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「ちょっ、菜々子ちゃん! 危ないっ!」
「え?」
「そんなんじゃ怪我するよ」
包丁を持つ菜々子の右手を掴んだ平野はそのまま後ろに回り、菜々子の左手に自分の手を重ねて指を曲げた。
「食材に添える手は、猫の手って習わなかった?」
平野の息が耳にかかり菜々子の鼓動が速くなる。
「な、習いました」
菜々子は平野から包丁の使い方と玉ねぎの微塵切りの手解きを受けた。
菜々子が微塵切りに奮闘する横で、平野は客からの注文の料理を次々と作っていく。
「ゆっくりでいいから、怪我しないようにね」
少し屈んで顔を寄せた平野が、優しい眼差しを向ける。
傍で平野に見守られていることで、なんとも言えない安心感が菜々子を包んだ。
最後の客を送り出した平野は、立て看板を仕舞うと店のシャッターを半分下ろした。
「菜々子ちゃん、お疲れ様。今日はそこまでだよ。一緒にご飯食べよう」
平野の表情がオフモードになったのがわかった。
「それ、昨日言ってたタンシチュー」
「えーっ、嬉しい!」
いつの間にかカウンターに二人分の食事が出来上がっていた。
横並びに座って、温かいシチューを食べながら幸せなひと時を過ごした。
「え?」
「そんなんじゃ怪我するよ」
包丁を持つ菜々子の右手を掴んだ平野はそのまま後ろに回り、菜々子の左手に自分の手を重ねて指を曲げた。
「食材に添える手は、猫の手って習わなかった?」
平野の息が耳にかかり菜々子の鼓動が速くなる。
「な、習いました」
菜々子は平野から包丁の使い方と玉ねぎの微塵切りの手解きを受けた。
菜々子が微塵切りに奮闘する横で、平野は客からの注文の料理を次々と作っていく。
「ゆっくりでいいから、怪我しないようにね」
少し屈んで顔を寄せた平野が、優しい眼差しを向ける。
傍で平野に見守られていることで、なんとも言えない安心感が菜々子を包んだ。
最後の客を送り出した平野は、立て看板を仕舞うと店のシャッターを半分下ろした。
「菜々子ちゃん、お疲れ様。今日はそこまでだよ。一緒にご飯食べよう」
平野の表情がオフモードになったのがわかった。
「それ、昨日言ってたタンシチュー」
「えーっ、嬉しい!」
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