悪役令嬢の私は死にました

つくも茄子

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100年後

39.怒り1

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「オーホホホホホホッ!!!」

「……フラン」

「ホーホホホホホッ!!!」

「怖いよ……その笑い方」

「これが笑わずにはいられません!」

 何ですか!
 あの王太子は!!

「気持ちは分かるけどね。ちょっと落ち着きなよ」

「私は落ち着いていますわ!」

「…………いや……メチャクチャ怒ってる。怒り狂ってるのがよく分かるよ」

「当たり前です!イリスが侮辱されたんですよ?私の可愛い姪が!これで怒らない人間なんてこの世にはいません!」

「………………うん」

 引き気味に肯定されました。
 え?
 何故です?
 これは怒る場面でしょう!

 人を馬鹿にするのも大概にしろと王宮に怒鳴り込まないだけマシだと思って貰いたいくらいです!!

 イリスの状況。
 これは以前にもありました。
 ええ!私の時に!!
 まあ、私の場合は「死んだこと」にして逃げきりましたけどね!ええ!逃げの一択でした!そしてそれは全く間違っていなかった!!
 
 私の場合は婚約者とその浮気相手の接触がなかったので事なきを得たようなものです。そもそも「死人」に罪を擦り付ける事はできませんし、イリスよりも酷い状況だったので全く同じとは言えないでしょう。
 ですが!アホな婚約者に「僕ちゃん、真実の愛に目覚めちゃったんだ!だから婚約破棄する!これも愛のため」をされた被害者という点は同じです!!
 
 それも大勢の前で晒し者にされたのですよ!!?

 どんな嫌がらせですか?
 それとも新手の虐め?

 しかも浮気相手を連れて「許して欲しい」「認めて欲しい」とは何ですか?意味が解りません!
 
 自分達の立場を理解していないのでしょうか?
 それとも対等だとでも思っているのですか?

 御冗談を!!

 こちらが妥協しているんです!
 そこのところを解っているんでしょうね!?
 断腸の思いで、イリスをこの国に連れて来たんですよ?
 可愛い姪を嫁にやらなければならない悲しみを解っていない!!

 お兄様達が言うから仕方なく見送ったというのに。

 やはり極秘で訪れて正解でしたわ。
 イリスは優しいですからね。アホな男のアホな言い分を聞かなかった事にして婚約継続をしていたかもしれませんもの。
 
 一度ならず、二度までも……この国どうしてくれよう。



「まさか、あの国王の息子がアレだとはね。流石の僕もびっくりだよ」

「御両親に似なかったのですね」

「祖父母も立派な人達なんだけどね。彼だけ何でアレなのかな?」

「そんなこと知りません!」

 私の方が教えて欲しいくらいですわ。
 アホの血は時代を超えて受け継がれているとしか思えません。呪いのようなものですわね。

「枢機卿団はカンカンだよ。まぁ、当然だ。メンツを潰されたんだから」

「それはモンティーヌ聖王国も同じです!何故、二度も婚約破棄を宣言されなくてはならないのですか!?」

「イリスの場合はだよ」

「大して変わりません!」

 恥をかかされたのは同じですもの!
 ああ!だから反対したんです。こんな婚約なんて始めから無視すれば良かったのに。仏心を出した結果がコレです!!
 
 優しいイリスは「シャルル王太子は残念な方ですから」と苦笑しましたが、あんな連中を心配する必要などありません!

 あの王太子、恩を仇で返すとは許すまじ……。

 
 
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