61 / 82
200年後
58.勇者召喚6
しおりを挟む
召喚された勇者たち。
年端もいかない少年少女……と思ってました。
なのに蓋を開けたら、あらビックリ。本物の少年少女ではない。
老齢ってなんですか?
しかも既に死んだ身、って……どういうこと?
「つまりね、老齢で亡くなった異世界人が勇者として指名されたってわけ」
「死んでるのにですか?」
「うん」
「でも皆さん若かったですよ?」
「老人に魔王退治は無理だからね。召喚した異世界人達は基本若返るんだよ。まあ、どこまで若返るのかは未知数なんだけどね」
たまたま召喚する時期に亡くなった人達。
召喚される勇者の条件にあった人物が選ばれる。そう言う事らしい。
「それで、彼らは全員、魔王退治を引き受けてくれるの?」
「一応ね。というか、元の世界に戻る方法なんてないし。元々死人だからね」
「あぁ、そうでしたね」
元の世界には戻れない。
だからといって魔王退治を引き受けるかどうかは別だと思う。
「黒髪の勇者も説明には一定の理解を示してるけど、それでも魔王退治を余所の人間に任せるのはどうなのかって、最後まで渋ってたよ。正論過ぎて誰も反論できなかったのだ笑えるよ」
「それで結局どうなったんですか?」
「かなり交渉した。最終的に、魔王退治はするけど、各国の軍も出動させる事態になったよ」
「それはまた……」
「全く関係のない人間に世界を守ってもらうのってプライドは無いんですか?って言われちゃうとね」
「言ったんですか?」
「はっきりとは言わなかったけど、態度で解るよ。彼、ドン引きしてたしね。全部他人任せってことに憐れむような眼差しを向けられたらね」
「それは……ちょっと……」
「各国のお偉いさんたちは、まぁ、プライドはズタズタだっただろうね。でも、魔王退治はするって言質は取ったよ」
「……なるほど。それで改めて私に後見人になれと?」
「うん」
ゴールド枢機卿が頷いた。
「大聖女の後ろ盾があれば、勇者達も魔王退治に本腰を入れてくれるだろうしね。それにフランならあの黒髪の勇者と馬が合いそうだし」
なんの根拠があってゴールド枢機卿がそう言っているのかは不明だが、私に拒否権はなかった。
それにしても傍観者でいてくれって話はどうなったの?
まったく真逆の方向に進んでいるんだけど。
勇者は神殿側の管轄だったんじゃないの?
「どうしてこうなった……」
思わず口から洩れてしまったぼやきは、誰にも聞かれることは無く消えていった。
年端もいかない少年少女……と思ってました。
なのに蓋を開けたら、あらビックリ。本物の少年少女ではない。
老齢ってなんですか?
しかも既に死んだ身、って……どういうこと?
「つまりね、老齢で亡くなった異世界人が勇者として指名されたってわけ」
「死んでるのにですか?」
「うん」
「でも皆さん若かったですよ?」
「老人に魔王退治は無理だからね。召喚した異世界人達は基本若返るんだよ。まあ、どこまで若返るのかは未知数なんだけどね」
たまたま召喚する時期に亡くなった人達。
召喚される勇者の条件にあった人物が選ばれる。そう言う事らしい。
「それで、彼らは全員、魔王退治を引き受けてくれるの?」
「一応ね。というか、元の世界に戻る方法なんてないし。元々死人だからね」
「あぁ、そうでしたね」
元の世界には戻れない。
だからといって魔王退治を引き受けるかどうかは別だと思う。
「黒髪の勇者も説明には一定の理解を示してるけど、それでも魔王退治を余所の人間に任せるのはどうなのかって、最後まで渋ってたよ。正論過ぎて誰も反論できなかったのだ笑えるよ」
「それで結局どうなったんですか?」
「かなり交渉した。最終的に、魔王退治はするけど、各国の軍も出動させる事態になったよ」
「それはまた……」
「全く関係のない人間に世界を守ってもらうのってプライドは無いんですか?って言われちゃうとね」
「言ったんですか?」
「はっきりとは言わなかったけど、態度で解るよ。彼、ドン引きしてたしね。全部他人任せってことに憐れむような眼差しを向けられたらね」
「それは……ちょっと……」
「各国のお偉いさんたちは、まぁ、プライドはズタズタだっただろうね。でも、魔王退治はするって言質は取ったよ」
「……なるほど。それで改めて私に後見人になれと?」
「うん」
ゴールド枢機卿が頷いた。
「大聖女の後ろ盾があれば、勇者達も魔王退治に本腰を入れてくれるだろうしね。それにフランならあの黒髪の勇者と馬が合いそうだし」
なんの根拠があってゴールド枢機卿がそう言っているのかは不明だが、私に拒否権はなかった。
それにしても傍観者でいてくれって話はどうなったの?
まったく真逆の方向に進んでいるんだけど。
勇者は神殿側の管轄だったんじゃないの?
「どうしてこうなった……」
思わず口から洩れてしまったぼやきは、誰にも聞かれることは無く消えていった。
134
お気に入りに追加
4,019
あなたにおすすめの小説
実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです
サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――
結婚するので姉様は出ていってもらえますか?
基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。
気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。
そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。
家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。
そして妹の婚約まで決まった。
特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。
※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。
※えろが追加される場合はr−18に変更します。
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる