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22.ローレンスside

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 我が国の王女とその一派は、東の国で次々と子供を生んでいる。
 彼女達が子を産むたびに、我が国との取引が増えていく。貿易に関しては我が国の独占状態だ。笑いが止まらない。
 先代の女王が起こした『美女追放令』。
 自分よりも美しい女を極端に嫌った女王。
 そうせいで国から脱出した国民は、他国へ流れ込んだ。特に女性が。


「彼の国の男達は女の扱いが上手いな」

「はい。長年、とんでもない女王を頂きに置いていましたから、そのせいでしょう」

「なるほど。この女性に対する気遣いと心配りは我が国も参考にすべきではないか?すごいぞ、彼らは」

「はい。流石としか言えません。ですが、優秀な女性には通用しないかと思います」

「そうか?」

「はい、男性達の意図をすぐに見抜きますので……」

「ああ、それは言える。王女達のようにはいかないか」

「はい」

 適当におだてておけばいい、機嫌よく過ごしてくれる王女達は彼らからすれば実に扱いやすい相手だったろう。
 これまた適当に贅沢をさせれば、それなりに満足するのだから。

 単純な王女達のことだ、自分は愛されている」「多くの男性達に求められている」と、勘違いも甚だしい思考回路で、それはそれは有頂天になっていたことだろう。そう思わせた男達の手腕は実に見事だった。
 自己肯定感をこれでもかというくらい上げた。
 多くの男達にチヤホヤされ、甘い言葉を耳元で囁かれ、彼女達の自尊心はどんどん膨れ上がっていったことだろう。


「もうあの国から離れられないだろうね」

「はい。彼の国の貴族の方々が離さないでしょう」

「怖いね」

 本当に怖い怖い。
 王女達は何も知らない。これからも知らされないだろう。疑問すら抱かせない。
 彼らとしては見目の良い王侯貴族の娘が次々と子供を生んでくれるのだ。何が何でも自国に繋ぎ止めておきたのだろう。こちらとしても、彼女達に戻って来てもらっても困るので、彼の国には王女達の手綱をこれからも握っていてもらいたい。

 もっとも、こちらが言わずとも、彼らの方でも手綱はしっかりと握っていることだろう。
 高位貴族が揃って行っているのだ。
 いやはや。
 あの国の王もそれを黙認している。いや、むしろ推奨している。表立ってはしていないが、一妻多夫を認めているのだから。まあ、一夫多妻も法律で認めている以上、公の場で文句を言う者はいないのだろう。

「実に恐ろしい」

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