後宮の右筆妃

つくも茄子

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第一章

20.地位1

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「はい、あ~~~ん」

「あ、姉上……」

「あら?どうしたの杏樹?口を開けてくれないと粥を食べさせられないわ」

「あの……」

「ん?」

 ニコニコ微笑んでいる美娘姉上。
 だけど物凄い圧を感じる。
 絶対に気のせいではない。姉上は怒っていた。それは物凄く。姉上の後ろに控える夏葉に目だけで助けを求めるものの静かに首を横に振られた。

「さぁ、早く口を開けて頂戴」

 笑顔のままの圧をかける姉上により私は口を開かざるを得なかった。そしてそのまま粥をすくったレンゲを口に入れられる。咀噛して飲み込んだところを見計らってまた粥がすくわれた。その後も一口食べる度に同じことを繰り返すのだけれどこれは一体何の羞恥プレイだろうか。私も一応は年頃の娘であるからこういうことをするのは多少恥ずかしいし、ましてやそれをするのが実の姉。
 だけど姉上の目は真剣そのもので有無を言わせない雰囲気があった。だからといってここまでする必要はないと思うのだけれど……姉上はお許しくださらない。食べ終わるとやっと満足されたのか空になった椀を夏葉に渡した。すると次は水をコップに入れて渡された。これも素直に飲んでいく。私が大人しく従うものだから今度は薬を持ってきてそれを飲まされる始末だった。そして全てが終わると漸く解放されたのだけれど、もう精神的にも体力的にも限界に来ていた私は布団に入るとものの数分で眠りについてしまった。

 なので、私が眠っている間に青が来ていた事も、私が青に出会って協力する過程も全て姉上に知られてしまった。そのことで姉上はある決意をし、後から聞かされて激しく動揺することになるのだけれど、この時は知る由もなかった。
 ただ一つ言えることは私の受難はまだ始まったばかりだということ。


 
 

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