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凛子

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「実は二ヶ月後に、雑誌の撮影があって……」

 女が口を開いた。

「撮影……ですか?」

 聞き返してから茉莉花はハッとして、女の顔を見直し、気が付いた。

 彼女はモデルだ。

「雑誌で拝見したことがあります」
「本当ですか? ありがとうございます。まだ駆け出しなんですけど、時々雑誌のお仕事も貰えるようになってきて……」
「へえ、すごいですね。モデルさんって世の女性の憧れですけど、本当に大変なお仕事ですよね。食事に気を遣ったり体型の維持だったり」
「でもモデルになるのがずっと夢だったので、それは苦ではないんです。ダイエットしろって言うなら、いくらでも頑張るんですけど……」

 そこで言葉を詰まらせて、女は表情を曇らせた。

「何か、無茶なことでも言われましたか?」

 茉莉花がそう尋ねた。

「いえ、そうではなくて、その撮影っていうのが、年に一度の水着特集号の撮影なんです」

 なるほど、やっぱりそっちか。

 茉莉花は全てを理解した。

「胸を大きくするっていうのは、自力ではどうにも出来そうになくて……」
「まあ、そうですよね」
「それで……豊胸手術をお願いしたいんです」
「そうですか、分かりました。では、詳しくお話させていただきますね」

 それから女は熱心に施術の説明を受け、予約を取って帰っていった。

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