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3話

3-1 ぱんだ喫茶店のモーニング

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とある町外れに知る人ぞ知る、
ひっそりとあるレンガ造りのレトロな雰囲気がある喫茶店。

その名も「ぱんだ喫茶店」


皆様、こんにちは。

俺の名前は高橋伊織たかはしいおりといいます。
19歳の大学生です。
今日は平日の朝だけど。
大学はとっくに冬休み入ってるのでバイトのシフトをたくさん入れた。


バイト代を稼いで免許をとって車を買うぞ!
中古車だけど!と野望?にいま燃えている。

お年頃なので出来れば可愛い彼女もほしいんだけどな…
助手席に乗ってもらってあちこちドライブとかさ…したいのだ。


俺は身長もそんなにないし、
ネコ目で童顔な上にその辺の女の子より可愛らしいらしくて
(これ、自慢に思われるが決して自慢ではないのだ!)

女の子にはよく勝手に俺の容姿に嫉妬されて敬遠される。

「伊織くん、すごく可愛いから私の彼氏には会わせたくない」とかね。

はい?冗談なのかマジなのか…?

俺は男だっつうの!
可愛くてできれば清楚な女の子がちゃんと好きな、至ってノーマル男子だ。
彼氏もとらねーし、彼氏もそんな変な趣味はないって。

でも、女友達はたくさんできる不思議。
しかもなぜか恋愛相談をよくもちかけられるのだ。

女の子はいつも華やかでおしゃべりだ。
このメイクはどうだ、あの子はお洒落だ、いやあの服はダサいよ、とコロコロと話題が変わっていく。


「伊織くん、テーブルは全部ふいた?」

「あ、はい」

声をかけてきたのは、パート主婦の平日の朝からお昼にシフトに入る41歳のママさん。
広瀬茉莉子ひろせまりこさん。
皆は親しみ込めてマリリンて呼んでる。

ちょっとぽっちゃりした体型で笑顔の可愛い明るいお母さんて感じの人。

中学生と小学生のお子さんがいて、もうすぐ上のお子さんが受験生らしくてお金、稼がなきゃ!っていつも言ってる。

テキパキと俺とマリリンで開店準備を始める。
平日はモーニングをしているので開店時間が8時からと少し早い。

パンダ店長もショーケースに手作りのケーキを手際よく並べていく。

今日も色とりどりのケーキでみてるだけでも楽しい。
マリリンもパートが終われば、帰りにお土産に買おうかな、なんていいながらショーケースを見てる。

この喫茶店のマスター、
パンダ店長はいつもパンダの着ぐるみ(頭部のみ)をかぶって接客している。

俺やバイトやパートの人たちはパンダ店長の姿にはだいぶ慣れてきたけどさ。

お客様は初めて見るたびに驚いたり固まってたり笑ってたり。

それこそ十人十色の反応だ。

でも、パンダ店長とシェフの岩倉さんの料理やケーキや珈琲が美味しくてなんか元気もらえてまた来るお客様も多い。


俺もパンダ店長の作るケーキと岩倉さんの作るビーフシチューの虜だ。
これがまかないでタダで食べられるのだから、バイトはもうやめられないと思うくらい。

さて、掃除も大体終わった。
グラスやお皿も一通りふき終わって、パントリーに並べておいた。

時間はもうすぐ8時。
開店準備、完了!
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