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本編
14.家政婦ロボットside
しおりを挟むわたくしは、主人であるロイド様を『旦那様』とお呼びする事にいたしました。最初は『ご主人様』が宜しいかと思われましたが、ロイド様は未だ既婚者と言うではありませんか。世界にはご自身の夫を『主人』と仰る文化圏がございます。もし、ええ、万が一にでも奥方様がお帰りになられましたらあらぬ誤解を招きかねません。もっとも、『旦那』と言う言葉も夫の向かって使われるケースはございますが、仮に奥方様とよりを戻されたり、ロイド様が再婚なさった時は『旦那様、奥様』とお呼び致しますので問題は少ないと愚行した次第でございます。
旦那様は、一日のスケジュールの大半を会社で過ごされていらっしゃいます。
これは旦那様以外の人間にも言える事ですので、旦那様が格別忙しい身の上というわけではないようです。
朝は六時に起きて出勤されます。ですので、わたくしはいつも五時起床でございます。食事は三食きちんと摂って頂くようプログラミングされておりますので用意するのは簡単です。ただ、旦那様は昼間も会社にいらっしゃいますので休日を除いて、わたくしが準備するのは朝食と夕食の二食だけでございます。
それは良いのです。
基本のことでございますもの。
問題は旦那様が毎朝全裸で起きられて、そのままバスルームに向かわれる事です。どうやら旦那様は裸で寝ていらっしゃるようなのです。世に言う裸族というものでございましょうか?朝はバスローブに身を包まれて食卓につかれますので、裸族とは少々違うのかもしれませんね。本物はそれの比ではない筈ですので。
帰宅時間はその日によって違います。大体は夜の八時頃ですが、遅い時には十時近くになる事もございました。
殆ど家に居らっしゃらないせいか、最初にお聞きした「生活能力ゼロ」という言葉にわたくしは少々疑ってしまいました。特に問題はないと思われたからです。問題らしい問題はございません。ッ気になる処と言えば少食でかなり偏食気味でいらっしゃる事でしょうか。好き嫌いが激しいように感じられます。夕食は殆ど残してしまわれる事から判断いたしました。勿体無いことですが、飽食の時代とは申しますが、これはこれで困る物です。何とかならないものなのかと頭を悩ませる次第でございます。
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