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番外編~在りし日の彼ら~
54.似たもの兄弟2
しおりを挟む「真澄、おめでとう!」
「ありがとう、姉さん」
「嫌になったら何時でも戻ってきていいからね」
「それ結婚式で言うセリフじゃないよ」
「そう?」
「うん」
「でも寂しくなる」
「父さんと母さんをよろしくね」
「二人ならさっきから号泣よ」
「それは姉さんが嫁にいかないからだと思うよ?」
「真澄、姉は嫁に行くのではないわ。貰う方よ」
「何馬鹿な事いってんるんだよ」
「いや、本当に。締め切り前は特に思う……嫁が欲しいと……」
遠い目になる花嫁(?)の姉。
趣味が既に本職になっていた。
仕事が忙しい時は誰もが思うことだろう。
玄関を開けたら暖かな灯と美味しそうな匂いのする家。
美味しいご飯を作ってくれる理想の伴侶。
ご飯を食べたらすぐに入れるようになっている暖かなお風呂。
「姉さん、お婿さんもらったら?」
「家事全般をしてくれる男がいない……」
問題はソレだろう。
いっそのこと家政婦雇った方が早い。
ただ、この姉、食事に関してうるさかった。
妙なこだわりがあるのだ。
家族なら姉のリクエストに応えられるだろうが、他人となると案外難しい。
この場合、母親が料理上手なところもネックになっていた。
ズボラな姉の生活能力では遠からず家政婦さんの手で生きていく未来しか見えない。
「姉さんは理想が高いんだよ」
「そんなことないよ。私は普通の男でいい」
「普通って?」
「主夫してくれる人」
それが一番のネックであることを姉弟は知らない。
ほのぼのとした姉弟の会話のすぐ近くで不穏な会話が成されていたことを知らない二人であった。
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