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200年後
65.ゴールド枢機卿視点2
しおりを挟むモンティーヌ聖教国に滞在すること数週間。
大河勇樹が僕に個人的に相談したいことがあると言ってきた。
「ゴールド枢機卿、折り入ってお話があります」
「なんだい?」
「はい。実は……」
大河勇樹は言い難そうにしている。
僕は彼が口を開くのをじっと待った。
そして、ようやく口を開いた彼はこう言った。
「実は……その……このところ体が変というか……病気とかではないんです。ただ魔王討伐までの時と今とでは自分の体が全く違うというか……」
「魔王討伐でなにかあったの?」
「いえ、なにもありません。むしろ、恐ろしいくらいスムーズに倒すことができました。私としては魔王以外の魔物が現れたり罠を仕掛けられているのではないかと不安だったのですが……それもなく……」
奥歯に物が挟まったような言い方だ。
だが言いたいことは何となく分かる。
彼は疑問を持っている。
魔王討伐について。
いるんだよね。
こういう妙に勘のいい人間って。
しかも彼は賢い。
誰かれ構わず聞くのではなく、僕に聞いてくるところ、とかね。
人として長く生きていたからか。
いや、これは彼自身の性格かもしれない。
フランにも聞かなかったのだろう。
僕が千年生きていることを考慮しての質問だ。本当に頭の良い人間だ。
さて、どう答えたものか。
う~ん。
誤魔化してもいいんだけど……彼はきっと納得しなさそうだ。
表情を隠す事ができない彼のことだ。
フランが気付く。
はぁ。
仕方ないなぁ。
「気になる事があるんだよね」
「はい」
「召喚だけじゃない。魔王討伐、それに君自身の体の変化。この場合、体が元に戻ってきた、と表現した方がいいのかな?」
「はい……徐々にですが……。これは一体、どういうことでしょうか?」
ああ、やっぱりね。
そうなる予感はしていた。
「答え合わせをしようか。フランも交えて」
「大聖女様もですか?」
「ああ」
「分かりました」
僕はフランと大河勇樹に真実を告げることを決めた。
フランも悶々としているだろうしね。
この二人なら口外はしないだろう。
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