よろしくお願いします」
厨房ではモーニングセット10個分を岩倉さんとパンダ店長があわただしく作っている。
ドリンクはだけは10人分、先にマリリンと作りゲートボール仲間のおじいちゃんおばあちゃんのテーブルに届ける。
そして、三津谷さんの追加オーダーを俺が伝えるとパンダ店長も岩倉さんもマリリンも驚いて一瞬動きが止まる。
「ええ!まだケーキ食べるの、あの女の子…すごいね!あの細い身体のどこに入ってくんだろ」
「だよね…俺も不思議」
少ししたらモーニングセット10人分も出来上がってきた。
相変わらず岩倉さんもパンダ店長も動きが早い。
マリリンと俺でテーブルに順番に運んでいく。
「伊織くん、ケーキも出すので手伝いお願いできますか?」
「あ、了解です」
パンダ店長も素早くショーケース上段のケーキを次々に皿にのせて行く。
とはいえ小さなテーブルにのるのはせいぜい3皿くらいであろうからとりあえず1皿に3つほどのケーキを隙間なくのせてなんとか3皿分に注文分のケーキをおさめることできた。
ケーキだらけのお皿…なかなか壮観だな。
「お待たせ致しました。」
三津谷さんのテーブルにケーキの皿をギリギリ置いていく。
真向かいにいたライターのおじさんがコーヒーをのみながらあんぐりと口を開けて三津谷さんをみている。
そうだよな、驚くよな…普通に。
か弱いゴスロリ女子がケーキ17個ペロリと食べようとしてるぞ!
「ありがとうございます!嬉しい~」
「ではご注文の品お揃いのようですので…」
3枚に膨れあがった伝票をテーブルに置こうとしたそのとき、また三津谷さんが口を開いた。
「あの…追加いいですか?」
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