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2話
2-5 パンダ店長の家族は?
しおりを挟む私がホールに出ていこうとしたら、
パンダ店長がお母さんのオーダーのコーヒーをトレイにのせてすでにテーブルに向かっていた。
「お待たせしました。食後のコーヒーとデザートお持ちしました。」
「え?デザート…頼みましたっけ?」
「はい、ランチタイムご注文の方にはミニサイズですがパンダ店長特製のケーキつきです。
もちろんお子様ランチにも!」
可愛らしい三角形のチョコケーキに生クリームがちょこっとのっている。
「これたべていいの?」
心春ちゃんがパンダ店長に尋ねる。
「もちろん!」
泣き顔がすぐに笑顔になる。
上手にフォークを使いケーキを食べ始めた。
「パンダさんありがとう」
「どういたしまして」
「すみません、心春が大声でずっと騒いでお店のご迷惑になってませんか?」
お母さんは申し訳なさそうに何度も謝る。
そんなに謝らなくてもいいのに。
子どもがいるといろんな所に気を配らないとダメなのかな。
お母さんて大変そうだ。
「いえいえ、とんでもない。
小さいお客様も大歓迎ですよ。
僕にも心春ちゃんくらいの年の姪っ子たちがいるんですよ。」
「へーそうなんですね。」
「僕には姉と妹がいてそれぞれに娘が二人ずついまして。
四人も姪がいて実家で集まったりすると、それはそれはにぎやかですね。」
「そうなんですか~女の子ばかりもとても楽しそうですね」
お母さんが笑いながら頷くと
ケーキを食べおわった心春ちゃんがパンダ店長に問いかけた。
「ねえねえ、パンダさんのかぞくもみんな、パンダさんなの?
パンダさんは「ささ」がすきなんでしょ?皆でささ食べてるの?」
「え…?」
思わず固まるパンダ店長と心春ちゃんのお母さん。
パンダ店長とお姉さんも妹さんもパンダの頭してて、姪っ子さんも全員がパンダの着ぐるみきて、団らんしてる姿を思い浮かべてしまった…
ホールにいた私と伊織くんもこの会話が聞こえてきて2人で目を合わせた途端に爆笑してしまった。
そうだよなあ…
心春ちゃんくらいの年齢なら
まだ着ぐるみの概念ってわかんないのかな。
戦隊ものとかスーツや着ぐるみに中の人がいるってばらしちゃダメなヤツだよね。
パンダ店長は心春ちゃんに本当にこういう新種のパンダだと思われてる訳だ。
あ、ヤバい。
更に爆笑しそうになるのでそそくさと私はまた洗い場に戻ることにした。
「こ、こら心春変なこと言わないの!」
「いえいえ。そっ、そうだよねーパンダさんは笹がすきだよー!
あ、ではごゆっくりどうぞ~」
笑ってごまかしながらそそくさと気まずそうにパンダ店長もカウンター席に来た。
「パンダ店長、お昼ごはんは是非笹を食べないと!」
にやにやしながら伊織くんがからかう。
「伊織くん…や、やめてくださいよお」
「あはは、さすが!純真無垢な子どもは可愛らしいですね」
そして、お腹いっぱいになったお母さんと心春ちゃんは二人とも笑顔でお会計をして帰っていく。
「パンダさん、お姉ちゃんバイバーイ!」
「はーい、また来てね。」
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