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20年後
31.友情2
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「欲が出たんでしょうね」
「欲ですか?」
「ええ」
「それはミリアリア様の事でしょうか?」
「ええ。愛する恋人と結ばれても正式な妻にはなれない。息子を産んでもその子は公式的には他人の息子。自分の子だと公表できない。そういった不満もあったんでしょうね」
「私としては、フラン様が生きていらっしゃった事の方が驚きです。しかも大聖女になっているなんて」
「色々あったの」
「そのようですね」
そう、あの日生き返った私は正式に『聖女』になり、数年後には『大聖女』に。
人生分からないものだわ。
他の人は兎も角、私は『似非聖女』。それが『大聖女』に上り詰めるなんて思ってもいなかった。
まぁ、決めたのは私ではないので責任は絶対にとらないし、とれません。
もし、万が一、偽物とバレた時のために善行を積んではいるものの、それだけでは心もとなかった。匿ってくれる友好国を見つける必要があったのです。
レオーナが嫁いだ国。
あの国に邪気が萬栄していると聞いて秘かに諜報員を派遣したのは本当に偶然だった。
情報収取の過程でレオーナの境遇を知ったのも偶々。
酷い結婚相手もいたものだと心底思ったわ。
しかも自分の愛人が妻を亡き者にしようとしていた事すら気が付かない愚者ときていた。あれでよく王位争いの勝ち組になれたものだと当時は別の意味で感心したわ。よほど運がいいのか、それとも恋愛に関してのみアホになるのか……。
レオーナを『誘拐』してきた事に後悔はない。
あの日のあの時間でなければ次のチャンスは訪れないと思い、実行に移した。
私の時のように死を偽装しなければならなかった。
いいえ、それ以上の事をする必要があった。だって、愛人は本妻を殺したくて仕方がないと言わんばかりの行動の数々。偽装しても何かに気付かれる恐れがあった。女の勘を馬鹿にしてはいけない。
「それにしても驚きましたわ。目が覚めたら知らない部屋にいたんですもの。しかも、亡くなったはずのフランソワーズ様が抱きついてこられて。あの時は天国のフランソワーズ様が私を迎えにきてくださったのでは?と本気で思いました」
「それはごめんなさいね」
本人の許可を取らなかったのは悪かったとは思っているけど、結果オーライだから許して頂戴。
「いえ、こちらこそお礼を申し上げなければなりません。フラン様に救われていなければ、今頃どうなっていたか……」
「それはお互いさまよ」
数年ぶりに再会し、二人で泣きながら抱きしめ合ったわね。
幻術使いの枢機卿に大枚をはたいて正解だった。
「それで、フランソワーズ様はこの後どうされるおつもりですか?」
「あら、どうもしないわ。あの国が潰れようともね。一応、当時の邪気は払ったし……」
「それ以降、かの国に行ってませんよね」
「行く必要はないでしょう?レオーナを殺そうとした国を助ける程、私はお優しくはないわ」
「はい!」
私が冷たく言い放つと、彼女の反応にも慣れたもの。特に気にしていない。
むしろ嬉しそうだわ。
私とレオーナは世間では死んだ人間。あと数十年は聖王国から出る事は叶わない。人々の記憶の中から私達の事が薄れるまでは――――
「欲ですか?」
「ええ」
「それはミリアリア様の事でしょうか?」
「ええ。愛する恋人と結ばれても正式な妻にはなれない。息子を産んでもその子は公式的には他人の息子。自分の子だと公表できない。そういった不満もあったんでしょうね」
「私としては、フラン様が生きていらっしゃった事の方が驚きです。しかも大聖女になっているなんて」
「色々あったの」
「そのようですね」
そう、あの日生き返った私は正式に『聖女』になり、数年後には『大聖女』に。
人生分からないものだわ。
他の人は兎も角、私は『似非聖女』。それが『大聖女』に上り詰めるなんて思ってもいなかった。
まぁ、決めたのは私ではないので責任は絶対にとらないし、とれません。
もし、万が一、偽物とバレた時のために善行を積んではいるものの、それだけでは心もとなかった。匿ってくれる友好国を見つける必要があったのです。
レオーナが嫁いだ国。
あの国に邪気が萬栄していると聞いて秘かに諜報員を派遣したのは本当に偶然だった。
情報収取の過程でレオーナの境遇を知ったのも偶々。
酷い結婚相手もいたものだと心底思ったわ。
しかも自分の愛人が妻を亡き者にしようとしていた事すら気が付かない愚者ときていた。あれでよく王位争いの勝ち組になれたものだと当時は別の意味で感心したわ。よほど運がいいのか、それとも恋愛に関してのみアホになるのか……。
レオーナを『誘拐』してきた事に後悔はない。
あの日のあの時間でなければ次のチャンスは訪れないと思い、実行に移した。
私の時のように死を偽装しなければならなかった。
いいえ、それ以上の事をする必要があった。だって、愛人は本妻を殺したくて仕方がないと言わんばかりの行動の数々。偽装しても何かに気付かれる恐れがあった。女の勘を馬鹿にしてはいけない。
「それにしても驚きましたわ。目が覚めたら知らない部屋にいたんですもの。しかも、亡くなったはずのフランソワーズ様が抱きついてこられて。あの時は天国のフランソワーズ様が私を迎えにきてくださったのでは?と本気で思いました」
「それはごめんなさいね」
本人の許可を取らなかったのは悪かったとは思っているけど、結果オーライだから許して頂戴。
「いえ、こちらこそお礼を申し上げなければなりません。フラン様に救われていなければ、今頃どうなっていたか……」
「それはお互いさまよ」
数年ぶりに再会し、二人で泣きながら抱きしめ合ったわね。
幻術使いの枢機卿に大枚をはたいて正解だった。
「それで、フランソワーズ様はこの後どうされるおつもりですか?」
「あら、どうもしないわ。あの国が潰れようともね。一応、当時の邪気は払ったし……」
「それ以降、かの国に行ってませんよね」
「行く必要はないでしょう?レオーナを殺そうとした国を助ける程、私はお優しくはないわ」
「はい!」
私が冷たく言い放つと、彼女の反応にも慣れたもの。特に気にしていない。
むしろ嬉しそうだわ。
私とレオーナは世間では死んだ人間。あと数十年は聖王国から出る事は叶わない。人々の記憶の中から私達の事が薄れるまでは――――
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