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21.女たちの謀 肆
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「というより、蓮子……。お前、内裏の女たちに恨まれ過ぎだろう?」
蓮子の限りなく正解に近い推理を聞き終わった時次は、呆れた。
そんなバカな、とは言わない。
ありえる、と思った。
「警備を増やすか」
「あら、無駄よ。時次お義兄さま。警備を増やしたところで同じことの繰り返しよ」
「ではどうするんだ?」
「せっかく実験台になってくれるんですもの。有効活用するべきじゃない?」
「実験台?何を企んでいる?」
「決まっているわ。屋敷に仕込んである罠を試すの。きっと引っかかるわ」
何も言うまい。
蓮子の好きにさせよう。
時次は、そう思ったのだった。
そしてそれは正しかった。
次々に訪れる深夜の来客を、蓮子は楽しんでいた。
やってくるのは、男ばかり。
ものの見事に罠にかかった。
ある者は落とし穴に落ち、ある者は天井から降ってきた網に囚われた。
ある者は床下に仕掛けてあった竹槍で串刺しになりかけたし、ある者は壁から発射された矢の餌食となった。
結果として、女たちの企みは上手くいかなかった。
夜這いを仕掛けた男は一人残らず帰ってこないという事態に、女たちは震え上がった。
同時に、手引きした女房も一人残らず精神に異常をきたしたため実家に戻された。
理由は分からない。
女房たちは暴力を受けた訳でも、脅された訳でもない。
しかし、精神を病んでしまったことだけは事実だった。
帰ってこない男たちも気になるが、それを問いただす術は女たちにない。
知りたいようで知りたくない。それが本音だ。
知らぬが仏、ともいう。
なので、調べようとも思わない。下手に調べようものなら、もっと恐ろしい目にあうのではないか。矛先が自分に向かってくるのではないか。その恐怖が女たちの口を噤ませる。
こうして二条屋敷の警備は強化され、無粋な訪問者を撃退したのだった。
蓮子の限りなく正解に近い推理を聞き終わった時次は、呆れた。
そんなバカな、とは言わない。
ありえる、と思った。
「警備を増やすか」
「あら、無駄よ。時次お義兄さま。警備を増やしたところで同じことの繰り返しよ」
「ではどうするんだ?」
「せっかく実験台になってくれるんですもの。有効活用するべきじゃない?」
「実験台?何を企んでいる?」
「決まっているわ。屋敷に仕込んである罠を試すの。きっと引っかかるわ」
何も言うまい。
蓮子の好きにさせよう。
時次は、そう思ったのだった。
そしてそれは正しかった。
次々に訪れる深夜の来客を、蓮子は楽しんでいた。
やってくるのは、男ばかり。
ものの見事に罠にかかった。
ある者は落とし穴に落ち、ある者は天井から降ってきた網に囚われた。
ある者は床下に仕掛けてあった竹槍で串刺しになりかけたし、ある者は壁から発射された矢の餌食となった。
結果として、女たちの企みは上手くいかなかった。
夜這いを仕掛けた男は一人残らず帰ってこないという事態に、女たちは震え上がった。
同時に、手引きした女房も一人残らず精神に異常をきたしたため実家に戻された。
理由は分からない。
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しかし、精神を病んでしまったことだけは事実だった。
帰ってこない男たちも気になるが、それを問いただす術は女たちにない。
知りたいようで知りたくない。それが本音だ。
知らぬが仏、ともいう。
なので、調べようとも思わない。下手に調べようものなら、もっと恐ろしい目にあうのではないか。矛先が自分に向かってくるのではないか。その恐怖が女たちの口を噤ませる。
こうして二条屋敷の警備は強化され、無粋な訪問者を撃退したのだった。
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