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王妃2

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「最愛の我が子よりも国のをお選びになった。最後は私情ではなく公道を選び抜いた陛下の想いを貴族達は理解しております」

貴族達も表立っては王家に何かを仕掛けようとは思わないでしょう。
陛下も御存知だったではず。私が王家の影を使ってエドワード殿下を陰ながら護衛していた事を。そして、その護衛の数を減らしていた事も……。影の護衛がなければエドワード殿下の命が失われるのは時間の問題。殿下を殺したくて仕方のない人々は大勢いますから。

「王妃……どこかに行くのか?」

「どうしてそう思われるのですか?」

「いつもよりも軽装な装いだ。……それに何やら騒がしい……」
 
普段はドレスどころか髪型を変わった事すら気付かない陛下だというのに。何故か妙な処で聡いといいますか鋭いといいますか……それを別の処で発揮していただきたかった。

「エドワード殿下の地方公務は途中でしたから、私がその代わりに行くのです」

「王妃自らが行くような案件だったのか?」

「本来なら行く必要はありませんが、こういった非情事態ですからね。地方の状況も把握しておかなければなりません」

「……帰ってくるのか?」

「まぁ、おかしな陛下ですね。私のは一つしかございません」

「そうか、ああ。そうだな。王妃がはココだものな。ははは……」

本当に妙に感がいいのも問題ですわね。
領地持ちや目端の利く貴族は既に王都から離れています。いずれ訪れる混乱に巻き込まれないように。今回の件で「国王は息子を切り捨てた」とみなす者は多いはず。王都に戻ってくる貴族も出てくるでしょう。 


「陛下、時間になりましたので私はこれで退させていただきます」

「ああ。気を付けて」

「はい」

「できるだけ早く帰ってきてくれ。何やら王宮が寂しいのだ……」

私は返事をすることなく微笑み返しました。
陛下はホッとしたような表情ですが、一度でも「王宮に帰って来ます」と言いましたか? 人の話をきちんと聞かない処はエドワード殿下と一緒です。よく似た親子ですこと。

再び、生きてお会いする事はないでしょう。
これも国王の義務です。国と民のために、その首を差し出してください。陛下の愛した新しい王妃側妃と共に……寂しくはありませんでしょう?愛する者と一緒なのですから。
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